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歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

住めばみやこ

2011-08-15 22:57:38 | Weblog
有料老人ホームに勤務しています。

私が介護を職業にするようになったのは、平成12年。
介護保険制度のできる前の年です。
ほぼ、介護保険制度と足並みをそろえて働いてきた、といっても良いでしょう。
その全てを有料老人ホームで勤務してきました。

介護職としては長いほうなので、
入居の受け入れや事前面談などにも立ち会ってきました。
やはり、どんなに良い施設でも、良いサービスでも、
本人の気持ちが施設で暮らすことを受け入れていないと、入居してからの本人も受け入れ側も、大変な思いをします。

認知症だから、説明してもワカラナイだろう。
話し合いなど聞いてくれない人だから。

そういう思われ方で、何も知らないまま車に乗せられ、置いていかれたという人も少なくないのです。

逆もあって、
入居は自分で決めたのに、認知症になり、出口を探し続けていた人もありました。


たとえ、諭すように話されたとしても、なかなか自分のためと受け入れられる人はいないのですが、
それこそ、「住めばみやこ」で、少しづつ馴染んでいくものです。

知る範囲でも、たまにもとの自宅や子供と同居していた家に帰る人がいましたが、
施設に戻ると「やっぱりここが気楽。」という言葉が出ます。

いつの間にか、そこが自分のいるところ、居場所になっている。
そうなっていただきたいと思います。

男性のほうが環境に馴染むのは苦手で、家にもどっても気が休まらなくなるのに、1~2年かかるようです。
出かけて、施設に帰ってくると「やれやれ・・・」といった顔をなさるようになります。
「お部屋が一番のんびりするようになってしまった。」と、しみじみつぶやいておられました。

「いってらっしゃ~い!」
「おかえりなさ~い!」
そういわれるのがとても嬉しい、といっていた一人暮らしが長かった人もいました。
その人は
「私はここで死ぬのよ。」と口癖でした。



もしも、周りの方で施設入居を考えておられる方がいらしたら、
必ず、ご本人と話し合いをして欲しいと心からおもいます。