Drマサ非公認ブログ

今回は気が狂っています:経世済民についてもう一丁

 経世済民について取り上げると、なぜか僕の中で、聖書の「ぶどう園の労働者」を思い出してしまいます。

 

 「天の国は次のようにたとえられる。ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。主人は、一日につき一デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送った。また、九時ごろ行ってみると、何もしないで広場に立っている人々がいたので、『あなたたちもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう』と言った。それで、その人たちは出かけて行った。主人は、十二時ごろと三時ごろにまた出て行き、同じようにした。五時ごろにも行ってみると、ほかの人々が立っていたので、『なぜ、何もしないで一日中ここに立っているのか』と尋ねると、彼らは、『だれも雇ってくれないのです』と言った。主人は彼らに、『あなたたちもぶどう園に行きなさい』と言った。夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。そこで、五時ごろに雇われた人たちが来て、一デナリオンずつ受け取った。最初に雇われた人たちが来て、もっと多くもらえるだろうと思っていた。しかし、彼らも一デナリオンずつであった。それで、受け取ると、主人に不平を言った。『最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。』主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。』このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。」

(マタイによる福音書 二〇章一-一六節)

http://www.christian-center.jp/chapelhour/2007/wed_tanabe/1212.html

 

 僕たちの常識では、当然長い時間働いた方が賃金は高いはずだと考えます。それを公平とみなします。キリスト教的理解については、よく知りませんが、神との契約を強調する話としたり、神の愛と救いの平等性としているようです。ということで、僕たちの常識と神の御心の違いを見て取ることができます。人間の作った価値体系が真理からは遠いことを表しているように解釈できます。

 僕はそんなことよりも、イエスは実に皮肉屋だったのではないかと思っているので、長く働いた人を当時の社会で有利な人、そして短い時間働いた人々を社会で差別を受ける人々としていたのではないかと思っています。働けるということ自体が、この時代社会的に有利な存在、いまでいう勝ち組です。

 ここからは妄言です。

 僕なりの経世済民と重なる理解ではあります。まだ整理して考えたわけではないので、やっぱり妄言です。

 「経世済民」は「人々が生活する普通の場所」の「規範」が「人々の生活の習わし」を「助ける」事でした。それが治世です。生まれてきたら、誰もが生きていける、生活していけるということで、治世がなされることです。

 ですから、いろいろな身体的条件や社会的条件があるにしても、人は皆普通に生活できる、そのような世界観のたとえ話が「ぶどう園の労働者」なのではないかと、頭の中に出てきてしまうのです。多分妄言です。

 現代日本では、1日頑張って働いても、派遣労働で8000円です。1ヶ月16万円です。これはフルタイム働いてです。フルタイム稼働することができない人もいます。この社会はそういう社会です。いまコロナでこのような労働は切られます。僕たちは彼らの努力や才能が足りないとでも考え、そのような事実を飲み込みます。これでは生活もできないし、結婚もできないし、あえて言いますが“普通の生活”ができません。どうにか生き残るのが精一杯です。

 にも関わらず、スポーツで10億円稼ぐ人もいます。そういう人に憧れます。日本でも資産が2兆円の人もいます。成功者として賞賛されます。

 先の月16万円の人と10億円稼ぐスポーツ選手を比較しましょう。10億円÷(16万×12ヶ月)≒520です。1人の人間が520人分の労働力があることになります。どうして、ここまでの労働力の差がつくのでしょう?資産2兆円の人と比べたら、どうなるでしょう。月16万円の人の資産はおそらく0です。計算できません。

 僕はもちろん資本主義の論理をある程度知っています。ですから、これを全部ひっくり返せなどと夢物語はさすがに言いません。でも、働いているなら、“普通の生活”ができる、お金がないことを理由にして結婚できない、先立つお金がないので子供を作れないという世界は狂っているのかもしれない、そんなことが頭の中に、ふと湧いてくることがあります。

 こんなことも頭に出てきます。2兆円の資産を有する人は社会から随分と泥棒したもんだなあと。

 生まれてきた人間が当たり前のように“普通の生活”ができる社会。妄言なんでしょう。そろそろ僕の方が気が狂うかもしれません。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「思想」カテゴリーもっと見る