●「ダイビングするのだ」の巻き---その1●
バリ島での第1日目。この日は朝からダイビングに行くことになっていた。
6時半に頼んでおいたモーニングコールは、最大15分のズレを持って3回鳴った。けたたましく鳴る電話の受話器を取ると「グッモーニン、レディー♪」と陽気な声が聞こえた。このベルが鳴る前に、私も同室のIZUもとっくに着替えを済ませていた。遅いっつーに。
迎えの車がホテルに来るのは、7時10分。だが、ホテルのダイニングレストランが開くのは7時。
朝食はしっかり摂るタイプの私たちは、開店10分前にオープンカフェのようなレストランの席に着き、「朝食を素早く出してくれ」とオーダーして、無事にゲットした。急がせたせいか、スクランブルエッグには、たくさんの卵の殻の破片が入っていたがな。
*
約束の時間ちょうどにロビーへ行くと、すでにMZ兄がいた。それから迎えのワゴン車がやってきて、一旦、ダイビング請負店の事務所に寄ってから、海へと向かった。本来なら、事務所でさまざまな事務的手続きが行われるはずだが、ダンドリストMZ兄が日本から手配してくれたおかげで、契約書(「事故っても文句言いませーーーん」とかの)にサインをするくらいで、さくさくと済んだ。
そして、海である。
まだ8時ごろなのに、太陽の高さは真昼並だ。木陰を選んでIZUと私は、日焼け止めを塗り始めた。
近くのレストラン(どう見ても海の家で、それ以上でも以下でもない)では、シャワーとトイレが完備されているらしく、ここで船を待つようにと言われた。
MZ兄の予定表によると、私たちはここから船に乗って「ヌサベニダ島」周辺で2本潜ることになってるらしい。
ワゴン車は、私たちの他にも数人のダイバーを、海へ運んできた。
……ってあの人たち、さっきの事務所でお会いしたよねぇ。さくさく手続きして、いい気分になってたのに、何か切ないねぇ。
レストランには(あっという間に)船待ちのダイバーでいっぱいになったので、私たちはさっきの木陰に戻って、ボーっと海を眺めていた。空気がじっとりと湿り気を帯びていて、熱い。黒い野良犬がやってきて、昼寝場所を探していた。暇だったのか、もはや習性なのか、MZ兄がその様子を撮影する。
最初はおしゃべりを楽しんでいたIZUと私も、「暇だね……」と黙り始めていた。既に待たされてから1時間経ったという。
「つか、これほど時間があったなら、もっとゆっくり朝食が摂れたじゃん!」
*
なんと船がやってきたのは、3時間も待たされた後のことだった。
集合をかけられ、フラフラと集まる。ホテルから水着を着ていたので、水の中に入って船までザブザブと歩いた。
かろうじて屋根がある船には、事務所の人(ダイバーを含む)が全て現地の人で5人、そして私たち3人を含めてお客は全て日本人で10人いた。日本人の内、1人はバリで働いているため、黒く焼けていて現地語も話すので、最初、事務所の人かと思ってしまった。(でも、手伝わされてた)
IZUと私はダイビング初体験。今回は体験ダイビングということで、プロのダイバーと手をつないで泳ぐことになっていた。
日本国内の海をぶいぶい言わせてきたらしいMZ兄は、「俺、海外初めて。すっごく嬉しい」と嬉々として、リュックから何か器械を取り出した。
それは・・・もしや?
「スゴーーーイ」と周囲のダイバーの注目を集めたMZ兄のそれは、もちろん水中カメラ。しかも多機能さが見た目からも伝わるゴッツさで、かなり重い。
「俺の荷物のカサ、半分はコイツなんだ♪」あ、サイでっか。
でも、水中カメラはすっかり失念してたので、ここではちょこっと褒めておこう。(IZUはカメラを全く持ってきてないけど)
ぶぉぉぉぉぉ---、と派手な音を立てて、船は一路ヌサベニダ島へ向かった。
バリ島での第1日目。この日は朝からダイビングに行くことになっていた。
6時半に頼んでおいたモーニングコールは、最大15分のズレを持って3回鳴った。けたたましく鳴る電話の受話器を取ると「グッモーニン、レディー♪」と陽気な声が聞こえた。このベルが鳴る前に、私も同室のIZUもとっくに着替えを済ませていた。遅いっつーに。
迎えの車がホテルに来るのは、7時10分。だが、ホテルのダイニングレストランが開くのは7時。
朝食はしっかり摂るタイプの私たちは、開店10分前にオープンカフェのようなレストランの席に着き、「朝食を素早く出してくれ」とオーダーして、無事にゲットした。急がせたせいか、スクランブルエッグには、たくさんの卵の殻の破片が入っていたがな。
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約束の時間ちょうどにロビーへ行くと、すでにMZ兄がいた。それから迎えのワゴン車がやってきて、一旦、ダイビング請負店の事務所に寄ってから、海へと向かった。本来なら、事務所でさまざまな事務的手続きが行われるはずだが、ダンドリストMZ兄が日本から手配してくれたおかげで、契約書(「事故っても文句言いませーーーん」とかの)にサインをするくらいで、さくさくと済んだ。
そして、海である。
まだ8時ごろなのに、太陽の高さは真昼並だ。木陰を選んでIZUと私は、日焼け止めを塗り始めた。
近くのレストラン(どう見ても海の家で、それ以上でも以下でもない)では、シャワーとトイレが完備されているらしく、ここで船を待つようにと言われた。
MZ兄の予定表によると、私たちはここから船に乗って「ヌサベニダ島」周辺で2本潜ることになってるらしい。
ワゴン車は、私たちの他にも数人のダイバーを、海へ運んできた。
……ってあの人たち、さっきの事務所でお会いしたよねぇ。さくさく手続きして、いい気分になってたのに、何か切ないねぇ。
レストランには(あっという間に)船待ちのダイバーでいっぱいになったので、私たちはさっきの木陰に戻って、ボーっと海を眺めていた。空気がじっとりと湿り気を帯びていて、熱い。黒い野良犬がやってきて、昼寝場所を探していた。暇だったのか、もはや習性なのか、MZ兄がその様子を撮影する。
最初はおしゃべりを楽しんでいたIZUと私も、「暇だね……」と黙り始めていた。既に待たされてから1時間経ったという。
「つか、これほど時間があったなら、もっとゆっくり朝食が摂れたじゃん!」
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なんと船がやってきたのは、3時間も待たされた後のことだった。
集合をかけられ、フラフラと集まる。ホテルから水着を着ていたので、水の中に入って船までザブザブと歩いた。
かろうじて屋根がある船には、事務所の人(ダイバーを含む)が全て現地の人で5人、そして私たち3人を含めてお客は全て日本人で10人いた。日本人の内、1人はバリで働いているため、黒く焼けていて現地語も話すので、最初、事務所の人かと思ってしまった。(でも、手伝わされてた)
IZUと私はダイビング初体験。今回は体験ダイビングということで、プロのダイバーと手をつないで泳ぐことになっていた。
日本国内の海をぶいぶい言わせてきたらしいMZ兄は、「俺、海外初めて。すっごく嬉しい」と嬉々として、リュックから何か器械を取り出した。
それは・・・もしや?
「スゴーーーイ」と周囲のダイバーの注目を集めたMZ兄のそれは、もちろん水中カメラ。しかも多機能さが見た目からも伝わるゴッツさで、かなり重い。
「俺の荷物のカサ、半分はコイツなんだ♪」あ、サイでっか。
でも、水中カメラはすっかり失念してたので、ここではちょこっと褒めておこう。(IZUはカメラを全く持ってきてないけど)
ぶぉぉぉぉぉ---、と派手な音を立てて、船は一路ヌサベニダ島へ向かった。