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こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

アントニーニの『英雄』

2021年02月14日 23時35分00秒 | ベートーヴェン
『麒麟がくる』、終わりましたね。やはり明智光秀が主人公となれば、彼の正当化と信長の非道性、となるんでしょうねえ。『明智軍記』などの俗説の排除はいいが、義昭暗殺や信長四面楚歌、秀吉などへの情報漏洩など新解釈は少々つらいですね。真偽はともかく、光秀野望説を平和待望と昇華するのも、新しい光秀像でいいかもしれませんが、ある程度の史実遵守はお願いしたかったというところでしょうか。まあ、フィクションと割り切ればいいですが、少々残念でした。

そんなことで、今回はジョヴァンニ・アントニーニとバーゼル室管のベートーヴェン交響曲です。この演奏は、言わずと知れた古楽系の演奏です。昨年の『レコ芸』での「新時代の名曲名盤500」では古楽器系が高評価で、ベートーヴェンの交響曲もかなり様変わりをしました。そんな系の演奏のひとつがこのアントニーニのものでした。それで一度は聴いてみたいなと思い、それほどの値段でもなかったので購入しました(3800円ほど)。

アントニーニについてもそれほど知らないのですが、イタリアの気鋭の指揮者ですね。リコーダー奏者で、イタリアの古楽オケ「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」の創設者。2000年代から指揮者として活動し、バーゼル室管の客演指揮者として、ベートーヴェン交響曲全曲録音を2004~16年に行いました。ファウストとのモーツァルトヴァイオリン協奏曲やハイドンの交響曲などの録音もありますね。

アントニーニのベートーヴェンの交響曲の演奏、適切な表現ではないのかもしれませんが、なかなかおもしろい。古楽系の演奏にもかなり耳は慣れてきたのも事実。でも、フルトヴェングラーなどの演奏と同じようにはなかなかいかないですかね。全曲を聴きましたが、いいな、と思ったのは、2番・3番・4番あたりの早い時期の曲。中でも、第3番変ホ長調作本55『英雄』が最も印象深かった。この曲は、2006年5月ルツェルンでの録音。全曲の中でも早い時期のものです。

古楽系の演奏は、速いテンポで響きが清新で元気一杯となります。一括りにするのも乱暴ですが、アントニーニの演奏も同様。まず、このオケは30半ばの人数なのに、響きが分厚い。それは低音部はしっかりしていることによるが、弦の充実感があります。それにより軽さを感じません。また、曲の勢いがいい。前への引力は尋常ではなく、それが聴く方の期待感。充実度に繋がり、聴く楽しさをたくさん感じますね。そして、重厚な燃焼度ではないが、全曲を通じての演奏の熱さも多大な共感がもてます。心が揺り動かされる風ではないですが、爽快な熱風が吹いています。

第1楽章、少し速めのテンポで颯爽とした展開。聴かせどころではテンポがゆったりとなったり、それが効果的。そして、弦が非常に元気がいいです。若き英雄ですね。第2楽章葬送行進曲。沈痛な暗さや深い悲しみ、悲痛さとは無縁であり、むしろ適格に堂々とした行進曲。明快で見通しもよく、こんな演奏もいいな、と思います。死を悲しむというより、偉大な業績を高らかに賛美するのであります。第3楽章スケルツオ。力強い展開が心地よい。中間部では古楽のホルンの音色でありました。どんどん追い立てられるような緊迫感もあり、第四楽章に突入。変奏曲。終楽章に相応しく規模の大きさの中にも綿密な演奏が聴けるところが興味深く、演奏の質の高さを感じる。明快に変奏が展開し、その様子は実に鮮やかでもあり豪快でもあります。全曲を通して新鮮な気持ちで聴けた『英雄』でありました。

森さん、やはり辞任。後継川淵さんもボツの展開。12日の朝日新聞には全く批判は見えず決定かと思いきや、川淵さん、リップサービスが過ぎましたかね。人事は、正式決定までは「沈黙は金」ですね。まさに「口は災いの元」の二連発でありました。
(SONY 19439737032 2020年 輸入盤)

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (クレモナ)
2021-02-20 21:41:14
昔、最初の2つの和音を聴いただけで、「これは、名演奏だと、解った!」と、言った、評論家がいた。確かに、指揮者によって、この2つの和音の扱いが、色々ある。音楽マニアは、すぐに、指揮者が解るという。かつては、フルトヴェングラーの演奏が、名演奏の定番であったが、最近は、HIPによるものが、多数、取り上げられており、この、アントニーニの演奏も、注目を浴びているようです。私は所有していませんが、アーノンクールあたりから、こうした演奏が、主流になりつつある。私も、HIPによる演奏は否定はしないが、今でも、馴染めないまま、現在に至っています。昨年12月号
のレコ芸で取り上げられた、ベートーヴェンでも、何と、「英雄」で、一番、得票を得られたのが、モントゥ/コンセルトヘボウの古い録音だった。この、およそ、英雄らしくない演奏に、現在の評論家が賛同したのだ。アントニーニは、第2番では、第1位に選ばれたが、「英雄」では、それほどではなかった。HIPでは、英雄の曲想が、マッチしていないのかも知れないですね。私も、「英雄」は、最初に紹介した、セル盤を愛聴しています。
我が県の、コロナ感染者数は、横ばいのままで、顕著に減少していません。皆、コロナ慣れしているのでしょうか?私たちは、いつから、ワクチンを受けれるのでしょうか?日本に順調にワクチンが、輸入されるのでしょうか?不安なことだらけですね。
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コメント感謝です。 (mikotomochi58)
2021-02-21 21:44:44
クレモナ 様、コメントありがとうございます。ベートーヴェンの『英雄』、私的にはベートーヴェンの交響曲の中では、まず第一にあげる者です。今回はアントニーニの演奏を取り上げましたが、好きなのはやはりフルトヴェングラーですねえ。朝比奈さんの演奏も好きです。アントニーニとは対極にあるものですねえ(笑)。しかしアントニーニの演奏、それほど違和感はなく、聴けたのも事実でした。とはいえ、慣れていくものとそうでないものがあると思いますねえ。『レコ芸』のモントゥーの1位というのも興味深いものでありました。
ワクチン接種、私はすぐにでもお願いしたいと思っていますが、夏までのはと思っていましたが、まず無理でしょうねえ。
また、ご教示ください。
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