北山・京の鄙の里・田舎暮らし

北山、京の北に拡がる山々、その山里での生活を楽しんでいます。

頭巾山への道はまだ雪だった・恥ずかしい敗退の記

2012-04-01 20:48:05 | 山・峠・街道
西の鯖街道講座で若丹国境の頭巾山に登る計画を立てているので下見に出掛けた。かねてから頭巾山には一緒に行こうと約束していた徘徊堂さんにも同行して貰った。もう一人元我が職場の女性Iさんも同行すると言ってくれ、女性の足を計る参考になると歓迎した。

今日の予定は、車2台で出掛け、一台を野鹿の滝の奥の登山口にデポ、引き返して鶴ヶ岡の居から登り、稜線を横尾峠へ、更に若丹国境尾根を西に進み、登頂後は野鹿の滝方面へと下るという下見コースを設計していた。

朝は寒く、気温は0℃。しかし良い天気だ。よ~しと車を走らせるとフロントグラスには雨粒が。まあ大したことはなかろう。野鹿の滝への谷道に入り2km近く進んだろうか、除雪された雪が崩れている。三人で雪を砕いて通路を空けなんとか通り過ぎることが出来た。スコップを積んでいたらよかったのにと後悔したが、ここ迄の残雪は想定外だ。積んでいたバチツルがなかったら駄目だったろう。15分以上時間のロスだ。


車幅ぎりぎりで何とか通過した


ところが更に奥へ少し進むと、ありゃこらあかん。

除雪はここまで(*_*)


登山口まではまだ2.8kmとの表示があったので、車をデポすることは諦め、2台とも引き返して福居方面を目指す。堀越峠への道の両脇、山にはまだ雪が残っている。

福居の奥、頭巾山登山案内板があるところに駐車し、上谷方面へと歩いて取り付きを目指す。下小屋の谷を上がるのが距離的には近いのだが、この谷道は荒れているとの情報があったので、直ぐ東の尾根へと登るルートを目指す。

横尾峠への案内板がある。



取り付きには古い石標があった。


横尾峠は古くから利用されていたのがこの石標でも分かる。但し、みぎ???ひだりやまみち、としか読めない。

入口は谷だ。谷の右即ち東の斜面を登る道があるはずだが我が持参の地図はこの辺りがタバコで焼けて穴が空いている(*_*) 谷の対岸に道がないか目を懲らすもそれらしきものは見当たらない。仕方なくもう少し谷を上がってみようと斜面に苦労しながら進む。少し上に登ると道らしきものがありそこへよじ登って、ここを進む。ところが道らしきものもなくなった。検討したが稜線が見えるのでそこを目指すことに。完全に道無き斜面をジグザグに進むので大変だ。足場が取れなくて歩きにくい。Iさんに我が持参のバチツルを渡して地面に突き刺して登る方法を教え、直登を試みる。徘徊堂さんは一足先にすいすいと直登されて我々を待っていた。

悪戦苦闘の末、何とか稜線に出たが、どうもこれは予定の南北に走る稜線の支尾根の様だ。取り敢えず当初予定の稜線にたどり着くべく進んだ。ようやく稜線にたどり着くとそこは雪の世界だった。木の根っこ部分は溶けているがまだかなり残っている。昔から踏み込まれた道は凹んでいて、そこはしっかりと雪でふさがれていた。かなり固まった状態なので雪の上を歩くことは出来たが時々ずぼっと足が埋まる。どうしても雪のない道の脇を歩く方が多くなった。この歩きの為なかなか距離を稼げない。目の前に聳えるピークへの九十九折れの道をゆっくりとすすんだが、途中は雨や雪まで降ってきた。

尾根の風景


途中イワカガミの葉っぱ目に入った。やはり若丹国境尾根はイワカガミの群生地だ。写真ではその葉が地面と同系色で分かり難い。緑の葉は折れた木の葉。


腹が減ったねということでピーク645のあたりで昼飯に。雨が降ったり、そこに白いものが混じったり、時々青空らしきものが現れたりと変化の激しい天候だった。稜線に吹く西からの風を避けほんの少しだけ東の斜面にしゃがんで昼飯のお握りを頬張った。

645付近から東の堀越峠方面を望む。写真では分かりにくいが、堀越峠の上のアンテナも見える。東隣の谷(イメタチ谷だと思う)の中腹には林道が走ってかなり上まで通っている様だ。ここから見える山々や東側の頭巾山方面の山にはまだまだ白いものが残っていた。


昼飯休みを終えたのが2時近かった。この雪道歩きでは距離が稼げない、天候の不安定さ、帰りの時刻を考えて、今回はここで引き返すことに。

来た道を引き返し、行けるところまで行けと稜線の道を進んでいくと、途中から、あれこの道通らなかったよね、という所まで来た。しっかり踏み込まれた道が続く。相変わらず道には雪が残っていたが、それもだんだん少なくなり始め、道は徐々に下り始めた。これが本来登ってくる道やで、と言い合いながら下っていく。

よく踏み込まれた道は古道の雰囲気そのもの。自然林に囲まれ、新緑の頃は素晴らしい表情で迎えてくれそうだ。



程なく降り立ったところは取り付いた谷の入口だった。何故この道が分からなかったのかは、雪が道を塞いでいたのも一要因だったようだ。雪さえなかったら対岸からも道は見えたろうに、とは言い訳になってしまうだろう。尾根に登る道は谷の左岸にあるはずだからその観点からだけ道を探すべきだった。これは初歩的ミスそのもの。反省することしきり。



棚田の立派な石垣



福居の里の最奥にある棚田は立派な石垣でつくられていた。この棚田を作り上げた古人の苦労が偲ばれる。今日歩いた見事に踏み込まれた山道の姿といい、この棚田といい、これぞ古に思いを馳せることが出来るルートだと分かったのは、不名誉な途中撤退の下見での収穫としておこう。

今回参加してくれたIさん、山登りは久しぶりだという。昔百名山を目指す父親と槍ヶ岳へ行ったくらいかなと。そのほんとうに久しぶりの山行に、雨や雪が時々降る寒い天候下、登り初めて直ぐに道無き山の斜面をよじ登る経験をさせてしまった。ええ経験をしたろう、っと強がりで慰めていたが、雪残る古道を下るときには、天気も良くちゃんと道を歩いたらいいハイキングになったであろうとイメージを膨らませてくれた様だ、、、と思う。私が下見に行くと呟いていたとき、行きたいと手を挙げた彼女は家族と登った槍での経験や、百名山登頂に挑戦し目標を達成した親爺さんのことが脳裏に浮かんだのではなかろうか。背中の姿で教育する大切さの一面を垣間見た気がする。先日他界した我が恩師は、子供に勉強しろと言うのではなく、親が自ら勉強していたら子供は勉強するもんや、と言っていたのを思い出す。これからは美山の観光の為に頑張る彼女にいろいろけしかけておいたが地域のために頑張って欲しいと思う。

街中のみならず、北山のあちこちも歩き回ってられる徘徊堂さんには、斜面登りなどいつものことであろうし物足りない山行だったろうと想像するし、こんなルートミスをするなんてお前何年山に行ってるねん、と笑われていると思うが、まあ私しゃこの程度のものと赤裸々に自分をさらけ出しておこう。今までの失敗からも学習出来ていないと反省するし、行ってまえ~、と進んでしまう我が性格は直っていない。




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6 コメント

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ありがとうございました。 (徘徊堂)
2012-04-02 13:32:48
 速い(驚)、もうあっぷされたのですね。憧れていた頭巾山の登山ルートが分かり、喜んでいます。今までは、何か漠然とした感じしか無かったのですが、これで雪が消えるころに、あの素晴らしい稜線に行けます。野鹿の滝方面、崩落していた雪をどけた後、何か壁のように積雪が進入を阻みましたが、こういうのも初めての経験で面白かったです。ありがとうございました。また、下見行など機会がありましたら宜しくお願いします。
 福居からの登山道、ゆっくりと登れば皆さんも楽しめる道でしたね。何がイワカガミなのかも知ることもできました。
もう一つの収穫は、島城登山口ですね。美山の戦国時代にもますます興味が湧いてきました。それにしても、いきなり斜面を登らされたり、旦那さんが死んだことにされたりしていたIさん、少しも弱音を吐かれなかったですね(笑)。尊敬します。
 帰路、神楽坂トンネルあたりでmfujino様に連れて行っていただいた海老坂などの景色を思い出していました。今一度玉岩の地蔵堂などを見たいなあという気持ちになりました。徘徊のネタをいっぱい手に入れました。重ねてお礼申し上げます。
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探索すべきところはいっぱい (mfujino)
2012-04-02 21:32:15
徘徊堂さん、昨日は同行頂き感謝しています。崩壊した雪を砕く作業から始まり色々ご苦労をかけてしまいました。「初めての経験で面白かった」という考え方は大好きです。以前芦生で道を間違ったことがありましたが、反って良い経験が出来たよと行って貰える友人を持つ幸せを感じています。まあおっちょこちょいというのを分かって付き合って貰っているということでしょうw

今回のルートは何百年も人が歩いて出来上がったまさに古道そのものでしたね。新緑の頃の素晴らしさが十分想像出来たのは良かったです。後は全線の検証が残っていますが、さすが自然林、倒木もなく、自然の風景を楽しみながらゆっくりゆっくり歩けば大丈夫かなと思っています。次の下見にはテープとロープを持参します。それと本番では道案内の小さな看板もぶら下げないと、、

若丹国境尾根は良いでしょう。八が峰から名田庄へのルートを歩く時にはまたお誘いしますね。こういうとき車が2台あるのは大きなメリットでもありますしご協力よろしく(^_*) それと青葉山かな。もう一つ高浜の舘太さんが元気なうちに砲台跡も訪れたいものです。

尾根で休んでいたとき少し話しましたが、鯖街道と呼ばれたりしていますが、私は鯖が大量に運ばれたのは江戸時代後半から明治にかけてではないかという仮説をもっています。しかしこの街道は鯖で語り尽くせるものではなく、もっと長い期間で考えるべき、若狭から京への文化の道だったというのを昨日この古道を歩いて再認識しました。そして道木谷のルートへの思いも更に深まりました。徘徊堂さんには、尼来峠、道木谷、石山峠の古道探索にもご同行頂きたい気持ちがあります。

美山の島城へも行きたいですね。秋の松茸の時期は注意が必要ですが。取り付きを案内して頂いたえびす屋の?さんのフットワークよかったですね。
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雪の魅力と威力。 (道草)
2012-04-03 14:32:12
深雪と言いますか残雪と言いますか、写真から拝見して雪の頭巾山はなかなか魅力的です。今年は日本海側は相当に雪が多かったので、その名残でしょうか。山腹は当然としまして、道路を大雪が塞いでいるのは予想外だったのでしょう。それにしましても、自然の要塞見たいな積雪は脅威です。
ただ、最初に正規の登攀路が見つからなかったのが、ベテランのmfujinoさんなのに不思議です。地図が煙草の火焦げで孔が開いているとか。せめて、焼酒が零れた程度なら宜しかったのでしょうけど。

いずれにしましても、この古道は魅力的です。北山の至る所に残る山道ですが、何百年もの歴史を思えば隅から隅まで訪ね歩きたい衝動に駆られます。
天候ばかりは致し方ありません。今回は強力なパートナーが2名も居られて、さぞ充足の下見だった事と思います。足の便を持たない私は、ただ指を咥えて(手の指です)聞くばかりです。また、老人向きのラクな下見の予定(そんなものは無いでしょうけど)などありましたら、お声を掛けてみて下さい。
残雪に次の楽しみ残し置く(道草)
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読図力など (mfujino)
2012-04-03 20:08:33
道草さん、美山の里から堀越峠へ向かうと両脇には残雪の姿が見えてきました。野鹿の滝への谷に入って最初の雪の崩壊を取り除くところが苦労の始まりでした。その後行く先を阻んだ残雪は30cm以上はあったと思います。滑りやすい斜面をよじ登るのも苦労しましたが、稜線の古道にも残雪があり、どうしても進む速度がダウンしてしまいました。春山は冬山と同じ装備で行くというのが鉄則ですね。

最初の道を発見出来なかったのも雪が隠していたのです。あっちに道が有るはずやけど見えないね~とお互いによく見たつもりなのですが。しかし有名な登山道や道標のしっかりしたとこでないかぎり、取り付きは難しいものです。植林されたりしたところなどは特にそうですし、そこで地図を読み解く力が必要になります。京北トレイル部員のベテランは道を見ないで地形を見て歩けと言います。北アルプスなどの有名な登山道を歩くのはルートファインディングの概念さえ必要がないほど整備されていますが、植林されたりして道が消えたり変わったりしているところではこの読図力を鍛えるには北山はもってこいで、今西・桑原さんといった先人が北山で鍛えられたと言われる意味が分かります。

まあ今回も注意力が足らなかったのですが、本文にも書きましたが、例え違っていても稜線まで行けば合流するだろうから、え~いと行ってしまう我が根性がいけなかったのでしょう。

これだけ踏み込まれた古道が残っているのには正直感動しました。新緑の風景を想像すると更なるものがあります。山好きな人はどんどん歩かれている若丹国境尾根界隈ですが、まだまだ絶対数は多くはないと思います。

稜線から見ると山の深さを感じますし、そこで道に迷う怖さは権蔵坂の下見の時に実感しました。人様を案内するにはもう1・2回歩いておかないといけないようです。
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Unknown (かりんとう)
2012-04-07 15:39:36
今日も寒いです。
下見お疲れさまでした。
こんなに雪が残ってたのですね。
「西鯖の講座」当日この景色がどのように変化しているのか、楽しみです。前回 野鹿の滝から頭巾山を歩いたのは、16年前の秋でした。花の記憶は全然なく当時 野鹿の滝に掛かっていた今は無くなっている橋から手を伸ばし、流れる滝から直に汲んだお水が美味だった事が思い出されます。(亡き小畑登先生が汲んでくださいました。)
今回は 春 シャクナゲ 岩うちわ 岩かがみ 等々色々のお花との出会いが楽しみです。次回の下見好天気でありますように。
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若丹国境尾根はオオイワカガミ (mfujino)
2012-04-07 20:06:37
かりんとうさん、今朝は寒かったですね。Twitterで思わず呟いてしまいましたが、6時半頃だったか、外に出ると屋根が白くなっていました。積もるという程ではなかったのですが、、 この寒さだと頭巾山へのルートの雪はまだ溶けていないでしょう。あれくらいの雪でしたらそう問題は無いのですが、下見としては出来るだけ条件が同じ状態の姿を下見しておきたく思っています。ところが4月の後半になると予定がぎっしり詰まっていて、はて何時行こうかと悩んでいます(*_*)

本文にも書きましたが若丹国境尾根はオオイワカガミの天国ですね。それと本シャクナゲが咲いていると良いのですが。5月6日という日を選んだのはこの本シャクナゲを見たいためでもあります。ただ片波から八丁方面のあの姿には及ばないでしょうけれど。本番当日が良い天気であります様祈っています。野鹿の滝は今回は時間の関係で素通りするかも分かりません(*_*)

小畑登先生は私は面識がありません。一度お目にかかりたいと思っていた一人であったのですが。
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