春のそよ風夏の雨

嬉しいひととき。好きなこといろいろ書いています。

Wafa' Tarnowska+Vali Mintzi「Nour's Secret Library」

2024年05月25日 | 
Wafa' Tarnowska+Vali Mintzi「Nour's Secret Library」

シリアのダマスカスで戦争が始まり、人々も地下に逃げるような日々、
少年、少女たちは、瓦礫の中から本を拾い集めて、地下に図書館を作った
という絵本です。

「戦場の秘密図書館-シリアに残された希望」
「シリアの秘密図書館 瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々」
というような本もあるようで、
この絵本も、実際に起こったことを元に描かれた作品です。

作者はレバノン出身の方で、絵はルーマニア出身でイスラエルに暮らしている方が
描いているのですが、お二人の過去とも重なる話だそうです。
(図書館というよりも人々の状況が・・・という意味です。)

Vali Mintziさんの絵はとても美しくて好きなのですよね。
イスラエル在住の方ですが、イランやシリアについての数作品に絵を描かれているので、
国々を繋ぎたい方なのかなと思っています。

もっとたくさん、こういう国と国を繋ぐ本が作られるような世の中になリますように
と思いながら読みました。



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ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 未来への手紙」

2024年05月24日 | 
ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 未来への手紙」

シリーズ5巻目。
以前ほど本屋さんに行かないのでAmazonで新刊が出たと知ることが多くなってきました。
ほしおさなえさん、来月も新刊が出るようで楽しみ。

勤めていた書店が閉店してしまい、無職で実家に戻っていた時に、
祖母が遺した言葉から連句の会に参加するようになった主人公の一葉は、連句の会に参加する
人々からの縁で仕事をするようになったりと生活も変わって行きました。

今回は新しい連句の会にも参加したりして、さらに新しい出会いがあったり新しいことが
始まったりして読んでいてワクワクしました。
その一方で、心のどこかで気にかけていた過去にも向き合うことに。

人生において、前を向いて進んでいくことって必要だと思うのですけれど、
時には、過去を振り返って、何らかのけりというのかな・・・引っかかるような思いを解いて
みると、より自由になれるのかなと思ったりも。

このシリーズ、たくさん魅力的な人が出てくるのですが、海月ちゃんが好きだな。
一番会ってみたい人かも。
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ほしおさなえ「まぼろしを織る」

2024年05月20日 | 
ほしおさなえ「まぼろしを織る」

高校生の時に母を亡くし、大学卒業後に就職したもののコロナで職を失った槐は、
染色家の叔母に誘われて一緒に暮らしていた。
叔母には頼りすぎず近づきすぎない距離で、塾でパートしながら叔母の仕事の手伝いを
して過ごす日々だった。
ところが、従弟の綸が離れに住むことになり・・・。

うーん、ここでは「呪い」という言葉が使われているけれど、
暴力ではない(モラハラという言葉に近いかもしれない)親からの虐待はあり、
槐も綸もそういう虐待を受けてきた人たちなのかなと思う。

重いけれど、しっかりと描かれている物語でした。
でも、槐と綸の両親は、絶対に「槐」「綸」という名前はつけないな。
「美華」と「正人」とか、そんな名前をつけそう・・・。


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若島正「乱視読者の英米短篇講義」

2024年04月25日 | 
本について書かれた本です。

普通、本について書かれた本を読むと中に書かれた本がいろいろ読みたくなって、
楽しいのだけど、どれから読んだらいいんだろうみたいな気持ちになることも多い
のですけれど、若島正さんの書く本の本はちょっと違うのです。

何が違うのかというと、多分好みがほとんど合わないのではないかと思うのですよね。
あらすじを読んでも、それが面白いの?と感じてしまったりして。
それなのに、若島正さんの文章は気持ちが良くて、本を読むのが好きなのだろうなと
伝わってくるところも、ちょっとワクワクして、読んでいてとても面白い。

読みたいと思うわけではないのだけど、こんなふうに読むのはいいなぁと思いながら
読むのが好きというのが一番近いかも。

乱視読者シリーズはだいぶん前に他の本も読んだことがあるのだけど、それもとても
楽しかったな。
また他の本も読んでみたくなりました。
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センス・オブ・ワンダー

2024年04月12日 | 
ちくまで連載されていた森田真生さんの連載エッセイを一回目だけ読みました。
面白かったので、読んで本になったら買おうと思っていました。

その本が、今日到着しました。
カーソンのセンス・オブ・ワンダーの新訳に続いて「僕たちのセンス・オブ・ワンダー」として
載っています。
もう一冊は、もともと持っていた新潮文庫版。4人が「私のセンス・オブ・ワンダー」として
解説エッセイを書いています。

本文よりも長い、追加されたエッセイどちらも同じようなテーマで、「センス・オブ・ワンダー」を
読んだ人には、自分の「センス・オブ・ワンダー」を見つけてほしいというような思いを感じます。

かなり前に、単行本版と英語版を読んだきりで文庫版も積読状態だったので、久しぶりに二冊の
「センス・オブ・ワンダー」を読んでみたいと思います。

カーソンだけではなく、5人の「センス・オブ・ワンダー」もどんな感じなのか楽しみ。

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マルコ・バルツァーノ「この村にとどまる」

2024年03月24日 | 
マルコ・バルツァーノ「この村にとどまる」

1919年、オーストリア=ハンガリー帝国の一部がサン=ジェルマン条約によりイタリアの
領土になった。その一部が今は湖に沈むクロン村

ドイツ語を話す人たちが暮らしていたが、ドイツ語教育は封じられ、教師を目指していた
少女たちは夢を叶えることができなかった。
そんな少女の一人が語り手となって、その後の村の様子が描かれている作品です。

生まれ育った場所に暮らしているのに、戦争によって、権力によって翻弄されて、
家族や友達がバラバラになった人たちが描かれています。

この作品は小説だけど、この村は実際にあって、似たような村民たちはいたのですよね。

とても静かで悲しい物語ですが、魅力的な人物が何人もいました。
この著者の他の作品も読んでみたいです。




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コスタンティーノ・ドラッツィオ「ミケランジェロの焔」

2024年02月11日 | 
コスタンティーノ・ドラッツィオ「ミケランジェロの焔

クレスト・ブックス全冊読む!というのは続いていて、2023年刊行の本を全部読み終わりました。
「ルクレツィアの肖像」
「ミケランジェロの焔」
の二冊が特によかったかな。

さて、この本はイタリアの美術史家で展覧会キュレーターでもある作者による作品で、
ミケランジェロが甥に向かって人生を語ったという形で描かれた小説です。

自国の作品について楽しく読ませる美術史家で、展覧会の企画も行っているということで、
山下裕二さんや金子信久さんのようなイメージの方なのかな。
(お二人とも小説は書かれていないけれど。)

著者の作品では
「カラヴァッジョの秘密」
「ラファエッロの秘密」
などの、秘密シリーズとして書かれた評伝が人気だそうなのですが、ミケランジェロでは小説という
形を取ったのですね。

とてもしっかりと感情が伝わってきましたし、すごく読みやすくて楽しめました。
とても孤独で大変だけれども、幸せな彫刻家だなというイメージを持ちました。

秘密シリーズも読んでみたくなりました。
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リタ・ジャハーン=フォルーズ+ヴァリ・ミンツィ「白い池 黒い池―イランのおはなし」

2024年01月30日 | 
リタ・ジャハーン=フォルーズ+ヴァリ・ミンツィ「白い池 黒い池―イランのおはなし」

イランの民話を元にしたお話に、イスラエルの画家の方が絵を描いた絵本です。
作者も画家もイスラエルで暮らしている方なのですが、作者の方はイラン生まれで
子供の頃にイスラエルに移住されたそうで、「イスラエルとイラン両国の文化的な
架け橋になるよう努めている」そうです。

日本語にはなっていないのですが、ヴァリ・ミンツィさんが絵を描いている
絵本に「Nour's Secret Library」という作品があって、こちらは、
シリアの首都ダマスカスが舞台だそうです。
ヴァリ・ミンツィさんの作品はユダヤ教に基づいたようなものもあるのですが、
その一方で宗教が異なるアラブ諸国の絵本もあって、文化を結びたいというような
気持ちを持っている方なのかなと思ったりしています。

異なる文化が合わさって美しい絵本が生まれたというのが素敵だなと思います。

お話は、心優しい娘が継母とその連れ子の娘にいじめられていたのだけど、
ある日・・・というお話。
「ホレおばさん」のお話がとても近いかな。ロシア民話にも似たようなお話が
あったような気がします。イランにもこういう話があるんですね。
でも、終わり方がちょっと独特で、これは再話のリタ・ジャハーン=フォルーズさん
によるのかもしれませんが、面白かったです。

ヴァリ・ミンツィさんの絵はとても美しくてみずみずしさもあって大好きなのです。
ヴァリ・ミンツィさんのサイトに、この本の絵が何枚か載っています。
表紙には金色(箔押し?)も使われていて、それがとても美しいです。
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イ・ミイェ「夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます」

2024年01月23日 | 
イ・ミイェ「夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます」

Amazonにおすすめされたので読んでみました。

いろいろな夢を売っているお店で働く事になった女性が主人公です。
いろんな商品に関するエピソードが描かれています。

かわいらしいファンタジー?といった感じの作品でしたが、
優しい世界で軽く読めるので楽しめました。

自分がこのお店に行けるなら、どんな夢を買いたいかな。
悪夢よりは楽しい明るい気持ちになれる夢がいいなぁ。
いい夢を見て、あぁ幸せって気持ちのままで起きたい。
(そういえば、最近はあまり夢を見てないかも。)

原書は「달러구트 꿈 백화점」
こんな本が原書で読めたら楽しいだろうなぁ。

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「ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義」

2024年01月14日 | 
岡真理「ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義」

10月に行われた二つの講義を加筆して書籍化した本です。
ガザとは何かという題ですが、パレスチナとイスラエルの関係を歴史の流れに沿って
見ながら、どういう状況から今のような状態になっているのかが語られています。

パレスチナは、イスラエルによるアパルトヘイト体制にあり、
現在行われていることはジェノサイドである。
ということが書かれています。

ガザ地区は封鎖状態にあって「天井のない監獄」と例えられる状態であり、
何も悪いことをしてなくても、検問所で人が射殺されたりもする。
写真家・高橋美香さんのブログ「友達のお兄さんが殺された

そのくらいの知識で読み始めたのですが、
ここまでひどいものだったのかと思うことが多かったです。
二回分の講義を一気に読むことができず、一回分ずつ読みました。

何度も書いては消してを繰り返しているのですが、
上手く言葉にできません。

でも、たくさんの人にこの本を読んでもらうか、講義の動画を見て欲しいです。

こういう状況にある人たちがいる。
それは遠い場所の出来事ではなくて、日本も含めて他の国々にも関係していて、
多くの国が国際法を適用するべきだと表明すれば状況は変わってくるし、
この二国だけではなく、世界で争いが起きた時に、他の国々で状況を変える
ことにも繋がってくる事だと思うのです。

でも、パレスチナ側の人の意見なのではないの?と思う方もいるかもしれない。
そんな方にとっても、日本での報道は、アメリカに合わせてイスラエル側からの
もので、テロがイスラエルを攻撃して、イスラエルがテロと戦っている
という前提からのものなので、パレスチナ側からの視点を知って欲しいと思います。


講義は動画として公開されているということなので探したら見つかりました。
かなり長時間なので、まだ全部は見てないのですが動画でも見たいと思います。

京都大学 2023年10月20日
①「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
②「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
③「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
④「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授

早稲田大学 2023年10月23日
ガザを知る緊急セミナー ガザ 人間の恥としての(2023年10月23日)

<参考>イスラエルによるアパルトヘイトについて
Amnesty International
2022年2月1日「Israel's Apartheid Against Palestinians: Cruel System of Domination and Crime Against Humanity」(PDF英語)
アムネスティ日本
2022年3月22日「イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:イスラエルによるパレスチナ人へのアパルトヘイト 残虐な支配体制と人道に対する罪
2023年6月28日「イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:イスラエルのガザ攻撃 アパルトヘイトがもたらす惨劇
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