宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)8月14日(月曜日)
通巻第7862号
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「ウクライナ支援追加が5兆円?」「国内が大変な状況なのに?」
サンフランシスコの荒廃。イーロン・マスク「世界が滅亡した後のようだ」
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サンフランシスコは以前よりも深刻な不況に陥った。いや「深刻な不況」どころではない、町が死んだようになった。路上にはホームレスが溢れ、ひったくり、置き引きなどは日常茶飯の風景である。
治安が極度に悪化し、黒人の犯罪に警官は見て見ぬふり、950ドル以下の万引きは逮捕されない。留置所が満員だからだ。
信じられない風景が展開されている。オフィス街が空室だらけなのだ。嘗てサンフランシスコはIT産業のメッカ、シリコンバレーの本丸。というよりアメリカの極左地区でもあり、ネットビジネスに明け暮れた時代、繁栄の絶頂があった。もともとサンフランシスコはベトナム反戦運動が燃えたぎり、全米から左翼があつまり、ヒッピー文化発祥の地でもあり、一方でコンピュータ産業の拠点だった。
突如襲った不況は、コロナ禍によるテレワーク。つづいて人口の流失がおこり、オフィスビルからテナントが去り始めた。
企業も本社移転が続出し、アリゾナ州へ、テキサス州へ。西部劇の時代はカリフォルニアがゴールドラッシュに沸き立ち、合い言葉は「西へ、西へ」だった。今度は「東へ、東へ」となった。
テキサス州オースチンは人口が30万人も増えた。
サンフランシスコのユニオンスクエアといえば銀座だろうか。百貨店、ブランド店、高級レストラン、宝石商等々。203店舗が客を呼び込んでいた。年初には107店舗。半数近くが閉店していた。強盗事件の頻発が客足を遠のかせた。
治安悪化はチャイナタウンだけではなかった。犯罪が蔓延するサンフランシスコのダウンタウン。或るオフィスビルは70% 安い価格で販売された。商業用不動産市場のドミノ倒しの兆しである。
かくしてダウンタウンがゴーストタウン化し、ビジネス街は閑散としている。ショッピングモールは軒並み閉店した、客がいなくなったのでホテルはデフォルト。この地区から選ばれているのがナンシー・ペロシ前下院議長だ。
そのペロシの邸宅にハンマーを持った暴漢が押し入り、夫君が重傷を負った(22年10月28日)。
ツィッター本社はサンフランシスコにある。
イーロン・マスクは嘆いた。「世界が滅亡した後のようだ」