みのる日記

サッカー観戦記のブログです。国内外で注目となる試合を主に取り扱い、勉強とその記録も兼ねて、試合内容をレポートしています。

ミラン × インテル

2006年10月29日 | サッカー: セリエA
06/07 セリエA 第9節: ACミラン 3-4 インテル・ミラノ

重要なダービーの一戦を前に、FWの起用で頭を悩ませる両チームの監督。ミランのアンチェロッティ監督は、とうとう絶不調男・ジラルディーノをスタメンから外して、インザーギのワントップに攻撃を託す決断を下します。
インテルでは、自身の不調および起用方法で不満を募らせていたアドリアーノが、チームと本人双方の了承による、シーズン中での帰国という異例の措置で、ブラジルへ行ってしまいました。再合流時期は不明です。まあ、インテルにとっていま最大の悩みの種といえる存在であっただけに、これでかえってスッキリとして、チームがまとまってしまうかもしれませんけれどね・・・。シーズン途中から先発起用されて、それに応えるパフォーマンスを見せてきたレコバは、前の試合で肉離れの負傷です。このダービー戦は先発も有力視されていましたが、無念の欠場となってしまいました。2トップは結局クレスポとイブラヒモビッチ。結果を残してきたクルスもベンチスタートです。

そのワントップのミランですが、FWが1人な分、普段より中盤の選手の攻撃意識は高く見られましたが、決してバランスは良くはありませんでした。2列目に備えるセードルフとカカは、ともに縦への意識が強すぎて、中盤から多角的な組み立ては出来ず、ことごとくインテルの最終ラインに吸収されていってしまいます。結局はセードルフとカカによる何本かのミドルシュートと、試合開始直後に来たフリーキックからのカラーゼのビッグチャンス(これが決まっていたら、また試合展開はガラっと変わっていたのでしょうが)しか、攻撃機会を生み出すことが出来ていませんでした。

先制点はインテルです。前半17分、右後方からのフリーキック。ゴール前は守備をするミランの選手が乱立していましたが、それらをかいくぐって上がってきたボールにヘッドで合わせて叩き込んだのはクレスポでした。対角線上に位置するゴール右サイドネットに突き刺さる、見事なヘディングシュートでした。ミランはそのクレスポの前に重なっていた選手が実に3人。人数の多さをいいことに、少しマークが甘かったでしょうか。
さらに22分、今度は流れの中からスタンコビッチが鮮やかなミドルシュートを沈めて追加点を獲得します。シュート自体も秀逸でしたが、これに至るインテルのパスワークがまた素晴らしいものでした。シーズン序盤には出ていたぎこちなさが一切見られず、ワンタッチ、ツータッチで相手を全く寄せ付けないボール運びからペナルティエリア前まで進入に成功し、スタンコビッチがフリーで飛び込んでこれるというシーンを演出させました。
ミランから2度もゴールをこじ開けるという、最高のかたちでインテルは充実の前半を終えます。

後半が開始されると、普段は慎重派であるアンチェロッティ監督が思い切った作戦に出ます。ジラルディーノ、オリベイラ、マルディーニと3選手を一気に投入し(OUTはインザーギ、アンブロジーニ、ヤンクロフスキ)、2トップに戻して劣勢をひっくり返しに行きます。
ところが攻勢に出た矢先の後半1分でした。インテルにカウンターを許し、スタンコビッチが独走のドリブル。ラストパスを受けたイブラヒモビッチの突入に、ネスタのタックルも及ばず突破され、そのまま失点してしまいました。非常に痛い3失点目でしたね。今日のスタンコビッチ、90分運動量も高く決定機によく絡み、目覚しい活躍を披露してくれました。
しかしながら、このミランの交代は成功していました。前線に起点が見つかると、サイドからの攻撃も復活し、以降は圧倒的にミランのペースとなってきます。
失点直後の後半5分、左サイドの攻撃からこぼれてきたところをセードルフがミドルシュート。これが相手の選手に当たってゴールに吸い込まれ、追撃の1点となりました。これを皮切りに、ビエラからボールを奪取して最後にはジラルディーノが、コーナーキックのチャンスからはマルディーニがシュートを放つなど、攻撃が活発になってきます。
後半10分にはジラルディーノがヘディングでついに今季待望の初ゴール、かと思われましたが惜しくもオフサイドの判定で得点には至らず。ミランの猛攻は続きます。

しかし!数少ないチャンスをフリーキックというかたちで得たインテルが、またもそれをモノにしてしまいました。右サイドからファーへ放り込まれたボールが、前線に上がってきていたマテラッツィの頭のもとへ。これを豪快なヘディングで決めて、何と4点目。再びゲームを3点差とします。この時のマテラッツィは、いわゆるドフリーの状態でした。今日のミラン、セットプレーでの集中力が問われる、悔しい失点が続いてしまいます。
これで喜びに沸いたマテラッツィですが、問題児ぶりを発揮してしまいました。すでに警告を受けていたにも関わらず、得点のパフォーマンスでユニフォームをたくし上げて、禁止されているメッセージ付きのアンダーシャツを見せて回り、非紳士的行為として2回目の警告を受けました。ゴールもつかの間、そのまま退場です。唖然としてしまいました。退場の際には3点差の余裕からか、笑顔ものぞかせる始末。チームの主力としての自覚が足りないのでしょうか、開いた点差のなかでも、ミランの流れのままに残される10人のことをもっと考えてほしいところですね。確かに守備に得点にと個人技の高さが出ていましたが、それらを帳消しにして有り余る行為で、サポーターからも非難がなされるべきでしょう。
結果的に、数的不利となったインテルはミランに猛追されることになってしまいます。

左サイドバックのグロッソに代わって途中出場したブルディッソが、その空いた中央の守りを緊急的に担当します。そしてサネッティが引き出されるように、中盤も後方もその左サイドを駆けずりまわされる羽目になりました。その弱点をミランが徹底的に攻めます。カフーの攻め上がりが格段に増し、決定的なチャンスが再三ここから作られるようになってきます。
そのカフーからのクロスを、コルドバは懸命に競り合いますが、ジラルディーノが一歩勝ってヘディングしてゴール。今度こそ正真正銘の自身初得点を挙げ、試合を2-4とします。

10人になってからのインテルは、こうした事態に、何か手を打たなければならないことは明確でしたが、交代枠を1つ残しているマンチーニ監督はその行使に対して迷いに迷います。クルスが、ソラリが、スタンバイを終えて準備に入っていましたが、展開を慎重に様子見て、なかなか決断を下せません。ピッチではカフーが暴れまくっていて、キーパーのジュリオ・セザールの出番が頻発しています。また、どうもワンボランチで耐えていたビエラが負傷した模様で、足を引きずるようになっていました。クレスポも、もう疲労感一杯。どうするのでしょうか。
そしてようやく後半38分に実現した交代は、イブラヒモビッチを下げてDFのサムエルを入れるというものでした。もちろん守りきるという意図でのものですが、あまりにも遅かったですね。またビエラの状態は予想以上に芳しくなくて、全く動けずに、実質9人で戦っているような状態でもありました。結果的に何とか耐え忍んでいましたが、もしこの猛反撃を受けている時間帯にミランが追いつくことにもなっていれば、この対応のまずさは、マテラッツィと同格になるほどの戦犯扱いを受ける可能性があったのではないでしょうか。

結局カフーのサイド侵攻は最後まで食い止めることは出来ず、後半ロスタイム、彼に右サイドから上げられたクロスをキーパーが飛び出してパンチング。このこぼれ球を拾ったカカが、柔らかくキーパー不在のゴールへと流し込みます。懸命にかき出そうとしたスタンコビッチのダイビングも間に合わず、ついに1点差と迫るゴールになりました。ですが、わずかであった残り時間は無情にも流れていき、試合終了のホイッスル。インテルがこの激戦を逃げ切って制しました。

いや、色々とあった試合でしたね。観終わった後には疲労感が残りました。
派手な内容ではありましたが、両チームとも課題は結構残ったのではないでしょうか。布陣において入り方にどうも失敗していた感じのミランは、大きな武器である守備も大一番で脆さを見せて大崩れしてしまいました。インテルも後半からの相手の変化についていけず、大量得点差だけを頼みに、移り変わる試合展開を流されるままに過ごして、うまく対応することができませんでした。試合後にコーチのミハイロビッチへと突っかかるビエラが映し出されていたのも、今後心配ですね(何で負傷の俺を早く代えなかったんだ、ということなのでしょうか)。
全力を尽くした両チームには、休む間もなくチャンピオンズリーグが、週末の国内リーグ戦が待っています。ミランにとっては早くも2敗目を喫した国内リーグが、インテルにとっては1勝2敗でもう後のないチャンピオンズリーグが正念場となるでしょうか。


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