ロックな幸せ☆

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”Mission Impossible!”---バリ島旅行記 その10

2005-03-29 | 旅行記
●「完璧な夕日を求めて」の巻き---その2●
そして旅行の最終日。IZUと私はパッキングを済ませた後、朝食をとった。「今日はIZUの希望通りの夕日が見られるといいね」と私が言うと、「・・・あのタクシーの運転手が・・・」IZUはフルーツ皿にグサッとフォークを突き刺した。「あの運転手はムリだって言ってたね。絶対見てやるんだから!」

「Your mission must be impossible・・・」昨日乗ったタクシーの運転手の言葉だった。「この時期、あなたの言うような夕日は見られないさ」と。(映画のタイトルにひっかけてムリに"Mission"という単語を使ってる。深い意味はない)
「でも昨日、夕日は見れたじゃない(バリ島旅行記 その9参照のこと)、いちおう」と私が言うと、「んーーー、100点満点中の25点なの、あれは」とIZUは欲深いことを言う。「さて、そろそろ迎えが来るから、行こうか!・・・絶対、Possible(可能)にして見せるんだから!」とIZUは息巻いた。

ロビーで荷物を預かってもらっていると、今日丸1日の案内役を務める人の車が、既に来ていた。その人はMS兄と談笑しており、私たちの姿を認めると挨拶をした。
「昨日は夕日を見れたよ。でも私が思う完璧なのじゃなかったの。今日は見れるよね? 完璧な夕日」IZUがちょっとタカビーにも見える態度で聞くと、運転手の彼は「If you all are lucky・・・(もし、運が見方につけばね)」と言ってからしばし黙り、それから言葉を続けた。「But, I think your mission must be impossible・・・(でも、ムリだと思うよ)」にやりと笑う。そう、この人が昨日の運転手さんだった。

*

お話は1日前、それも私たちが海岸沿いをえんえんと歩くハメになるよりも前にさかのぼる。

その日を「買い物の日!」と決定した私たちは、免税店(DFS)の無料タクシーなどを駆使して、クタの町にあるお店を片っ端から見ていた。
私は母が希望するバリ舞踊のお面を探していて、イズは「ゲッコウ(ヤモリのこと。発音は”月光”と同じ)の飾りがあるといいな~」なんて言いながら、アジアン雑貨の店を次々と見て回っていた。MS兄は私たちの買い物の様子を、相変わらずカメラで撮影していた。

2人が希望通りの物をそれぞれ買い求められた時点でスコールが降ったため、タクシーを捕まえて場所を移動することにした。DFSのエントランスにいたおじさんの手配でスムーズにタクシーを捕まえられた私たちは、運転手に行き先を英語で告げた後、日本語で会話し始めた。

「バリの籠バッグってかわいいから、これもお土産に買おう」と私がガイドブックを指差しながら、IZUに伝える。「そうだね、MS兄、適当に籠バッグのありそうなお店はない?って運転手さんに聞いてみて。英語で」とイズが言うと、助手席でカメラ録画をしていたMS兄が「ん~なんだ~?」とのん気そうな声を出して、後部座席の私たちの方を振り返る。「あー、もう、また撮ってるし!」とIZUが怒る。

私たちのやりとりをしばらく聞いていた運転手が、ふと質問をしてきた。「Where are you from?(どっから来た?)」MS兄が「Japan(日本)」と答えると、「I mean・・・Where do you stay?(そうじゃなくって、どこに泊まってる?)」と聞き直す。MS兄がホテル名を教える。バリに来てから何度タクシーの運ちゃんにホテル名を聞かれたことだろう! 別にこれからホテルに戻るわけではないのに!と思った私は日本語で「何でそんなに、ホテルがどこかを聞きたがるかねぇ」とIZUに小声で話しかける。するとIZUが「それはね、それしか会話がないからよ」と日本語で答えた。その瞬間・・・

ぷっ。

吹き出した者が役1名。IZUでもMS兄でも私でもない・・・とすると・・・。
「あの、日本語が分かるんですか?」私が日本語で聞くと、運転手さんは「はい、少し」と答えた。聞けば最近まで学校で習っていたという。
「最近って・・・いくつなんですか?」ついでに年を聞くと、IZUと私の一つ年下。「うーーーん、若いな」とうなるMS兄に、ちょっと黙っててもらって生まれ月を聞くと3月生まれだと言う。何だーーー。タメ(同い年)じゃん!! 「なんだよーーー、俺だけ仲間はずれかよーーー」と嘆くMS兄は放っておいて、私たち2人は同い年だとアピる。そんなことしても何にもならんがな。ついでに未婚だそうだ。だからその情報もそこから何も広がらんがな。

日本語ができることをばらした途端に、彼は雄弁になった。
「籠のバッグだったらウブドに行くといい。あそこは芸術の村で、絵画や布をはじめとして多くの工芸品が、ここ(クタ)よりもずっと安く手に入る。しかも品もずっと良い。クタは観光客が来るところで、全てがとても高い。クタに行くとしたら、半日以上は必要だ。丸一日タクシーの運転手を確保したいなら、日本円で4千円くらいで見つかるだろう」

すると、MS兄が「え!」と驚きの声を上げた。IZUと私がエステに行っていた間、彼は一人でタクシーの運転手を半日雇って小旅行をしていた。「半日で3千円したよ。日本円で」と言う。ここでは初乗りが40円、ちょっと高いんじゃないか?と思うと、「高いネ。あなたたちが日本人だからだよ」と運転手さんが同意する。

こないだホテルに戻る際に使ったタクシーは、やけに遠回りをしてボろうとした。「この辺行きは歩いてきたのに、車でこんなに遠いはずないじゃん?たとえ一通だとしても」と後部座席でIZUとひそひそと話してた。下車の際にMS兄が頑張って交渉したが、「だって俺、お釣りもってないもーーーん」と言われ、お札しかなかった私たちは結局多めに支払ってしまった。「それも日本人だから」と運転手が深く頷く。

「それじゃあさぁ」MS兄が言う。「ちょうど明日、俺たちもウブドに行こうと思ってて、タクシーを予約しようと思ってたところだから、彼にお願いしないか?」
サンセットクルーズの予定をキャンセルしたのでスケジュールが空いたため、ダンドリストのMS兄はやきもきしていたのだ。でもこの人なら日本語が分かるし(英語さえ通じない運転手もいる)、4千円だと言ってるし、いいかも。
「お願いしよう。明日、1日4千円で」ということで、決まった。

「・・・それで明日のことはいいんだけど、今日、天気予報を見てないんだ。夕日見られるかな?」とIZUが話を変える。運転手さんはIZUの言う事が理解できなかったのか、無言のままハンドルを握ってる。
「水兄!通訳!」とIZUが指示する。(元航空業のIZUの方が英会話は得意なのに。/笑)
「Sunset!」MS兄が単語で説明する・・・。(大学は外国語学科を卒業したくせに。/笑)
しばしの沈黙の後、「Rainy season. It will be soon・・・(雨期だから雨が降るよ)」と言いかけるのをIZUは遮って、「私は夕日を見に来たの!」と叫ぶ。だから英語で言えって・・・。
運転手さんは再びしばし沈黙して「Your mission must be impossible・・・(ムリだよ、きっと)」と言い、車を止めた。目的地に着いたのだ。

「Mission Impossible?!(ムリですって?!)」IZUが下車しながら口にした。運転手さんがエスコートをする前に。
「But, Our first aim is to see the sunset under the clear sky.(キレイな空の下の夕日を見ることが目的で、わざわざ来たんだから!)」IZUが宣言する。って、いつから私たちの旅行の第一目的が、夕日を見ることになったんだ?
「See ya tomorrow.(では、明日)」
雨はやんでいたが、道路にたまった水を跳ね上げて運転手さんの車は去っていった。

3人とも握らされた彼の名刺を見て、IZUは「何でBMWの写真が刷り込まれてるのよ、実際は違うのに!」と文句を言った後、「100点満点の、脳みそが溶けるような視界いっぱいの夕日が見たい!!」と、歩き出したのだった。

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2 コメント

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この前の・・ (ゆき)
2005-03-30 19:27:11
夕日で十分私は脳みそとけちゃうな~~(笑)

都庁の夕日で大騒ぎしちゃったしね。。(爆)



英会話どころか、英語はできん!のゆきさんは、こういう心強い旅のお供がほしいわぁ~~



で、夕日は次回なのね?
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心強い・・・かな?(笑) (みお@Weblog管理人)
2005-03-31 16:04:48
イズの英語の部分は、私の適当な英作文です。実際はこの人、もっと(スゴイ事を)しゃべってる。

悪いコミュニケーションをしてくれちゃってます。周囲は気が気じゃありませんでした。ドキドキドキ。心弱くなります。



夕日の写真、次の次・・・かな? えへ。



あ、そういえば今日、東京で桜の開花発表がありましたね。
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