湊子の徒然

旅は道連れ世は情け。人生そのようなものかな。

原則3 背景の力 42~46ページ

2011-11-22 11:31:58 | 書評
ボルティモア市の性病患者の発生を地図上に落としてみる。
すると現れたのは市中心部の東側にも西側にも放射状に広がっており、
その中心は二本の幹線道路だったこと。冬には減ること。
ボルティモアの冬は長く、厳しい。よって外出が減る=バー等の交流が減るものと思われる。
環境の条件や特殊性に左右されるというあらためて言うまでもないような事が導きだされる。
しかし。天候のようなありきたりの要素ばかりではなく
微妙で、予測しがたい要素も私たちの行動に左右する

1964年のニューヨークで起こった有名な事件。
若い女性が追われ、刺殺されるまでに38人の人が見ておきながら誰も通報しなかった事件。
「都会の無関心」 なるほど、それはあるかもしれない。しかしこの場合はもうちょっと複雑であり
そして興味深いもの。心理学の研究家が「傍観者問題」として発表した。
1、癲癇の発作。隣室で一人で聞いた人は85%が助けに向かう。
  対して他に4人が聞いている事を知っている場合は31%しか助けに行かない。
2、ドアの隙間から煙が。 一人でいる場合は75%が、グループでいる場合は38%が通報する。

考え方としてはこう。「聞いていたにも関わらず」ではなく「聞いていたからこそ」
動かなかった。上記のテストは日本のテレビ番組でも類似のものを観たことがありますね。
正常性バイアス」の話でもあります。

人の行動を変える鍵、この場合は救いの手 これは直面している些細な部分にある。
些細?と思うかもしれません。そう、些細であって些細じゃない。
自分ならばと思うかどうか。他の人を考慮するかどうかではないのです。

背景の力について第4章と第5章では
自分が思う以上に環境に敏感である事を解き明かすそうです。
ティッピング・ポイントの3原則ー少数者の原則、粘りの原則、背景の力。
これらが伝染現象を理解するための1つの方法を提供してくれます。
10代の喫煙、口コミ、犯罪、ベストセラー。
「おそらくその答えに読者の皆さんは驚くだろう。」
との事です。楽しみに待ちたいですね。

原則2 粘りの要素 37~41ページ

2011-11-01 23:24:10 | 書評
エイズ、HIVはいつ危険な存在になったのか。
1940年代から50年代のニューモシスチス肺炎に着目。普段は無害だが免疫が衰えると制御不能となる。
オランダのとある助産婦訓練学校の一棟にて。
その発病タイミングから母親からの遺伝ではない。
伝染性であり、おそらくは一人の成人男性が母子に感染させ、そして殺菌不十分な注射針が
次から次へと感染を広げていった。
この時、死亡したのは三分の一。今考えるとありえないほどに弱いものだった。
HIV感染が一気に広まったのは1980年代だ。性行動の大きな変化があったとも考えにくい。
なんらかの理由でHIVそのものが変化した、粘り強くなった

情勢が一気に変わるティッピング現象において粘りの重要性はこのように考えられる。
強い印象があり、そして頭にこびりついて離れなくなる。
つまり「記憶に粘りつく」

ウィンストンのフィルター付きタバコの例。
Winston tastes good like a cigarette should.
本来asを使う所にlikeを使う。どこか挑戦的な印象。
文法無視ではなく、口語表現なのだと言いはったという。
さて、一気に商業上以上の成果を収めた宣伝文句自体はどういう意味合いがあるのだろうか。
それが「粘りの要素」と題した第三章。ちょっと変えるだけで大きく結果が異なる
メッセージを創る手段。おっと、ここはまだ一章。原則2。次は原則3の背景の力です。

私の感想。
日本語はひらがな、カタカナ、漢字、各種外国語のどれもこれもが使え、
そして語順もかなり自由が効く。それでも今もって当然とされる文法は存在し
意識せず常識としている。それをあえて少しだけ外した言葉。
どこか少しだけ言葉遊びのような。
粘り、を繰り返しととればコンビニなどのレジで使われる丁寧語と尊敬語と謙譲語が混ざったような
不思議なマニュアル言語もそうなのかもしれない。
あれもきっと教える側としては日常と少し異なるがゆえに「正解」を教え込みやすく
そして客側も日常とは異なる店員との商行為としてのテンプレートを半ば強要される。
今は既にある程度改善されたようだけど。コンビニ等に繰り返し行くことで
どこか日常の中に「よそよそしさ、仰々しさが当たり前」になってしまったりはしないのかな?と思いつつ。

原則1 少数者の法則 33ページから36ページ。

2011-10-10 23:47:19 | 書評
前回(第一章 爆発的感染、その3原則開始。梅毒の例 28ページから32ページ。)から
大きく間が開いてしまいました。中々習慣付けできてませんね。これではいけない。さて書評に行きます。

33ページから36ページでは少数者の法則を説明しています。
地味なブランドの靴の流行、梅毒の流行のどちらも特定の少数者が大きな役割を果たした、
ということだけではなるほど、別に驚くことではないかもしれない。
パレートの法則は有名ですよね。

さて、ここに書かれてるのは直接的に「他人との関わり方」の例としてわかりやすいからなのか
性病関連が並んでます。
人口10万人を優に越すコロラド・スプリングスで淋病が蔓延した原因は
 4つの小さな地区に住み、おもに6つのバーに足しげく出入りしていた約170人

やそこで現れるような具体的な人について。
セントルイスでスケートが上手くキャデラックに乗っていた男、
またはニューヨーク州ジェームズタウンの麻薬の運び屋、
「そしてエイズは蔓延した」でも紹介されたフランス系カナダ人の添乗員。

おや、とすると極少数の中でも特に飛び抜けて「効果的」な人物がいる事もみえてきますね。
ここには直接明記されてませんけど。

さて本に戻ると際立っている特徴というのはもちろんそのような「結果」の前に原因があり
それは決して性欲という直接的なものでは無いことを改めて思い出せせる文があります。
いかに社交的か、以下に活動的か、いかに知識があるか、いかに仲間内で影響力があるか
というような事柄だと。

社交的や知識といった辺りに特に特化してる場合は?もちろん本の後のほうでまた出てきます。
ここで触れられるのはごく一部からでも可能、また逆にごく一部が発端となり~という事の証明でしょうか。
そしてハッシュパピーという靴の例を再び思い出させる。
感染病と異なるのは「世間にとって初めて」でもなく
「一部階層のものからより多数の他の階層へ壁を超えた」理由は
と疑問を後の2章へと誘導。今は一章の原則1ですからすぐ次のページというわけにもいきませんね。
もちろん一文で説明すると先ほどの「いかに~」の引用そのままなんですけど。

さて、第一の原則、少数者の法則はこれで一旦説明終わって次からから
第二の原則、粘りの要素に入って行きます。
次回はすぐにでも書評かかないといけませんかねえ。

第一章 爆発的感染、その3原則開始。梅毒の例 28ページから32ページ。

2011-08-18 02:29:33 | 書評
さて、第一章に入っていきます。
第一章は 爆発的感染、その3原則。副題はティッピング・ポイントへ至る指針。

今回はその例を読んでの感想です。まず3つの解釈が出ます。
1.90年代ボルティモアで梅毒がたった一年で母子感染して生まれる子供が5倍になった事実。
 厚生省疾病対策センター(CDC)は安物の濃縮コカインが原因で感染が広まりやすい性的行為増加と
 入手のためより危険な地域への立ち寄りが原因とするもの。
2.大学の研究者によると財政難で性感染症の医者が減り、患者が減った事が原因で
 その結果治療が終わる前に感染が広がる速度のほうが上回ったというもの。
3.行政が古い建造物を破壊する事で感染、またそこの社会風俗をもつ人々が
 各地に散らばっていったからある種封じられていた梅毒が拡散したというもの。

個々について言及はさけますが、つまり、どれも「もっともだ」という意見でありながら
万全のものではない。という事です。そしてどれも完全に以前と状況が変わってしまった、という話でもない。

つまり、「均衡状態を破るのは」「幾分」の変化でよかったという事は共通してます。
そして一つの原因というわけでもない、というのも明らかです。
本ではそれを
伝染病は病原菌を運ぶ人々、病原菌そのもの、病原菌が作用する環境、その関数と見、それらを
少数者の法則粘りの法則、そして背景の力と呼んでいます。


さて。本の内容は上記なのですが日々出会う問題についても同じような事は想像できますよね。
公的機関は非合法、悪者が現れた、または増加したのだと言い、状況にたいする見方をする人が
社会での体制変化が原因といい、そのものの専門家は基本的に限定されていたものが開放状態になったからだと言う。
 蛇足になりますが、老朽化したビル破壊による住民の「離散」が始まったというのは
 この「ティッピング・ポイント」という言葉自体が使われた人種増加による旧多数派の引越し多発という
 減少にも繋がる状況、言葉ですね。

どれもそれぞれの立場から一番説明がつけられるものを持ってくる。得意だから。知識があるから。
間違ってはないけど、それが全てじゃない。理解する為であって、それで人を非難したり優劣を一義的につけるのは
違う話、というのは多そうです。
大抵目的は理解ではなく、解決の為なんですから。

まずティッピングポイントとは何か。12ページから23ページ。

2011-08-07 12:34:23 | 書評
原著タイトルのティッピングポイント(THE TIPPING POINT)
とは何か。辞書的に言うのなら流行が一気に爆発するその瞬間、という
事になります。

それを内容どころか目次より前において説明。それがこの本の入り方でした。
例として一番に挙げられた靴のブランドについて、あ、と思ったのは
けっして全くの無名でも歴史がない訳でもない靴だというのに
一気に大流行を遂げたという所も気がついてみれば興味深いところです。
新鮮さというのは強みですがそれがなく、むしろ一昔前の死語がリバイバルした
という感じ、そして恐らくは以前と比べ物にならないぐらいの流行アイテム化したこと。

別の例として高い地位にある階層が占める割合が5~40%の地域では
有意な差がないのに、そこから2%落ちると中退や10代の妊娠がいっきにふえた例、
ほんの少しだけ温度が下がったことで飼い犬が......はい、雪が降って警戒と大騒ぎです。
これらはちょっと考えると割合予想がつきますね。2%は100にたいしてだけど、
実際には「半減して目に見えて少なくなる」限度ではなかったかと思いますし
よくみる雨と滅多になくはじめて体験する雪のある世界では何もかも違ったでしょうし。

このような例をだして「予期せぬものが予期されるものとなる」世界としています。
それは「感染」、ティッピングポイントへと繋がっていくようです。

テレビでも時々扱われる科学、または数学的な驚きの「紙を数十回おったら......?」
というように確かにある面から見てみれば当たり前と納得することが
なぜかそんな大きな事になるなんてまったく驚くしかない、という事でもある
理由、そしてそれは決して偶然に頼るようなことでも原因不明でもなく
例えば3種類の特性、それを持つ人々を通してなるべくしてなっており
自ら考え、行動することで願うような成果をだせるのではないか?

という感じで仕組みと根拠をいざ明かしていこうという感じで始まります。

書評「急に売れ始めるにはワケがある」開始前

2011-08-06 03:55:02 | 書評
マルコム・グラッドウェルの本です。
私が読んだのはSB文庫、高橋啓=訳のものです。
2007年6月30日初版ですが原書はティッピング・ポイント、そしてその翻訳が飛鳥新社から
2000年に出、それを一年後新装版として01年にも出版され、その上07年に単行本化された
というものです。実に売れている、または広めたいという感じがしますね。
なお、なぜに上記のような事をしってるかというのは後に書きます。


この本は御蔵、秋月でのチャットの中で薦められて読むことになったものです。
一部は私が既に知っている事もありましたが、それは例、または語句としてであって
関連する事柄としては頭に入っていませんでした。

そこでAmazonで評判を見、少し後で購入。
関連する本を見てみるという理由もあり、また値段とかを知るというのもありました。
出来れば地元本屋でという事もありましたので。
結果としてはちょっと思い違いとかありまして、結局は遅れてAmazonでの購入となりました。
速度を重視するべき事柄でしたし、決断と行動も遅かったですね、私は。

この記事を上げた時既に本は読み終わっています。
せっかくなので読む前、読んでいる時々で感想を書きつつ、読み終わってから通しての感想を
という風に出来ればよかったかと思ってます。ちょっと残念。

売れなかった靴が売れるようになった話、割れ窓理論、150人、セサミストリート、
急激に広まる原因となる3種類の少数者、そしてそこに現れる特徴とは……
というのを今後、書評か読書感想文かはたまた乱雑な思索の果てにという感じで
しばらくブログ記事を綴っていこうと思います。
読んで、そして感想をいただけると嬉しいです。


さて。Amazonの通販で購入して本が届いたわけですが近い本だろうと思って購入したもの、それが
飛鳥新社の「なぜ あの商品は急に売れ出したのか (口コミ感染の法則)」
 定価1300円+税 ISBN4-87031-469-x
でした。それは「やあ、文章同じですね。」というものでした。店頭でしたら買ってないと思います。
こちらの違いは6ページの訳者あとがきが載っている事、本のサイズが単行本より大きいので
文字の大きさ、空間などがゆとりをもって作られていること、
中段落や小段落ごとにタイトルが付いていたり本文とは別の説明文が枕にある事。
そして単行本の7章8章が無いという明らかな損失。
なお家にあるのは初版なので2刷以降では変わっているかもしれません。
単行本では絵、小段落のタイトルなど理解を深めるための飾りともいう部分が無いことと
巻末の訳者あとがきがなくなり、オラクルひと・しくみ研究所の小阪裕司さんの解説が
9ページついています。やはり初版ですので2刷以降は不明です。

Amazonでの値段は大体同じぐらいでしたが(最初見たときは異なってました)上記の通りなら
御蔵・秋月チャットで薦められたように私も単行本を薦めます。
7章と8章の有る無しは大きいです。7章は6章同様のCase Studyとして自殺と喫煙、
8章はティッピング・ポイントを押せば世界は傾くというまとめ、実践の仕方が書いてあります。

最後に。物としては飛鳥新社の方が実にいいものでした。
カバー(そういえば帯もついてました)の質感、そして……紙とインクの臭いも。