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南英世の 「くろねこ日記」

徒然なるままに、思いついたことを投稿します。

金融政策はなぜ効かない?

2023年03月04日 | 日常の風景

『物価とは何か』を読んだ。タイトルを見て今更物価問題でもあるまいと思ったが、読んでみるとなかなかの内容である。以下、簡単にそのダイジェストを紹介する。

 そもそも物価の反応は鈍いものである。そのことを最初に指摘したのはケインズである。彼は価格が1ミリも動かないという前提でマクロ経済学を構築した。 ところが、価格変動の鈍さに関する問題は長い間放置されてきた。ミクロとマクロをつなぐ研究がなされてこなかったのである。

その研究が本格的に進んだのは2000年以降である。 日本はバブル崩壊以降長い間デフレ経済に悩まされてきたが、いくら金融緩和をしても物価が上がらない。フィリップス曲線を調べてみると平たん化しているのがわかる。

金融緩和によって失業率は低下しているものの、物価にはほとんど影響を及ぼしていない。なぜ金融緩和は物価上昇に効果がないのか。著者はこの問題を「屈折需要曲線」を用いて説明する。

いま、価格がA点にあるとする。経済にデフレ傾向が定着してしまうとどういう現象が起こるのか? 例えばコスト上昇を値上げによってカバーしようとすると、ほかの店は値上げに追随しないため、客はほかの安い店に逃げてしまう。一方、消費者は1円でもいいから安い店を探して購入しようとするため、値下げに対してはほかの店も対抗して値下げしてくる。その結果、需要曲線は通常の形ではなく、上の図のような屈折した形になる。

こうした実例が鳥貴族の値上げに見られる。下図から、4パーセントの値上げが15パーセントの客離れ、したがって売り上げの減少を引き起こしていることがわかる。

値上げすると客離れが起きる。かくして、客に気づかれないように価格を据え置いて量を減らす「ステルス値上げ」が横行するようになった。

経済学はまだまだ未知の分野がたくさんある。値上げするとなぜ客離れが起きるのか。長引くデフレ、ゼロ金利政策、少子高齢化の進展、財政赤字の問題など、日本は「課題先進国」である。

 


一番好きな季節

2023年03月04日 | 日常の風景

 

3月は私の一番好きな季節である。寒い冬が終わってだんだん暖かくなり、日も長くなってくる。卒業生を送り出し、また新たな新入生を迎える。もう教壇に立つことはないが、3月になるといつもきまってわくわくする。
 
1986年、35歳のとき三国丘高校に赴任した。それ以来53歳まで18年間お世話になった。昨日図書室で三国丘高校の百周年記念誌、110周年記念誌を見ていたら、あちこちに私の名前が載っていた。1994年には週休2日制への移行にともない、「空いた土曜日を利用して1コマ80分のゼミを開講してはどうか」という提案をしていたことが載っていた(百周年記念誌667頁)。すっかり忘れていたが、そんなこともあったなあと思いだした。
 
今学校では「探求」授業が行われている。ようやく時代が追い付いてきた。