ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

はまぐりの貝殻を手に取り思案にふける参加者の皆さん

2013-02-28 19:46:16 | 対話型鑑賞
はまぐりの貝殻を手に取り思案にふける参加者の皆さん


「貝体新書」レポート

みるみるの小川です。大野先生の「2枚貝のVTS」を体験しました。以前から「おもしろいよ!」という話は聞いていたのでたのしみにしていた研修でした。レポートします!
まず、大野先生の穏やかな語り口でスタート。二枚貝にまつわる思い出をみんなで出していきます。採った時、調理した時、食べた時、そして二枚貝を使った遊び・・・。
さて、「貝合わせ」という遊びをご存知でしょうか。絵の描いてある蛤の殻を二枚合わせる遊びです。という話題から、必ず対になる貝があることを、本物の貝を触りながら確かめていきます。貝の合わせ目って、凸凹していて、そこが本当にうま~く合わさるんですね。そのフィット感に驚いてしまいます。
でも、外敵から身を守るためにはそれだけでは不十分。貝が開かないようにする役割を貝柱が担っています。では、貝柱はいくつあるのか。貝殻をスケッチしながら「二つだ」「三つだ」という意見が出ましたが、なぜそうなのか、人を説得できる根拠をグループで、ああでもない、こうでもないと話し合います。その間、大野先生は、「誰も本当のことは知らないのだから、そうやと言ってしまったもん勝ちや!」と言っておられて、(えっ!そうなの?大野先生も知らないの?)なんて、素直に受け止めて、「こうじゃないですかね~?」とグループの人に積極的に話かけてしまいました。そして発表。その根拠の中で「貝はこうやって食事をするのでは?」「こうやって生活しているのでは?」という意見が出たことをきっかけに、口、肛門、呼吸器はどのようになっているかを「神様になったつもりでデザインしてみよう。」という課題が出されました。グループでの話し合いはとても盛り上がりました。その後巨大ぬいぐるみの模型(?)で、「自然は人間が考えるより
ももうちょっと賢い!」ことを実感しました。
約二時間の間、こんなに貝殻を見つめたことはありません。そして、蛤についてこんなに話したことも初めてでしたが、あっという間の時間でした。中学校では、「教科の専門性」が時に大きな壁になってしまうことがあります。しかし、この度の研修では教科や校種を超えて「学び方」を学んだように思います。最初は自分の思い出や体験から始まり、実物を見ること、見たことをもとに考えること、想像することと段階を踏んで思考が深まっていく。そうやって得たものは忘れずに生きた知識になっていくと思います。しかし、その過程で大野先生は私達の思考の流れを止めずに情報を与えたり、視点を絞ったりと巧みにファシリテートをされていました。「先生方が自分からどんどん考えていくから、途中から私は必要なくなってしまった。」と言っておられましたが、そういう状態を作ることが大切なんだと思います。

まさにその通りだと思います。

翌日の大野先生の講義でも「教育」と「学習」の違いが語られましたが、我々教師はともすると「教育」(教え育てる)ことに重きを置きがちで「学習」(学び習う)ことをぞんざいに扱っているのではないでしょうか。上から目線の教育ばかりではなく、フラットな目線の学びの場面を戦略的に構築し、自ら学習者となる大人に、これからの時代を切り拓いていく子どもたちを育てる必要があるのではないでしょうか?そのためにも「学び」の楽しさを味わわせることが、何より大切になってくると思います。
大人が夢中になった2時間半。子どもが夢中にならないわけはありません。
ぜひ、今夏、島根県で子ども対象に「貝体新書」実践したいと思います。


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展示室でファシリテートしているのがメールを送ってくださった津室さんです

2013-02-27 21:01:45 | 対話型鑑賞
展示室でファシリテートしているのがメールを送ってくださった津室さんです


津室さんから、研修会後にメールが届きました。
対話型鑑賞のファシリテーターを行った際の感想が寄せられていましたので、本人様に掲載了解の確認が取れましたのでUPさせていただきます。
津室さんは、山口のティーチャーズ・デイの際のファシリテートもお上手だったと聞いていましたので、今回の研修も遠路はるばる山口からお越しでしたので、腕試しを依頼しました。ご快諾いただけたので、島根県の皆様を前に実践していただきました。

春日様
昨日は本当にありがとうございました。
ご心配をおかけしましたがちょうどぴったりの時刻に,午後の仕事場に到着することができました。(午後に山口での仕事がお待ちでした。)

本当は,トークももう5分位はして,ふり返りでも先生方とお話ししたかったですが,ほんとに貴重な体験をさせていただきました。
みるみるの会のメンバーで,トークのふり返りをするのが,すごくいいと思いました。
現在の勤務校は,極少人数(全校児童9名)のため,毎週全校フリートークを行っています。
そして,学期に1回は,その時間に対話型鑑賞を入れています。
フリートークも,提案者のテーマに沿って話し合うのですが,フリートークそのものの振り返りも全員(児童+全校教員4人)で行っています。
考えてみると,トークそのもののふり返りも,結構重要です。
私たち教員同士の研修の場でも,ふり返りはとてもためになるなと強く感じました。

ふり返りで春日さんからご指摘いただいた,よく発言される女性への働きかけは,よく考えたうえで臨機応変に対応できないといけないなと痛感しました。
自分が教えているクラスならばできそうなことも,来館者で初対面の方々が相手だと難しかったです。まだまだ修行が必要です。

ともかくも,大事な例会で,いきなり私のような者にもチャンスをくださる度量というか決断力にも感服しました。
山口の知り合いにも,みるみるの会の皆さんの熱意ある取り組みを,改めて広めたいと思います。

ユニット?展示についても,いろいろ刺激を受けました。
よく考えてみると,高橋由一の「鴨図」を扱うとき,若中の「紫陽花双鶏図」と対比的に見ながらトークしたことがありました。
かつて自分がやったことについても,また考えるきっかけをいただいた気がします。

お話ししたいことはたくさんあるのですが,とりあえず,お礼まで。
是非,またお話ししたり,ご一緒したりしたいです。
浜田にも,なんとか伺えればなあと思います。

このようなメールが届くと、私たち会員もまたやる気がわきます。大野先生からも励ましのメールが届いていますし、なかなか、地元に対話型鑑賞の実践者が増えないことに、腐る気持ちになるときもありますが、こうした賛同者の声を励みにまた研鑽したいと思います。

週末は京都での実践が待っています。どんな対話が生まれるのか、楽しみです。
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益田では大野先生の講義と展示室で対話型鑑賞の実践を行いました

2013-02-26 21:38:34 | 対話型鑑賞
益田では大野先生の講義と展示室で対話型鑑賞の実践を行いました


研修終了時に参加者の皆さんにアンケートを取らせていただきました。
その結果を報告します。

なお、22日23日の研修会の様子については、みるみる会員のレポートを近日中にUPします。乞うご期待!!


2013.2.23 みるみるの会 研修会( 益田)についてのアンケート結果

会場 グラントワ 島根県立石見美術館 講義室
講師 大野照文 教授(京都大学博物館館長)
内容 講演「脳美学  ~人はなぜ美しいと感じるのか~」
アンケートのまとめ
参加者 性別 男性 9人 女性 2人 不明 1人
    年齢 10代1人  30代1人  40代2人 50代2人  60代以上6人
    所属 中学校6人  一般社会人(小学校・中学校以外)4人  不明2人
    専門教科 美術1人  社会1人
    
アンケート
1) 講演は興味深い内容であった
   4)11人 3)1人  2)0人  1) 0人
2) 展示室での対話型鑑賞は有意義だった
   4)9人  3) 2人 2) 0人 1) 0人 不明)1人
3) 対話型鑑賞のファシリテーターをやってみたい
   4)6人  3) 3人 2)1人  1) 0人 不明)2人
4) 対話型鑑賞の鑑賞者は楽しい
   4)7人  3)1人  2)1人  1)0人  不明)3人     
5) 今日の研修は有意義だった
   4)10人  3)1人  2)0人  1)0   不明)1人
6) このような研修会があれば、また、参加したい  
   4)10人  3)2 人  2 0人 1)0人     

★研修会の感想
・よりよく生きる、より豊かに生きるために、五感から入る情報とやりとりの中で、新しい発見や確信を得る行為は「美術」のジャンルにとどまらないと思いました。自分の予想や期待を、いい意味で裏切り・発見することを楽しめる資質を養うことからはじめることも対話型鑑賞には必要だと思いました。(40代男性・中学校教員美術科)
・とても学びの多い対話鑑賞でした。二枚の作品を見て、自分はどちらも空がとてもきれいな絵で、すがすがしい気持ちになりました。(10代男性)
・絵から感じることを、それぞれの立場で意思表示をすることは、とても面白いと思いました。自分では表現できないけれども、聞きながら楽しみました。(60代以上・社会人)
・時間を長くしてほしい。分かり易い説明でよかった。(60代以上・社会人)
・昨日も思いましたが、あっという間に時間が過ぎていました。授業だけでなく、他の場面でも生かしていけそうだと思いました。(40代男性・中学校教員社会科)
・とても楽しかったです。脳美学の導入部はとてもむつかしそうでしたが、内容が深まるにつれ、とても楽しかったです。博物館も、美術館も、もっと楽しく鑑賞できそうな思いがしました。(60代女性)
・博物がおもしろかった。楽しい。美術も。(69才男性)
・少しあらすじに触れただけのような流れが残念でした。(60代以上男性・社会人)
・ここでラマチャンドランと再会できるとは驚きでした。以前、身体の部分を失った人が、無い部分の感覚を有することに関する研究者として紹介してもらったことを思い出しました。脳美学の創始者だったのですね。対話型の教育、ソクラテスの産婆法は大切です。学習者の能力を引き出し、学ぶことの喜びを見出させる為には、ぜひとも必要だと思います。この講演で再認識しました。(50代男性・社会人)
・話が興味深かった。ヴァーチャルがどこまで認められていくかが、どうなげかけていくのかが楽しみです。(50代女性・中学校教員)

★講演会について
・対話による鑑賞が、美術だけでなく、ものごとの仕組みなどを考えるために有効であることを知りました。ありがとうございました。(30代男性・中学校教員)
・今の自分の年を考え、焦りながら様々な事を聞き、観て、教えてもらいたいと思う。(60代以上・社会人)
・回数を多くしてほしい。(60代以上・社会人)
・いろいろと大変かと思いますが、本物の心が育ってゆく感じがします。もっともっと、普及できるようにご活躍ください。今後を楽しみにしています。(60代以上女性)

23日の研修会は一般の方を対象として、講義中心の内容としたが、前日に引き続いて「貝体新書」でもよかったのではないかと思いました。一般の方にも十分に興味深い内容だからです。しかし、私たちみるみるの会員の研修も兼ねているので、私たちにとっては、大野先生の講義は博物館を新たな視点で捉え直すことができて新鮮でした。
また、山口から遠路参加の先生がおられたので、時間は押せ押せでしたが、対話型鑑賞の実践も行いました。初参加の方もおられ、また、対話型鑑賞の普及につながったのではないかという手応えを短時間の実践ではありましたが、感じることができました。

22日の研修は会員の小川が、23日の研修は上坂が、25日の幼稚園実践は金谷がそれぞれレポートを担当していますので、届き次第UPの予定です。お楽しみにお待ちください。
では、また!!

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22日の浜田での「貝体新書」の活動と参加者のアンケート結果を報告します

2013-02-25 22:09:24 | 対話型鑑賞
22日の浜田での「貝体新書」の活動風景です



浜田市教育研究会 図工・美術部会 対話による学習(鑑賞)研修会
アンケートまとめ

参加者 性別 男性  5人 女性 7人   
    年齢 20代 1人 30代 5人 40代 5人 50代 1人 それ以上 0人
所属 小学校  4人  中学校 7人 それ以外 1人
    専門教科 音楽 2人 理科 3人 社会(美術)1人  美術 1人

アンケート

以下の質問に対して、4をより強くそう思うとして、該当する数値に○を付けてください

1)話し合いながら、考えを作り上げていくことは有意義だと感じた
  4 10人  3 0人  2 0人  1 0人

2)教科の学習に役立つと感じた
4 9人   3 3人  2 0人  1 0人

3)児童・生徒にもやらせてみたいと思う
4 8人   3 4人  2 0人  1 0人

4)自分の授業でも取り入れてみようと思う
4 7人   3 5人  2 0人  1 0人

5)今日の研修は有意義だった
4 11人  3 1人  2 0人  1 0人

6)このような研修会があれば、また参加したい
4 11人  3 1人  2 0人  1 0人

研修参加16名 うちワークショップ参加12名

参加者感想

○ たった一個の貝を、ここまでじっくり見たことはありませんでしたが、見るにつれ、自分で新たな発見を見つけることはとても楽しかったです。グループになっても他の方の意見を聞いて、さらに自分の考えが広がるようで、とても有意義でした。自分で何かを見つける楽しさ、久しぶりに「学習した!」と思いました。音楽という教科ですが、方法は違っても同じ鑑賞として、生徒に学習する楽しさを伝えられたらと思います。
 とても楽しかったです。ありがとうございました。
 貝の歯の精密さにびっくりしました!

○ 話すこと、聞くこと、考えることが楽しいと感じられる体験でした。学級、学級の実態によってこの授業を取り入れられるかどうか・・・だからこそ一年生での段階で、安心して発言できる環境づくりが大切だと改めて感じることができた。
 今の一年生ならおもしろい授業が展開できそうなので、ぜひやってみたいと思う。

○ あっという間に時間が過ぎた。観察したことを生かして、自分で作り出すことができるので楽しかったのだと思う。時間がかかるように思うが、理解することにおいても近道だと思った。ありがとうございました。

○ 美術鑑賞と理科がどのようにつながるのか興味津々でした。「見る・話す・聞く」がつながっていくことを体験できました。「見る・話す・聞くイコール図工・美術のみに使えるのでは」と言っている理科の同僚に、「見る・話す・聞く」は共通することなのだということを伝えたいです。 自然のデザイン力の素晴らしさに、改めて驚かされました。これから、何かを食べたりするとき(魚や貝etc.)今まで以上に見てしまいそうです。

○ 「見て考えることって楽しいんだな」ということを実感しました。
  見れば見るほど考えがうまれるし、考えれば考えるほど見たくなりました。なかなか理科や他の教科でじっくり取り組むことは出来にくいかもしれませんが、図工の鑑賞の中ではぜひ取り入れたいと思いました。

○ 自分の経験や他の人の話から、貝について色々と知り、見るだけでなく触ったり、なぜそうなっているのか考えてみることもおもしろかった。よく見て、話し合い、考えを練り上げていくことは、楽しかった。考える力が育つとも感じた。

○ 『自分が神様になったつもりで、生きるための効率的な形態を考える』というのはとてもおもしろい課題でした。でも、そこに至るまでに、貝殻の合わせから貝柱のあとと目に見えるものから入っていって、考えを深めていくのが楽しかったです。理科(生物)分野のVTS(ヴィジュアルシンキングストラテジー)を以前から話しに聞いてはいましたが、体験できてなるほどと思いました。
○ プロセスにしっかり時間をかけ、子どもが思考すれば結果はスムーズに入ってくるというのを実感した。(発達段階によると思うが)対話を積極的に取り入れることは必要だと日頃思っていたので、今後、図工の鑑賞以外でも取り入れたい。

○ 理科教員ですが、とても参考になりました。実際の授業では、同じように取り入れることは難しいと思いますが、テクニックは少しでも使えると感じます。「なるほど」と考えさせられました。

○ 観察して発見したことを明らかに述べようとすることが、同時に根拠となる事柄はどのようなことかを考えようとする活動に思えました。

○ 身近なものを題材として取り入れられていることから、子どもたちも興味が沸いてくると思いました。そして、そんな身近なものからこそ疑問は出てきます。その疑問に対して「自分で考えたから」→「先生の解説」もとても納得がいきました。ただ、正しい知識を伝えるのではなく、自由な発想が知識へとつながる、とても楽しい時間でした。何より「次が知りたい」「続きを調べてみよう」と思えることを、自分の授業でも子どもたちに伝えていきたいです。

○ 2時間があっという間でした。
  グループで話し合いながら、興味や考えが深まっていくのを感じ、もっと知りたい!と思うようになりました。自分の考えや他の方の考えでグループの意見をまとめていく過程で、房野先生が言われていた「自尊感情」につながっていく感じを持ちました。

研修会について(意見等)
○ 房野先生の研修も、大野先生の研修も大変分かりやすかったです。いろいろな人の意見を聞きながら、対話して深める、少しでも自分の授業に近づけたらと思います。

○ あっという間の2時間半でした。ありがとうございました。とても楽しく学ぶことができました。

○ このような機会があれば参加してみたいと思います。お世話になりました。

○ とてもおもしろい研修会でした。来られた方は、今までと違ったものを見る視点を得ることが出来たの、とてもとてもラッキーだったと思います。どんどん自分から研修に出る方が増えるといいですね。

○ 実際に自分が体験することで、その良さが分かりました。ありがとうございました。

○ 楽しい雰囲気で話しが進められていてリラックス(前半)できました。後半は真剣でしたが・・・ありがとうございました。
  ただ、話しをきくだけではなく、2時間近くこんなに一つのことについて考えたり話 したりしたことも初めてでした!!

○ 他の教科の先生方とのグループ学習は、新鮮でした。

○ グループ活動のおもしろさを体験できました。口・肛門・エラに焦点化することで推理の幅を絞ることができたことから、絵画鑑賞においては情報提供も有意義な展開になるように思いました。

○ 今日は、本当にありがとうございました。また参加させてください。自分が、話すときにグッと力が入って自身がなく話してしまうことも客観的に見えました。ありがとうございました。

○ 質問の時間が欲しかったのですが、生物(二枚貝)のことに対する質問でしたので、自分で調べようと思います。世の中知らないことだらけだと思います。

○ 温かく楽しい雰囲気でした。気軽な気持ちで話し合いに参加することができました。 この雰囲気で授業ができるような学級経営をしていこう!!と思います


参加してくださったすべての先生が研修が楽しく有意義であったと語ってくださいました。こんな研修はそう滅多にはありません。私たちは、仲間が体験し、それがとても有意義であったものについては、未経験の会員に提供するのに併せて、他の方にも研修の場を提供しようと思っています。そうして、体験したくださった方が、口コミで広め、また興味を持たれた方が企画した研修に参加してくださることで輪がどんどん広がって行くといいと思っています。今回講師でお招きした大野先生は京大の教授とは思えない気さくな方で、どこへでもお出かけくださいます。ブログを見られて興味を持たれた方は連絡を取ってみてください。スケジュールが合えば、お越しくださること間違いなしです。
私たちの会も、また来年度招聘を企画しています。
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小学校実践のアンケート結果から

2013-02-20 21:16:23 | 対話型鑑賞
校区の小学校6年生を対象に実践した様子については以前に報告しましたが、今回はその際に行ったアンケートの結果と感想文の抜粋を紹介します。

作品を見て話そう(6年生)アンケート結果(92名)

鑑賞した作品 草光信成「四人の子等」島根県立美術館蔵

授業のふりかえり 質問項目(評価は4がもっともそう思う:1がそう思わない→) 4:3:2:1
A しっかり絵を見ることができた                    65人:26人:1人:0人
B  絵を見てしっかり考えることができた               48人:40人:4人:0人
C 自分の意見を言うことができた                    22人:26人:27人:17人
D 友だちの意見をしっかり聞くことができた               60人:28人:4人:0人
E 友だちの意見を聞いて、自分の考えをより深めることができた      30人:48人:13人:1人
F このような鑑賞をまたやりたい                   54人:32人:6人:0人

鑑賞を終えての感想(抜粋)

○最初何を言えばいいかわからずにいたけど、どんな小さいことでもOKなんだとわかり発表できた。この作品を描かれた人にいったいどんな気持ちで描いたか、そしていろいろ不思議なことを聞いてみたくなりました。またやりたくなりました。
○絵について深く考えることができました。
○これから絵を見ることがあると思うけど、想像しながらみたいです。
○友達が、僕とは違う考えの人がたくさんいてびっくりしました。
○絵をみることでいろいろなことがわかるんだと思いました。絵にもいろいろな魅力があることがわかりました。
○みんなの意見が違って、自分の考えが変わったりして、よかったです。
○友達の意見を聞いていくうちに自分の意見が深まって楽しかったです。
○一つの絵でこんなにたくさんの意見が出ておどろきました。
○鑑賞をして興味を持てました。
○絵を見て、思ったこと、感じたことを発表したり、人に伝えたりすることは、おもしろいし、絵に興味を持ちました。
○人の意見を自分のと比べるのっておもしろいと思いました。
○いろんな人の意見を聞くと「なるほど。」と思うこともありました。
○自分がわからないなーと思った所もみんなが気づいていて、分かりました。
○深く考えるのがとて好きなので、とてもおもしろい授業でした。
○人によって感じ方はいろいろだなと思いました。
○始めは何をしているのか分かりませんでした。
○自分で思っていることを考えて伝えられてよかったです。
○鑑賞することで絵の中に入れた感じがしたりして、よく考えることができました。
○一つの絵でも考えることがこんなにたくさんあることが分かりました。意見を出し合い、想像するのは楽しいことだなと思いました。
○一つの絵に対してたくさん考えることができてよかった。
○1枚の絵をじっくりみた鑑賞はよかったな。
○絵をじっくりみて考えることはあまりないので貴重な鑑賞でした。見えないことも考えられたのでおもしろ
かったです。
○この機会で絵に興味が持てました。
○ふだん見ないような所でも注意してみれば、より深いことを考えることができることを知りました。
○自分の考えと友達の考えは違って、友達の考えを聞いて、とても考えが深まりました。いろいろな考えがあってとても楽しかったです。
○絵について分かったり、関心を持つことができて、勉強になりました。
○最初は何を言えばいいのだろう?と思って難しく考えすぎていたけれど、何でもいいと分かって、いっぱい手を挙げられてよかったです。
○絵を見て考えて、みんなで意見を出し合うのはすごく楽しかったです。
○1枚の絵からでもいろいろなことが考えられて、こんなに考えられるんだとびっくりしました。
○同じ1枚の絵を一人で見てひとつの考えでいるより、たくさんの人で見て意見を出し合い、自分の考えをいろいろ変えてみる方が楽しいなと感じました。「この絵を描いた人はどんな気持ちだったんだろう。」と思いました。
○みんなが違う意見を持っていることが分かりました。
○意見を出し合うのは楽しいな。
○よく見ると絵からいろいろなことが読み取れて違う意見が出ておもしろかったです。友達の考えからより考えを深めて、何かを発見する時はすごく楽しかったです。1枚の絵からこんなにたくさんのことが分かったのには驚いたし、これから、絵を見る時にいろいろな考えを持って絵を見たいと思います。
○他の人の意見を聞いて僕が気づかなかったことも分かったので、聞くことは大切だと思いました。
○ちょっとしたことでいいと言われて、発表できるようになって楽しかったです。
○今日みたいな授業をまた受け手みたいです。
○みんなと自分の意見を発表しながら考えていくと、とてもわかりやすかったし、進んでいったのでおもしろかったです。自分が考えている以上のことも友達の意見で分かるので、一人とみんなでは全然ちがうなと思いました。
○色々なことを考えないと授業に参加できないということが分かりました。
○自分なりの意見(四人の子等と言うタイトルを聞いて、乳母車の中のこどもは死んでいるのではないかと考えた)が出せてよかったです。
○なんか、見てその見たままのことを言うのがとてもおもしろかったので、家でもやろうと思います。

実践を終えて
 児童の記述の中から対話型鑑賞がねらうものに迫るものを取り上げ、一部抜粋で上に示しました。好意的な記述ばかりを取り上げたのではなく、「おもしろくなかった」「嫌だった」「もうやりたくない」という記述は一切ありませんでした。アンケートの集計結果からも明らかなように、Cの質問項目「自分の意見を言うことができた」だけが、低い結果となっています。これは、なるべく多くの児童に発言を求めたためで、挙手以外に指名もしましたが、それでも全員が発言することは不可能で、発言できなかった児童は評価の2や1を選んだためだと思います。しかし、発言はできなかったけど聞くことや考えることはできていたと感じているようです。記述の中にも多くの児童が「仲間の意見を聞きながら自分の考えを深めていくことができた。」と感じていますし、仲間の意見を聞くことで、自分との違いや仲間の意見で理解が深まったことも手応えとしてあったようです。
 また、美術科のねらう「美術を愛好する心情を育てる」ことにも効果があったと思います。児童の記述の中にも「絵に興味が持てた。」「絵について分かったり、関心を持つことができた。」等の記述からもそれが分かります。
 最後にこの日の出来事を日記に書いた児童の作文を掲載して、小学校6年生の実践報告を終わります。
「今日は、とてもいい、たくさんの意味が入った絵が見られて、その絵の事で、みんなと意見を出し合えて良かったと思いました。絵を見て思いを伝え合って考えを深めていくのは初めてではないけれど、あまりやったことがないので、今日は最初、なかなか手を挙げられませんでした。でも、みんなの意見がたくさん出てきたので私のそれに対する意見を言えるようになりました。小学校ではあまりやらない勉強を中学校に入る前に経験できてとてもよかったです。一人で絵を見ても同じ考えばかりでつまらないけれど、みんなの感じ方を知れるのはとても楽しかったです。またやりたいと思いました。」

さて、週末は浜田・益田で研修会です。月曜日には幼稚園で5回目の実践を行います。この報告もまた行いたいと思いますので、お楽しみに。
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