ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

2月例会をオンラインで開催しました

2021-03-07 11:51:15 | 対話型鑑賞

みるみるの会 2月例会(オンライン開催) レポート
日時:2月14日(日) レポーター:西村優子
13:50~ Zoom接続確認・打合せ(春日・津室・西村)
14:03~14:38実践 14:50~15:38振り返り
作品:中国における物語上の女主人公「木蘭」を描いたと思われる作品
題名・作者・年代不詳、「中国語スクリプト」(http://chugokugo-script.net/)に掲載
ナビゲーター:西村優子
進行:津室 ホスト:津室、ACOP道場を運営しているC
参加者:7名
(みるみる会員3名、春日紹介1名、津室紹介2名、ACOP道場を運営しているC)

【発言の流れ】
・急な斜めの線、崖を向く馬を抑える男➡この場所自体が急な坂、おっかない状況
・人物について
  服装(後ろの人物…頭に冠 手前の人物…鎧、ブーツ、スカーフ)➡中国の三国志の頃の格好
  手前の人 穏やかな表情➡危険な場所で馬に乗ることに慣れている。
       弓に弦を張っている、弓が細い➡射る準備(崖で反撃)?優雅な狩り?
  後方の人 明らかに男性。口ひげやしっかりした体格。
・馬は目が愛らしく精緻に描写。全身の動きから落ち着いている。
・手前の人物について
  女?長髪、つばのある帽子、赤い帽子飾り。かんざしや花飾り。ポーズ➡男勝りの高貴な女性。
  このような時代にこんな格好で狩り?中国にもいたのか!男装の麗人!
・男性と女性の力の使い方(男性が馬を力で押さえ付けている前で、女性が弓に力で翻弄されている)の対比の描き方がこの作品の中でひとつのポイントでは。
・女性は大きな刀を腰から下げている。狩りならいらない。狩りならもっとお付きの人がいるはず。
・手前の人のしぐさの違和感。(弓の)左右のパーツのセッティングに慣れていない?
・左下の木、装身具の揺れ、馬のしっぽから➡左から右への風の流れが感じられる。
・女性が(画面)左上を見ているよう。男性も見ている。そこに獲物?敵?
・物語のように感じられる。高貴なお姫様が逃げて、不慣れな武器を使って応戦しなければならない。
・戦うにしては焦った顔つきをしていない➡(敵が)まだ遠い。余裕がある。待ち伏せしているのかもしれないし、高いところから狙おうとしているのかも。棒は武器ではないかも。
・手前の木の枝が先の方しか見えていない➡高い所にいる人をさらに高い所から見下ろして描いている。
・最初に出た急峻な坂ということから、不安定で緊張感を感じる。手前の人が主人公、敵の視線で見下ろしていて、二人が敵の襲撃の気配を感じて身構えている。

オンラインみるみる例会で初めてナビをしました。対話が膠着したり、今ひとつ深まりに欠けたりするなど多くの改善点に気付くことができました。今回のナビで重要だと思われる3つのこと(情報の提供、小まとめ、作品選択)について振り返りたいと思います。
①情報の提供…話し合いの大半が、主人公が男性か女性かということになってしまいました。流れによっては情報提供をとも考えていたのですが、途中から自分の中で「生物学的には女性。しかし、本人の気持ちとしては男性であろうとしている。では、どちらの視点で…。」という迷いが生じ、タイミングを逃してしまいました。ご指摘いただいたように、ある程度意見が出たところで、女性や木蘭(ムーラン)であるという情報を出し、場面の状況や人物の思いなどについての話を展開していくと、見方を深めることができたと思います。みなさんの発言を書き起こしながら「男装の麗人」「男勝りの女性」「物語のように感じられる」など、情報提供のチャンスが何度もあったのにと後悔しきりです。
②小まとめ…直前の発言や2つ3つ前の発言を確認することはできたのですが、人物やその他のモチーフ、画面構成や状況といった視点での小まとめをもっと頻繁にやっていくべきでした。衣装、表情、動作、画面構成などについての発言を確認することで、「そこからどう思う?」という発展的な解釈につなげていくことができると思いました。鑑賞者をこのような流れに導くために、パラフレイズやコネクトなどによって適切な小まとめをタイミングよくしていかなくてはと改めて思いました。
③作品選択…今回は、題名・作者・年代とも不詳、中国における物語上の女主人公「木蘭」を描いたと思われる作品を使いました。「木蘭」はディズニー映画でも取り上げられていることもあって、これまで橋本関雪の「木蘭」で何度かナビをしました。今回の作品は橋本関雪のものより戦に向かうのか帰還なのか状況がよくわからない作品でした。鑑賞者のみなさんの意見を伺いたいという個人的なわくわく感が出発点です。
最後に
オンライン鑑賞会での作品提示(背景を黒くする、鑑賞者の画面でもお互いの顔が見やすいように作品を左右いずれかに寄せる、条幅のような縦長作品は分割して提示してみる)やナビの個人的な悩み(沈黙からのつなぎ)まで、多くに気付かされ、学ぶことができました。オンラインならではの利点を味方にしつつ、鑑賞者のみなさんの脳内が活性化するようなナビをめざして、これからも研鑽を積みたいと思います。
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