社会人のネタ探し生活~ネタの倉庫~

ありふれた日常からネタを探しています。会話のとっかかりやアイデアの素材、自分の成長などに役に立てたいです。

手に取るときは慎重に

2009年01月24日 13時38分17秒 | 発見

 急に目の前に何か差し出されたら、すぐに手に取るべきでは
ありません。
 手に取るのは、それが何かをしっかり確かめてからにしましょ
う。そうしないと私みたいに痛い目にあいます。

 先日、地下鉄で通勤していたときのことです。
 地下鉄の階段をのぼり地上に出た瞬間、「どうぞぉ」と目の
前に何かを差し出されました。何でもない単なるポケットティッ
シュです。あとで考えれば、ちょうどポケットティッシュを切
らしていたのでほしかったのですが、そのときは瞬時にぷいっ
と体を半身にして「いりません」を体で表現していました。

 街で何かのPR用に配っているポケットティッシュを差し出
されたときは、基本的にはもらいます。階段を上りきったすぐ
のところに待ち構えて差し出してくる状況。この状況が私に
忌まわしい記憶を思い出させたのです。

 3年前、旅行で中国の万里の長城を登ったときのことです。

 肌が痛いほどの凍てつくような12月の寒さでした。体温が
奪われ歩くだけで体力が消耗するなか、万里の長城の急な階段
を上ります。人が歩いていける一番端まで行こうと意気揚々で
した。寒さと疲労、それに山の上の空気の薄さもあいまって次
第に息が切れはじめました。それでもはぁはぁと息を切らしな
がらも、一番端を目指します。

 腿を真上にあげなけいけないほどの急な階段を必死に上りきっ
たそのときです。突然、目の前に一枚の紙のようなものを差し
出されました。物売りのおばちゃんです。

 何度も中国に足を運んだことがあるので、中国の物売りの強
引さはよく知っていましたし、その手口もよくわかっているつ
もりでした。事実、一度も物売りから不本意な買い物をしたこ
とはありません。

 しかし、そのときは疲労からでしょうか。完全に油断をして
いたのでしょう。その目の前の紙を手にとってしまったのです。
 それは数枚がセットになっている絵ハガキでした。

 手に取ったと同時に「100元!」とおばちゃんは言います。
多少、中国語を話すことができた私は、きっぱりと「買うつも
りはない」と言いました。それに100元とは、高いにもほどが
あります。日本円で約1,300円です。中国でふつうに買えば1
00円で買える品物です。

「手に取ったんだから買え」とおばちゃん。
「そんなのはおかしい。」と私。
「100元、100元」と手のひらを差し出してきます。
「払うつもりはない」と声を荒げ絵ハガキを突き返します。
それでも、相手は受け取るどころか100元を連呼するばかり。

意気揚々とここまで来た私の気分は一気に盛り下がり、怒りに
変わってきました。無視して行こうとしても狭い通路のため進路
を遮られています。
 数分の間、お互いにらみ合ったままどちらも譲りません。

 私の頭もだいぶ冷えてきて、こんなところで貴重な時間を割
くのがアホらしく思えてきました。しょうがないので観念したの
です。

 ただ、100円のものに1,300円を払うのは納得がいきません。
「高すぎるからまけてくれ」と交渉します。
 少しくらいはまけてくれるかと思っていましたが、頑固な中
国おばちゃんは首を横に振るだけです。
 根負けした私は、結局100元を払ったのでした。
 
 それからです。突然目の前に差し出されたものは、安易に
手に取ってはいけない、と肝に銘じたのは。