千本ナラの名木には、賽銭箱が置かれて幹にはしめ縄が巻かれ、しゃもじがいっぱい挿しこめられている。
願い事を書いたひしゃくがびっしりしめ縄に・・・しめ縄では足りなくてつたにもしゃもじが挿しこめられている。
しゃもじに願い事を書いて差し込んで預ける。しゃもじはご飯を「すくう」から転じて、悩みから「救う」と信じられているらしい。人の願いを黙して長年受けとめてきているのだ。
隣りの千本ナラの木は根元から折れて裂けていた。願い事を書いたひしゃくも一緒に横たわっていた。幾々年もの春夏秋冬を乗り越えて来た秋の摂理、強風に耐えられずに朽ちいたのだと感じた。なんとも人生と重なる。