アンデルセン童話
365のみじかいお話
緑のさやの中に五つぶのエンドウマメがいました。
豆たちはさやの中で話をします。
「ぼくたちは、ずっとここにいるのかな」
「外の世界は広いらしいよ」
何週間かして黄色くなったさやを、人間がちぎって、ポケットに入れ始めました。
「いよいよ外にとび出すんだな」
ある豆がさやの中でいいました。みんな外の世界が気になってしょうがありません。ある日 . . . 本文を読む
日本の名作
365のみじかいお話
「二匹のかえる」
緑のかえると、黄色のかえるが、畑のまん中で、ばったりいきあいました。
「やあ、きみは、黄色だね。汚い色だ」
と緑のかえるがいいました。
「きみは緑だね。きみは自分を美しいと思っているのかね」
と、黄色のかえるがいいました。
こんなふうに話し合っていると、よいことはおこりません。二匹のかえるは、とうとう、けんかをはじめました。
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シカといえども女である。両親も夫も頼みにならぬただなかに生まれて来たこの清作をシカはしっかりと抱きしめ喜びに震えた。
この子をこの清作をこそ立派に育てて野口の家を興さねばとシカは嬉しく勇み立つのであった。ああしかし、シカのこの喜びも長くは続かなかった。清作が三歳になった晩春(晩春といってもこの雪深いこの地方のこと、大きな炉には赤々と薪(まき)が燃え盛っていた)のある日暮れのこと野良仕事から帰っ . . . 本文を読む
もとより手習いをする紙も筆もないシカにとってはこうするより外に仕方がなかったのであるが、ただそれだけではかなが読めるというだけで、実際に書くことが出来ない。そこでシカは月のある晩は家人の寝静まるのを待って盆の上に灰を撒き、そうっと外に出て、僅かな月の光を頼りにその灰の上に指先で手習いを始めるのであった。祖母みつの病気は日に日に重くなってきた。僅かな暇を見てかけつけてくるシカは見舞う度毎に衰えを加 . . . 本文を読む
ブルガリアの昔話
動物がくれた年
お星さまの光までこおりそうな、寒い冬の夜のこと。ウマとウシとイヌが、ふるえながらトボトボ歩いていました。
「ねぇ、ぼくもうこごえそうだ」
「わたしもだよ。どこか寒さをしのげるところをさがさなきゃ、死んでしまう」
「あ、あそこにあたたかそうな家があるよ」
「中に入りたいなぁ」
「たのんでみようか」
明かりのついた家までたどりつくと、おそるおそる . . . 本文を読む