寺社仏閣には大抵おみくじが用意されていて、お参りした人はイベントのようにそれを引いていく。
私も昔修行していたお寺で、事務所に座って参拝者の動向を伺っていると、おみくじを引いた後の顔つきで吉か凶かが手に取るようにわかったことがあった。
すぐに凶だなと分かった時は、引いたおみくじを持って来させて解説をしてあげたので、ずいぶん喜ばれたものである。
中には裁判のおみくじがあって、実際に裁判中であったという人がいた。
おみくじを引いて、吉や凶だけ見て一喜一憂しているのではもったいない。
そこに書かれている四行詩などの文章の中に重要な心構え、行動の指針が説かれているのである。
凶が出れば今は行動を自重しその時を待つということが大切だ。
また、あるお寺で祈願をして、ご利益を授かったのだがどのようなお礼をしたら良いのか分からないという人に、自分ができるお礼の方法を三つ紙に書いて、それぞれおみくじを引いて、仏様の指示を仰いでみるようにと教えてあげたことがある。
真言宗の中でも、その流派を誰に継がせるか後継者問題で悩んだ時に、おみくじで決めたという話が伝わっている。
鎌倉時代の高僧、明恵上人もインドに行く計画を企てた時、春日明神におみくじでお伺いを立てて、「行くべからず」という答えが出た話が伝わっている。
おみくじを引く時には、そこの御本尊に対して、こういう悩みがあってこういう風にしたいと思っているが、それをおみくじによって吉凶を示し給えと念じ、真言を108回以上唱えてから、無心におみくじの筒をよく振ってひくと丁寧である。
漠然としたお伺いだと漠然とした答えが返ってくるので、そこは注意を要する。
おみくじは書いてある文章が大切なのであるが、分かりにくいことが多いので、有名な100番みくじに関しては下の本を参考にするとわかりやすい。
日蓮宗系のおみくじや神社のおみくじは下の本では解説されてないので悪しからずご了承ください。