さて、前前回に引き続き、今度はリー君の
あきらめの悪い出来事を綴らせていただきます。
オーストラリアでのワーホリ終了後、私とリー君はバリへの
バカンスへと飛び立ちました。
神々の住む島、魅惑のバリ…であると同時にボッタクリの跋扈する島…。
バリは初めてでしたが、ネットで事前にいろいろ調べたところ
民間の両替詐欺が多い。政府から認定を受けている
両替所以外は信用するべからず。
との情報。うむ。そうか。ふむふむ、ヨシ!情報収集はバッチリや!
「ミナと一緒ならどこでもいいや」などとほざいて旅の情報収集に
全く協力しようとしないリー君に腹を立てつつ、私たちはバリに降り立ちました。
宿に荷物を置き、さっそく両替をしに街へ。
民間の両替所は騙してくるからダメ!と言ってるのに、
「俺は絶対に大丈夫!韓国で店をやってたからお金には強い!」と
主張してくるリー君。なんとか政府公認の両替所につれていったものの、
レートに不満で「損をした」とブチブチ…
あまりにうざいので、そんなに自信があるなら試してみろ、と次の日、
観光地で両替の看板を掲げるCDショップに両替に行きました。
両替カウンターの向こうに立つおっちゃんはニコニコいい人そうに見え、
「どこのホテルに泊まってるの~?」などと、紙幣を数えながら私に話しかけてきます。
が、リー君は一瞬たりとも気を抜かず、ルピア紙幣の山を4回も数えました。
で、目の前で封筒に入れてもらい、お宿へ。
途中、
「ホラ!政府両替所より全然レートがいい!得しただろう?」とご満悦のリー君。
し・か・し、宿に帰ってお札を数えてみたところ…
金がごっそり足りない。私とリー君が200ドルずつ出した400ドルは
換算するとわずか270ドル分くらいのルピアに大変身…
顔面蒼白になり、何度も数えなおす彼。しかし何度数えても足りないもんは足りない。
ショックはやがて怒りへと変わり、
「何故だ!?俺が何度も数えたのに!ありえない!」と火病発症。
「ホラ、だから言ったのに」という私の言葉がガソリンに(笑)。
彼はそこから小一時間、何故だ!何故だ!と
頭をかきむしりながら見えぬ相手に怒り続け、
もう忘れて観光に行こうという私の言葉も耳に入らぬ様子。
私はほとほとウンザリ。で、キレた。
「いいかげんにしてくれる!?怒りたいのはこっちよ!
あんたが絶対大丈夫っていうから200ドルを預けたのに
目減りさせたあげくに一人で勝手に怒り続けて私の時間を無駄にして!
私のバリ時間を台無しにしくれてるのはお前じゃ!!」
私の言葉にやや己を取り戻したリー君、ごめん…とつぶやき、やっとまた観光に出かける
ことに同意したが、もう彼の目には景色などは映らず、
気づくと「何故だ」とか「くそっ」とかつぶやき続け、
心はあのCDショップにつながれていた。
…今なら思う。あの粘着質、さすがコリアンと。
彼が機嫌を直したのは3日後くらいでしたかね…。
ちなみに後日、彼は土産屋の娘さん相手に恐ろしいほどの
値切りを繰り広げ、彼女をマジで半泣き状態に追い込んだ。
これ以上まけるのはは無理!と涙目の女子を相手に
「いや!俺は商売をやっていたから分かっている!
無理じゃないはず!あと3000ルピアまけろ!」と凄む。
マジで怒鳴り合いの修羅場が展開。
はたで見ていて娘さんが気の毒になり、
「もーいいじゃん、3000ルピアくらい」と口を出した私に
「ミナは黙ってろ!!」と鬼の形相で振り返るリー様…。
あ、言っときますけど3000ルピアって30円くらいですからね、念のため。
なんかもーそんなんで20~30分。バトルは終わる気配が見えないので私もキレ、
その娘の言ってる値段でいい!それで私は買う!と宣言。
(ちなみに、リー君は私が買おうとしたスカーフを値切ってたのです)
お金を払い(この時彼女の目に私に対する感謝の光が宿っていたのは
商品を買ったからではなくヤクザのいちゃもんのような値切りから
彼女を救った故だと思う…)、店を離れるとリー君は私に怒りをぶつけてきました。
「なんで口を出したんだ!絶対に値切れたのに!全部ミナが台無しにした!」
「3000ルピアなんてたいしたことないじゃん!しかも女の子を泣かせて!」
「この国の人間は金に汚いんだ!あんなのウソ泣きに決まってる!もっとまけられたはずだ!」
…どうやら両替事件のことで彼の心はインドネシア人に対する
不信感ではちきれんばかりらしい。
うざいので
「私がお金払ったんだからほっといて!だいたいあの両替で失ったお金に比べれば
3000バーツなんてたいしたことないわい!」
とリー君の傷をえぐりました私。これで黙りましたよ。ええ。
そのまた後日、ガーデンホテルに食事に行った際、給仕してくれたインドネシア人に
両替事件のことを話したところ、その彼がタネを明かしてくれました。
お金を数えて客が安心したところで「封筒に入れるから」、と紙幣を客から受け取り、
テーブルの上で紙幣をトントン、そろえた時、まさにその時に、自分側のテーブルの
フチから紙幣を下に落とすのだそうです!そろえた紙幣の裏側から落とすので、
もちろん正面にいる客からは見えません。
シンプルかつ人間の心理を利用した完全なトリック!!あっぱれ!
謎が解けてすっきりした私、逆にそんな簡単なトリックにひっかかってしまった
ことを知り、後悔の嵐という心の檻に再び囚われ人となったリー君。
「もうマジックの観覧にお金払ったと思えばいいじゃん」
という私の慰めも彼の心には届かず。
何かほんと、あきらめが悪いってか、切り替えができないってか…。
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