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アンナ・カヴァン「アサイラム・ピース」

2021年01月06日 | 海外の作家


訳・山田和子
ちくま文庫
2019年7月 第1刷発行
解説・皆川博子
211頁

出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた世界を先鋭的なスタイルで描き、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げた最初の傑作

幼い頃から母親にネグレクトされ、14歳の時に精神的な拠所であった父親が自殺
不安定な精神状態のもとで生きてきたカヴァン
思春期のほとんどをアメリカやヨーロッパ各地の寄宿学校で過ごし、社会との関りもないままに19歳で10歳以上年上の男性と結婚、ビルマに移住しますが、この結婚生活は最初から破綻しており、カヴァンの精神状態はますます悪化します
その後、別の男性と再婚しますが、幸せな時間は短く、この結婚生活もやがて崩壊するに至り、自殺未遂を繰り返します
こんな状態で生き続けていくためになくてはならないものがヘロインと小説を書くことでした

表題作を含め収録されている14編全て、希望も安らぎも見いだせず暗い気持ちになるばかり
どうしてこんなのを読む羽目に陥ったのかしら…と思いつつ最後まで読まずにいられない
薬物のような短編集です

山田和子さんによるあとがきより
単行本が刊行された時、少数でもいい、今の時代に、この作品集に共振してもらえる読者にさえ届けば、という気持ちでいた訳者としては、その反響の大きさにはただただ驚くほかはなかった
この小さな本が、新しい世代の読者に新しい出会いをもたらしてくれることを願っている

皆川博子さんによる解説より
カヴァンが書くことを必要としたように、カヴァンを読むことを必要とする読者は必ず存在すると思います
そういう方々の手に山田和子氏のすぐれた訳によるこの文庫が届きますように




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