365のみじかいお話
キツネとクマ
ある日、キツネがクマのところへやってきていいました。
「二人で野菜を育てないかい?そうすれば食べ物を探しにいく必要がなくなるよ」
「それはいい考えだね」
クマはすぐに賛成しました。
「じゃあ、クマくんは土をたがやしておくれ。ぼくはタネを探してくるよ」
キツネはそういって、山をおりていきました。その間、クマは草を引き抜いたり、石をどけたりして土 . . . 本文を読む
365のみじかいお話 日本の昔話
ネコのおけさ
むかしむかし、あるところに、そば屋の夫婦がおりました。
二人はメスのネコを飼っており、とてもかわいがっておりました。
けれどもソバ屋はなかなか客がつかず、借金がかさんでいきました。
ある晩、主人はおかみさんにいいました。
「このままでは、店をたたんで夜にげするしかないかもしれんなぁ。そうなると、ネコを連れていくことはできんなぁ」
そ . . . 本文を読む
日本の昔話
宝ゲタ
むかしむかし、あるところに、一人の男がおっかさんと暮らしておりました。男はとてもおっかさんを大切にしていました。しかしあるときおっかさんが病気になり、どうしてもお金が必要になりました。
男はお金を貸してもらおうと、親せきの権造(ごんぞう)おじさんをたずねました。
「おじさん、またお金を貸してつかあさい」
けれども、おじさんはことわりました。
「貸すことはできん。そ . . . 本文を読む
元来、小林訓導は一時的の単なる試験役として翁島小学校に派遣されたので、其校の生徒の卒業後の問題などには、なんらの責任もない人であった。
そして又考えられることはこの日、この時もし小林訓導以外の試験役が派遣されたとしたならば、いかであったろうかということである。恐らくは後年の野口英世は現れなかったのではあるまいか。シカのあの奮闘と、あの信仰の越し方とを知る人にとって、これが単なる偶然の巡り合わ . . . 本文を読む
清作は七歳になって、来年の四月には小学校に入学せねばならぬときが近づいた。
片輪になって、農業の出来なくなった清作は、いかにしても学問で身を立てさせるより他に道はないと、シカはことのほか、この入学のことを大切に考えていた。しかも現状のままでは、どんなに働き通しても入学の費用を稼ぎ蓄える余裕がないことをシカは何よりも悲しく考えていた。
なんとか他に適当な仕事はないものかと考えあぐねた末に、ふと . . . 本文を読む