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三日月堀のぶろぐ

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~扇谷上杉氏の本拠とされる館跡~ 上杉館跡(糟屋館) 神奈川県伊勢原市上粕屋

2016年07月17日 | 神奈川 城址

◎上杉館跡糟屋館
所在地:神奈川県伊勢原市上粕屋字立原
文化財指定:昭和44年2月27日 市指定文化財 史跡

伊勢原市上粕屋に位置する糟屋館跡は上杉定正の居館跡あとに推定されています。
標高60mほどの上粕屋扇状地に立地し、重複して上粕屋・秋山上遺跡や上粕屋・神成松遺跡などがあり、縄文時代から中世、近世の遺跡が見つかっています。
糟屋館跡は、東1.6 ㎞、南北0.7 ㎞の東西に長い平坦な舌状台地に位置し、その西端に位置する御伊勢森遺跡では、昭和50年から翌年にかけ産業能率大学建設に先立って発掘調査が行われました。
その調査では、「館」としての明確な遺構は発見されませんでしたが、中世の建物跡と南北に走る深い横断面がV字状の大溝やそれに沿った土手が確認され、ここが扇谷上杉氏の居館と推定されました。
しかし、糟屋館跡の範囲内では、糟屋館跡「大門跡」の石碑が建立されているなど候補地は各所に残されています。
また南500mには太田道灌の墓所が残る洞昌院が位置しています。
※『第29回考古資料展 伊勢原の遺跡―発掘調査の現場からー』 伊勢原市教育委員会・公益財団法人 かながわ考古学財団より
 

  
〇産業能率大学湘南キャンパスとキャンパス入口の解説板
館跡一帯は「立っ原(たてっぱら)(館原)」といわれ、原の西に「ませぐち(馬防口)」東方に「まとば(的場)」などの地名が残っているそうです。キャンパス入口のバス停付近に館跡の解説板がありました。 


〇山王社(上粕屋神社)裏手の空堀
館跡のある台地南側にあり、鈴川の旧河道の谷を利用した空堀といわれているそうです。

左側に産業能率大学の校舎が見えます。


〇館跡東方に建つ石塔群
産業能率大学へ向かう途中、偶然見つけた石塔群です。
左の双体道祖神はわりと新しい感じがしますが右端の五輪塔の残欠は古そうな感じです、中世まで遡るのでしょうか・・・その左隣の棒状の石塔はなんでしょう(^_^;)
元々この場所にあったのかどうか分かりませんが、少しだけタイムスリップした気分になりました~


〇産業能率大学の北より望む館跡
クルマに搭載したドライブレコーダーの動画から画像を切り出してみました(^_^;)

館跡周辺では平成26年度から新東名高速道路建設・厚木秦野道路建設に伴う発掘調査を行っています。かながわ考古学財団の発掘調査の資料によると、台地の外縁を巡る堀跡(幅3m、深さ1m、断面が逆台形)や掘立柱建物が見つかっているそうです。

※近年、下糟屋の丸山城周辺の発掘調査が進むにつれて、丸山城が上杉館ではないかとの説もあります。

〇参考資料
・『いせはら 史跡と文化財のまち』 伊勢原市
・『伊勢原市史 通史編 先史・古代・中世』
・『第29 回考古資料展 伊勢原の遺跡―発掘調査の現場からー』 伊勢原市教育委員会・公益財団法人かながわ考古学財団
・『平成27年度糟屋館跡見学会 現場見学会資料』  公益財団法人かながわ考古学財団


※後日地図を追加予定です

H28年7月20日追記:グーグルマップを追加しました。