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こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

東京上野の「パルジファル」

2025年03月30日 23時58分00秒 | ワーグナー
東京に行ってきました。今年は東京・春・音楽祭のワーグナー『パルジファル』が目的。それでいつものように往復夜行バスです。料金が高くなりましたかね。で、公演の前にはには、愛宕神社、増上寺、芝神明社、深川江戸資料館、富岡八幡神社、永代寺、神田明神、湯島天神などをまわり、DISKUNIONにも新宿とお茶の水のお店に行きました。東京は暖かく、上野公園では桜が咲いており、夜桜宴会も。少し早いですが、春爛漫でありました。やはり東京は楽しいですねえ。

それで、上野の東京文化会館。私は初めてです。湯島天神から不忍之池を通り、上野公園に行ったのですが、平日にもかかわらずたくさんの人出。人をかき分けかき分けやっとたどり着けました。近々改装工事をするようですが、やはり老朽化しているんですかね。神戸の文化会館みたいな感じ?いやそれはちょっとちがいますね。トイレも混雑してました。座席も古い感じで少し窮屈ですかね。3階の左席でしたが、それなりに空席も目立ってましたかね。やはり年齢層は高かったですねえ。

歌手は、アムフォルタス=クリスティアン・ゲルハーヘル、ティトゥレル=水島正樹、グルネマンツ=タレク・ナズミ、パルジファル=ステュアート・スケルトン、クリングゾル=シム・インスン、クンドリ=ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー、などが主要メンバーです。指揮はマレク・ヤノフスキでNHK響、合唱は東京オペラシンガーズでした。主要メンバーほとんどが外人というのも、なかなか関西では聴けないですからねえ。やはり東京であります。

パルジファルは、主要な七つくらいの動機が幾度となく繰り返され、音楽的にはけっこう聴きやすい。内容的には、深く理解しているわけではなく、うーんやはり難しいところもありますね。クンドリやパルジファルの深いところは…。ですので、それほど字幕も見るわけでもなく、音楽と歌唱にとっぶり入り込んでいくのであります。演奏会形式でしたが、まあ舞台の方がいいとは思いますが、それほどの舞台装置や演技が必要であるわけでもないので、それほど気にならなかったですね。オケが歌手の同じ舞台で後ろにいるのと、ピット内にいるのでは、私的にはピット内の方が、歌手の声が通りやすいかなあ、とは思っています。

それで、終演後はお茶の水まで歩いたのですが、その間いくつかの動機が鳴り響いていました。とてもよかった。素晴らしい演奏でしたねえ。管弦楽も歌手も。まずN響。私は生で聴くのは初めてなんですが、実に立派ですねえ。弦のまとまりや響きがとてもいい。ヴァイオリンも清新な音色、チェロも澄み切った美しさ、コントラバスの重厚さは日本のオケとは思えないくらい。そして木管も美しい。オーボエの吉村結美さん、聖金曜日の音楽でのソロは涙が出るくらい美しく鳴り響いてました。幕間にもリハされてました。そして、東京オペラシンガーズの合唱もたいそうな美しさ。最後尾の最上階席に位置した女声は正に天からの声のようでしたねえ。そして、ヤノフスキの指揮ですが、これはかなりの速さ。全曲で3時間40分くらい。名盤といわれているクナッパーツブッシュのバイロイトの62年盤は4時間10分ですからねえ。ゆったりとしたテンポの演奏では、曲の余韻と静謐さがとてもいいのです。ヤノフスキの演奏ではそれがあまり感じられない。それでもこの演奏が心に感銘を与えるのは、ヤノフスキの非常に明晰な語り口と表情の深さによるものと思います。この楽劇はたくさんのライトモチーフがあるではなく、限られてたものがいろんな形で表現されたり、複雑に絡みあったりすることが多いのですが、それらが非常の倭安居のでした。また、管弦楽の表情がときには、歌手のそれ以上に深いく感じるときもあったんですね。そういうところが私はよかったと思いました。

歌手についても、スケルトンのパルジファルは非常によかった。幕ごとの異なる個性がよく表現されていました。この人のローエングリンやトリスタンも聴きたくなりました。クンドリのパウムガルトナーも熱演でした。ただ少し健全すぎ、妖艶さを欲しがるところもありました。でも、第二幕後半のパルジファルとのやり取りは、すさまじい白熱ぶりで、耳が釘付けになり、圧倒されました。そして、グルネマンツですが、この役は難しいですよねえ。特に第一幕の長い前半部分。この部分は、言い方が悪いですが、退屈する。実際、私の両隣と前の男性は、この部分寝てました。ナズミは、伸びやかな歌声で、明快に歌われるので、好感は持てるのですが、生真面目さが目立つんですかねえ。例えが悪いかも知れませんが、エヴァンゲリスト?、いやそんなことはない、というような印象も持ったり、少し悩みました。一方、アムフォルタスのゲルハーヘルは、苦悩が全面に発揮されて、これは非常によかったし、クリングゾルのインスンもまっすぐ豪速球勝負が見事でした。

終演後は、みなさんたくさんの拍手、そしてほとんどがスタンティングオベーションでの熱狂振りも見られ、公演への満足度は非常に高かったと思います。私も、ほんとによかったと心からの拍手を送った次第でありました。ただ、ネットでも指摘されているのですが、第二幕と第三幕、拍手のフライングが二度も続けてあったことは、残念でした。来年の東京・春・音楽祭ではワーグナー・シリーズはいったい何をするのか、これも大変楽しみであります。ヤノフスキは最後ということも聞こえてきますが、どうなんでしょうかねえ。来年も、上野公園の桜を見たいと思います。

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