5/1投稿 過渡期 ３０話 最終回

5/1投稿　　過渡期　３０話　最終回




広瀬は警察を退職し私立探偵をしている男に相談した。

彼は池畑と言った。

広瀬はワタルが送って来た２本のビデオを持って行った。

真理子にとって恥になるかもしれない。

しかし、探偵でも警察でもこのビデオを見たら

広瀬の訴えが想像の話とは思わないだろう。


私立探偵なら大ごとにしないのではないか？

それが広瀬のかすかな希望だった。

そしてもしかしたら警察の介入もスムーズにできるのはないだろうか？



池畑は元刑事だけあって極めてロジックに広瀬の話を聞いてくれた。

ビデオを見て心から真理子を心配してくれた。


そして広瀬がタケルの屋敷を訪問したいと言ったとき

一緒に行くと言ってくれたのだ。


爺は広瀬の訪問に驚いた。

池畑は本郷健さんからビデオを受け取っておりまして

あなたが岩本さんですね。

爺はタケルがビデオを送っていたのを聞いてなかった。


屋敷の敷地に見知らぬ車が入ってきたとき

爺は坂本に真理子をしまってくれと言った。

そして、タケルの寝室の壁をスライドして奥に普段は使用していない

小部屋を見せた。

真理子は口に坂本のパンツを突っ込まれ、頭を覆う口輪をされ、

手首と足首を獣のように一緒に結わえられて床にころがさられた。

そして坂本は上にシーツをかぶせた。


坂本は客間に戻った。


玄関で広瀬と池端をむかえた爺は

何事でしょう。

だんなさまは海外出張でおられません。

と玄関で追い払うつもりだった。


しかし、池畑はビデオの動画から切りとった爺の写真を見せた。

爺は裸だった。　

これはあなたですよね、

下になにかあったが爺だけが切り取られていた。。

この下にいるのが真理子さんです。

この写真はあなたが真理子さんに性行為を行っている一部です。


爺は動揺した。


それでも警察の家宅捜索はお持ちでないでしょうとドアの前に立ちはだかった。


池畑はちょっと失礼とその場を離れどこかに電話していた。

数分後、私服の男が来た。

そして、爺に家宅捜索の一通の書類を示した。


広瀬も知らなかった。

池畑は元同僚のの刑事にこの一件を話し、とりあえず誘拐で書類を用意してもらったのだ。


爺はそれ以上の拒否はできなくなった。


広瀬と池畑だけでなく、元同僚の刑事数人も捜索に参加した。

彼らは１階のあと２階に行った。


２階の客間の前に来た。

坂本は人々がドア前に来たとき、ドアを開けた。

その時、広瀬が言った。

真理子、真理子、

そして中に入ろうとした。

坂本はなんですか、失礼なと広瀬が入ろうとするのを押しとどめた。

誰もいませんよ、ここには。

真理子の臭いがする。

そう、この部屋はさっきまで真理子が男たちに抱かれていた部屋なのだ。

捜索の権利でスエット姿の坂本は部屋から出された。


刑事と一緒に来た鑑識がすぐ部屋に入った。

鑑識は床に落ちていた髪の毛、体毛を即座に収集し

指紋、血液反応もなされた。


客間の寝室に真理子はいなかった。


しかし、ベッドの乱れ、数本の長い髪の毛は坂本のものではなく

真理子はどこかにいると思われた。


池畑は坂本に真理子さんはどこだと襟ぐりをつかんだ。

坂本は爺を探したけど、爺はすでに警察車両の中だった。


仕方なく、坂本はタケルの寝室に行った。


そして壁に見える戸をスライドして中を示した。

広瀬は一番で部屋に入った。

窓のない湿った部屋だった。


シーツをめくった。

真理子が横たわっていた。

真理子、広瀬は真理子を抱き上げた。

頭部から口輪をはずし、口からパンツを出した。

真理子はハーと息をはいて、かすかな声で泣き出した。


真理子、真理子もう大丈夫だよ

刑事の誰かが差し出した毛布で真理子を包んだ。


広瀬が真理子を抱えて階下に降りたとき

すでに救急車が来ていた。


真理子は入院した。


真理子の意識がなかったとき、真理子の体中の傷だけでなく陰部の傷を数人の医者が

気がついた。

一体なにをこの子はされたんだ？

真理子の意識は２日ほどで戻った。

真理子が少ししゃべれるようになった夜、主治医が真理子に聞いた。

このたくさんの傷はどうしてできたの？

真理子はムチと短く言った。

ムチでたたかれたの？

真理子はうなずいた。


たたいたのは誰？

爺

爺と真理子が言ったことで、警察に連行された岩本の逮捕は決定的だった。


真理子はゆっくり思い出していって、

友人と会った日２人の前で倒れた老人の話もした。

爺だったの　と真理子は言った。


本郷健の送った２つのビデオは爺と本郷の暴行・監禁・不同意性行、等々の

犯罪の証拠の決定的なものになった。


そして・・・・

それから・・・・・

だいたいどうして一番最初にタケルの家なんかに行ったの？

元刑事だった池畑は刑事とともにいろんな質問をした。


真理子は思い出そうとした。

ウーン　うーん、どうして行った？　真理子は思い出そうとした。

それからアキラ、晃が連れて行った。


池畑は声がつまった。

晃って広瀬さん？と念をおした。

うん　と　真理子はうなずいた。


真理子はあの時のことを思いだそうとした。


あのベッドにいたのは誰だったけ？

・・・・誰かがベッドにいて、

お見舞に行ったの？

うん、私、ベッドに乗せられて・・・・・

真理子は眠くなった。

ここのところの真理子はなにか突き詰めると眠くなるのだ。


軽く口を開けたまま真理子は眠ってしまった。


池畑は病室を出ると元同僚の現職の刑事に広瀬を引っ張れと指示した。

広瀬が逮捕されたことで、罪状に人身売買も加わった。


数日後、刑事たちは飛行場で帰国したタケルを逮捕した。

主に人身売買の片割れだった。