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爆音上等!すわべーすブログ「ていおん!」

2009-06-14 22:08:00 | ベースの話題
足掛け2年越しに帰って参りました「爺」です。


バーンズ・ハコベース「爺」

バーンズと言っても英国の「BURNS」とは無関係です。
60年代の前~中盤・・・ヴェンチャーズ等に端を発するエレキブーム頃からビートルズの大人気~GSブームの頃。
原楽器と言う楽器店(先日倒産・廃業した原楽器?)が立ち上げたブランドが「バーンズ」でした。
後に、国産初となるギブソン・レスポールのコピーモデル「ルーカス」を販売した事で有名です。

モデル名も生産年度も全く判りません。
(バーンズの生産はテスコの工場だったと言う話を聞いた事がある程度です)

ある方から「貰った物だけど、自分が持っていても役に立たない」と言う事で私に譲って頂いたのです。
もしかしたら、私より年上かも・・・
若く見積もっても、GSブームが終息する69年頃までの製作でしょう。
これを入手した時、所有楽器中で間違い無く一番古いと言う事で「爺」と名付けました。
(現在では65年製PB「ジャックくん」が、生産年が判ってる一番古い楽器です)

私が入手した時点で、相当長期間使われていなかった様子でして、相当ガタが来ていました。
特に困ったのはネック。
トラスロッドをいくら調整しても順反りが直らないのです。
と言うか、ロッドをいくら回しても締まり切らない(普通は締めて行くうちに締まり切ってしまう)のです。
手に負えないので、YGK山崎氏に相談してみたところ・・・ロッドは全く効いていない事が判明。
ネックの反りを調整する為の鉄心ではなく、単なる補強材として入っていただけのようでした。
もっとも、補強の役をしていたとも思えないのですが(苦笑)

指板材・ネック材共に正体不明の木材で、山崎氏曰く「少なくとも楽器に使われている材で見た事が無い材」との事。

当初、指板を一旦剥がしてロッドを仕込み直して指板を新製すると言うプランだったのですが
ネック自体の構造が「直すのもどうよ?と言う感じ」でして・・・(汗)
結局ネック自体を製作して交換と言う事になりました。
同時にPU以外の電気系の全交換、それに伴いちょっとした加工をお願いしたのが2年前(爆笑)

いや、YGKは山崎さん一人で「完全手作り」の楽器工房でして、特にYGKのウクレレ「sofra」は多くのバックオーダーを抱えているほど。
それをこんな奇妙な楽器で煩わせるのも悪いので「急ぎの物を優先して、コレは後回しでいいですよ」と、私からお願いしたのです。

後回しにしている間に材のシーズニングが出来たと思えば、悪い話じゃないだろう、と(笑)


ボディ全景。

何とも時代を感じさせる仕様です。
ボディ材はベニヤ板です。
アーチドトップ/バックですが削り出しの筈が有りません、当然プレスによるアーチです。
PUはメタルカバーの付いたシングルコイル2基。
リアPUがそれほどブリッジ寄りではないのがポイントかな?
操作系はPUセレクタースイッチに各PUのヴォリューム/トーンと言う2V2T構成。
ただ、このヴォリューム/トーンの並びがギブソン系とはちょっと違いまして・・・
当時の国産品に多かった並びで、この画像で見て左上がフロントVOL・右上がフロントTONE。
左下がリアVOL・右下がリアTONEと言う配置になっています。
・・・これ、替えようかな・・・

で、さらにおかしな点がボディの構造。
ボディが中空になったいわゆるハコ物・ホローボディなのですが、セミアコ構造では有りません。
内部にセンターブロックを持たないフルアコ構造なのですが、ブリッジとリアPUの間あたりに柱が立っています(ヴァイオリン属の魂柱に相当?)

うーん、強度確保の為の柱なら、ブリッジの下が適切な気がするんですが・・・

ピックガードは見事に「ライムグリーン」になっています。
白/黒/白の3プライ構造の表面に当たる白が透ける様になってしまい、間に挟まれた黒が透けて緑色っぽく見える事から「ライムグリーン」と呼ばれます。
この色合いはフェンダー製のヴィンテージ楽器の物を模した交換パーツでもよく使われています。
ピックガード上のフィンガーレストは木製です。
側面はわざわざ指の掛かりを考慮した凹型に細工されています。

テイルピースはトラピーズタイプ、ブリッジは当時のハコ物に良く使われていた汎用部品のようです。


ヘッド正面。


ヘッド裏面。

ヘッドは「マッチングヘッド」です(笑)
元々はギブソンのようにヘッドに角度が付いていたのですが、安価で済むフェンダー式で2対2レイアウトと言う形状にしました。
(ヘッドに角度を付けると、材取りが大きくなるので材の価格が跳ね上がる)
ナットに掛かるテンションは、ヘッド面との段差で稼ぐ形ですね。
フェンダー式と言うよりは、むしろリッケンバッカー式に近いかも。

ロゴプレートはオリジナルからの移植です。
プレート裏面に2本の釘が飛び出していて、それでヘッド正面に取り付いています。
ロゴの書体が60年代っぽいですね。

ペグもオリジナルからの移植です。
これも当時の国産ベースに良く使われていた汎用部品です。
精度は・・・ちょっとシャレにならないかも(苦笑)
もしこの先交換する部品があるとしたら、ペグですね・・・
今なら軽くて高精度なペグが有りますから、そう言った物にしたい所です。

ヘッド裏には「山崎ギター工房」のスタンプ。
正面はオリジナルに対するリスペクトでロゴを移植しましたが、裏には製作者へのリスペクトで、私から「YGKのスタンプを捺して欲しい」と頼みました。

ちなみにネック材はメイプル、指板はローズ、ポジションマークはオールドJBのような「クレイドット」です。
(オリジナルのポジションマークはブロックタイプだった)

弦はロトサウンドのブラックナイロン弦「TRU BASS」です。
ショートスケールの楽器ですが、トラピーズテイルピースの為に適合するのはミディアムスケールになります。
丁度ロトサウンドのミディアムスケールブラックナイロン弦だと、ヘフナー#500/1(ポール・マッカートニーが愛用しているヴァイオリンベース)用が有るので、入手には苦労しないでしょう。


ボディ側面。

ボディ厚はフチの部分で約50mm、結構な厚みが有ります。
エッジのバインディングが浮いて来ていて、結構角が当たって痛いかも(汗)


ボディ背面。

先に挙げた「ちょっとした加工」がこれです。
コントロール部裏面に開口部を追加、要はアクセスホールです。
ハコ物ですと、正面のPU取り付け穴や共鳴用のfホールから電気系の部品を入れて取り付けるのですが
コレが実に「ボトルシップを作るのと変わらない」と言う難易度なのです。
(個人的には「ボトルシップと鉄道模型には手を出すな。社会復帰出来なくなる」といつも言っています(笑))
電気系のメンテナンスのしやすさを考慮してこの加工をする事にしました。
音色的には蓋をすれば変わりません。

さて、肝心の音色ですが・・・

これは「箸にも棒にも・・・」です(爆笑)
もう何と言ったら良いか・・・何処で使うんだよ?と(苦笑)
60年代のポップス系やGS物にはドンピシャですが、それ以外ではちょっと・・・

それと、構造的な面から来る「弦の張力が不足している」と言う部分がかなり難儀です。
低音弦、特に4弦の音程感は非常に悪いです。
弦の張りが緩いので、弦振動が無駄に暴れるんですね。

当時のベースに「ミュート装置」が装備されている理由が判った気がします。
ミュートを噛ますと、この「弦振動の無駄な暴れ」が抑制される面があるのです。

うーん、ミュート装置をどうするか考えてみよう・・・
常時ミュートしっぱなしなら簡単なんだけど、必要に応じてミュートを解除出来る構造って出来ないかなぁ・・・

6/15追記


スゴイ位置のストラップピン(笑)

この位置だと、大抵のストラップではタブ(ピンに引っ掛ける部分)が邪魔になります。
しかし、偶然にも「ぞうさん」用に使っていたストラップがドンピシャ適合。

ホローボディで、ネックがしっかりした作りの物になったせいでヘッド落ちが酷いです。
ストラップにゴム系接着剤で滑り止めを施しているので、何とか凌げております。
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7 コメント

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Unknown (440)
2009-06-15 20:56:20
アクセスホール便利そうですね~!!

それにしてもストラップピンが凄い所に付いているような気が。。。

見た目も入れて名前は「爺」から「爺さん3号」てのはどうでしょうか?「爺335」
返信する
Unknown (管理人)
2009-06-15 22:08:35
440さん>
そうなんですよ、すごい位置に付いてます(笑)

追記と言う形で画像も上げてみました。
ネックのヒール部とのスキマがそれほど無いので、幅広のストラップは使えません。
このストラップは先端がかなり細くなっているので大丈夫です。
細いストラップって持っていないんですよ・・・実は。
あるいは、スリット調整タイプのストラップで細くなっている側をこちらに使うか、ですね。

アクセスホールは絶対にメンテが楽になると確信しています。

ES-335と言えば・・・
440さん、The Joeのトップページで335を持っていますね。

このベースに関しては、仮説があるのでまた記事にします。
返信する
Unknown (440)
2009-06-15 23:12:11
やはり~!
それにしても凄い所に付けたもんですねぇ~。製作に関わった面子は何も思わなかったのでしょうか~?
工場の方も。。。

ES-335〉
今まで「The JOE」のライブでは一度しか弾いた事ないんですよ。いつもレスポールですから。
335をステージで使ったのは「The JOE」を含め過去に2回だけです、もっぱら家用(たまにはスタジオでのジャムセッション用)と化しています。
だって持ち出すと気を使うんですよね、レスポールよりナイ~ブちゃんですから~。
それがですね、ライブ前日にたメインのレスポールの電気系統の調子が悪いのを発見してですね(焦)
たまたま使った訳なんですが、写真が良く撮れていたが為に後日トップページがその当日の物に変わった訳なんですよ~!(管理人ではないので差し替える事も出来ず。。。)
335弾きと思われるんじゃないかと毎日ビクビクしながら生活しております(笑)
こんな事なら違うレスポール使っとけば良かった~。
「爺」と「335」が並んだら凄い絵になるでしょうね~
返信する
Unknown (管理人)
2009-06-16 00:36:52
440さん>
>製作に関わった面子

話が訊けるものなら聞いて見たいです。

検証していてある仮説にたどり着きました。
記事も今UPしました・・・真相は如何に?!

>335

そうだったんですか!
てっきり「ああ、さすが440さん。335も押さえてるんだな」と(笑)
クラプトンもチェリーレッドの335を使っていた(クリーム末期?)し、当然のチョイスだとばかり(笑)

>「爺」と「335」が並んだら凄い絵に

いろんな意味で(笑)
返信する
Unknown (上海)
2009-06-16 12:22:29
ZO-3に対抗してZI-3で・・・
つーか、ブラックナイロン張ったらかっこいいですよ。
返信する
Unknown (440)
2009-06-16 19:41:25
「ああ、さすが440さん。335も押さえているんだな」と(笑)>
押さえまくりですよ。そりゃ~ジョンのCASINO(ルーフトップのジョンは最高にかっこ良い!!) クラプトンの335は憧れでしたからね。
CREAMのフェアウェルコンサートを見た時の影響はかなりあります。クラプトンの335は64年でインレイがブロックタイプですが、私のは59年の
リーシューモデルなのでドットですけど、色はチェリーレッドに拘っていました。「335はチェリー」って感じで。。
家では335弾いている方が多いかもですよ。

当然のチョイスとばかり(笑)>
「The JOE」のようなハードなロックにはやっぱレスポールがぴったりです。
335はレンジが広くて色々なジャンルで使えますがパワーが無いですから~。うちのバンドはツインギターなんでパワー無くても良いんですけどね。
335使うのはこの曲みたいなものもあったりしますし。

因みにレスポールを弾くようになったのはクラプトンとベックの影響です。年代的に良く勘違いされますがスラッシュやザックではありません。
ここは非常に重要です!!!(力説)

ルーク・モーリーは同じ匂いを感じております。。。。。。

上海さん>
「ZI-3」いいっすね~。

返信する
Unknown (管理人)
2009-06-16 21:41:16
上海さん>
「ZI-3」と来たか(笑)コレ、いただきます(笑)

ブラックナイロン弦は格好良いです、これには良く似合います。
間違ってもラウンドワウンドは張りたくないです(笑)

・・・修理に出す前はラウンド弦張ってましたが(苦笑)

440さん>

>335はレンジが広くて色々なジャンルで使えますがパワーが無いですから

なるほど、そうなのですか。
私のイメージ(貧困)だと、335=ラリー・カールトンになってしまったりします(汗)

>年代的に良く勘違いされますがスラッシュやザックではありません。
>ここは非常に重要です!!!(力説)

了解です(喜)

私の世代でハードロック系だと、渋い所でシン・リジィのスコット・ゴーハム&ブライアン・ロバートソン~スノーウィー・ホワイト。
初期ホワイトスネイクのバーニー・マースデン&ミッキー・ムーディー。
オールマン・ブラザースのデュアン・オールマン&ディッキー・ベッツと言う「レスポールでツインギター」と言うコンビかな?

忘れちゃいけない、サンダーのルーク・モーリー&ベン・マシューズ(喜)
返信する

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