歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

お誕生会

2009-11-30 00:10:56 | Weblog
施設のご入居者の誕生月には「誕生会」を企画する。
ご家族の参加があるときもある。
勤務先では、誕生日当日に行うのが原則だ。
以前の勤務先は、同じつきの人をまとめてしていた。

ただ、キッチンスタッフがケーキを作ってくれるので、そちらの勤務状態にもよる。
他のイベントが重なる時も考慮する。

中には、みんなの前で誕生会など嫌う方もおられる。
全くしないでよい、という方。
それはそれで受け入れている。
イベントはスタッフのためではなく、ご本人のためのものだ。

そのほかに、仲良しさんだけでお祝いしたい方もある。
その方は、一部スタッフも呼んで下さる。
管理者の許可があれば、これもまたよしとする。

「公然のナイショごと」?(笑い)
呼ばれていないスタッフも皆知っている。
その中に、今年も呼んでいただいた。

昨年は、管理者含め3人くらいスタッフが参加している。
なんだか押し付けられたような気もしたが・・・、
お祝いだ!
ビールを買いに走って、
場所の設定、コップや湯のみ、お茶も運ばなくてはいけない。
私、あんまり接待は苦手なんだけど・・・。

お誕生の方は、ビールが好き。
あんまり飲んじゃいけないんだけど、ホドホドに。
美味しいうな重を頼んで、おしゃべりに花が咲く。

この秋、少し体調を崩しておられたが、
ほぼ全快して年が越せそう。
何よりの誕生祝。

私からは、シェーカー型ケースのリキュール入りのチョコ。
お友達からはシクラメンの大きな鉢植え。

最期は歌を一緒に歌ったりして楽しんだ。
その中のお一人、
「全部ご用意して、片付けていただくことになっちゃったわね!」
チャント気づいてくださっている。


お祝いのご本人様、
2日前に、あらぬ場面を私に発見されて叱られている。
小柄な方なので、乾燥機の中に手が届かない。
椅子の上に乗ろうとしていたところを発見!
この方、片足に麻痺が残っているので高いところに上がらないようにと繰り返し言っていた。必ずスタッフを呼ぶ、そのためにスタッフはいるのだ、と。

思わず「何してるんですか!落ちたらどうします!」
はっとして、すぐ謝ったが、
「叱ってくれて嬉しい。」と言ってくださった。

転んでいたら今日のお祝いは出来なかった。

小春日和にのんびりと

2009-11-28 19:30:49 | Weblog
ベランダの植木の手入れ。
間もなく満開になろうとしている「シヤコバサボテン」を室内に2鉢入れる。

この花、温度に敏感で室内が暖かすぎると、蕾を落としてしまうのだ。
あまり暖房をしないので、今年はミゴトに花を咲かせそう。

白とローズ色の「花カタバミ」も室内に。
ベランダだと、気温が低くて花が開かないのに気づいた。

カサブランカとラナンキュラスの球根を植え替える。
春が楽しみ。
百合の匂いは強すぎるので苦手だけど、
豪華な花も見てみたくなった。
クリスマスローズは2年以上しないと花をつけないらしい。

なんと!
「金のなる木」が今年も花が咲きそう!
蕾が出掛かっている。

その割りに、お金、溜まんないよなあ・・・。

秋に手に入れた「セイロンベンケイソウ」、
この辺では「ハカラメ」という。
落ちた葉っぱから、根がでて、芽が出るから「葉からメ」なんですよ。

10月の台風で落ちた葉っぱ4枚を水に浸しておいたら、
1週間で、小さな小さな芽がでた。

その生命力にあやかってもらおうと、
施設のテーブルの上においてある。

「これなあに?」
「めだかがいるの?}
「エ?なんかでてる!わっ、こんなのはじめてみた!」

いまだに毎日眺めて話の種になっている。
葉のぎざぎざのところ、全てから芽がでます。
もちろん根をつけて土に植えると育ちます。

そこいらに放っても、空気中の水分で育つらしい。
すごいでしょう!
老人ホームにはぴったりです。
みんな元気になる!

今年、数年ぶりに球根などを買っている。
半分以上は、ご入居者へ分ける。
ヒヤシンス、百合、ラナンキュラス。
男性の居室にも水栽培なら置ける。
認知症の男性だって、綺麗なもの、育てるものは分かる。
決して、むしりとったり棄てたり齧ったりもしない。
食べ物と混乱する方には、土だって置けない。


シャコバサボテンも金のなる木も、かれかかったのを貰ってきて育てたものだ。
落ちた葉を棄てきれない私は、他の植木鉢に刺しておくので、
今では何鉢にも増えている。

どうやら面倒みないのが元気でいるコツらしい。
ん?
これ、子育てや人材育成と同じかも。(笑い)

あ、たまには、栄養注入は必要ですよ。

福を集める酉の市

2009-11-25 01:35:03 | Weblog
恒例の「お酉様」。
朝から、ご入居者たちを順にお連れしていたようだ。
幸い曇ってはいたが、それほど寒くもなく、いつもは居室から出ない方もお参りしたようだ。
一緒に出かけた方が「拍手を打ちながら泣いていたわよ。来年はこられないと思ったんじゃないの。」などと、自分の年は差し置いて話していた。

実際、出かけたそのときは喜んでいても、後になってドウだのこうだのという方もいる。
スタッフは、決してそのときの顔に安心していてはいけない。

なかなか満足という言葉を聞くのは難しい。

居室から出ない方が、再び「熊手を買いたい」とお参りに出かけてくれた!
一日に2度もナンテ!
私にとって、まさに嬉しい「福」!
手持ちのお小遣いが足りなさそうだったので、すぐ貸して差し上げる。
会社の立替払いを嫌う方もいるので、常に現金は手元に置くようにしている。
ア、もちろん自分のお金です。

お金を使う楽しみもできる。
私の分の熊手もお願いしました。
身の丈に相応した熊手を買ってきてくださいました。(笑い)


夕食は特別メニュー。
先着順ですが、家族もお呼びしている。
目の前で解体した、マグロ、いや、鰤。
活け作りの真鯛。姿盛りにしてあった。
揚げたてのてんぷら、赤飯、いなり寿司。

「こんなにお刺身をたくさん食べたの初めて!」
口うるさい方が、そういってくれた。
アツカンを飲む人あり、
ワインも赤と白、地元ビール。

「こういうとこでも、こんなに楽しいことがあるのよねえ!」

食べることは一番の楽しみだそうだ。

1年1年、全体のお酒の量は減ってきている。
年を重ねるということ。
飲めない私からすると、飲める人はうらやましい。

足元が怪しくなり、スタッフに抱えられるようにして居室へ戻った方もいる。
様子を見に行くと、ベッドに転がっている。
起こすのは無理なので、しばらくそのままに。
1時間後、着替えを手伝い、眠剤は飲まないようにいう。

飲酒はOKだが、その後の薬の服用に必ず気をつけている。
わかる方には、時間をずらすか服用を止めるように話をする。
わからない方には、酒量を控える。

ご家族からは「ご苦労様」、
ご入居者からは「楽しかった」「ご馳走様」「美味しかった」
「準備が大変だねえ!ありがとう」

スタッフにとって、これほど福をいただけて嬉しいことだ。

思いがけない福もいただく。
旅行のお土産だと頂き物をしてしまった。
この程度は感謝していただいている。
とても美味しいサザエの形をした最中でした!

酉の市も3回目になったなあ・・・。

人の手本にはなれないが見本にはなれる

2009-11-21 19:10:16 | Weblog
何年か前に、ODNマイページに記載したが、介護現場の人材育成を取り上げて見たい。

*介護スタッフとして働く人
1、年齢層に広がりができ、それに伴い理解力に差が出る。
2、男性介護スタッフの増加
3、なんとなく介護職になった人の増加
4、人付き合いが苦手なスタッフがいる。

*サービスの問題点と理解力
1、観察力の不足
  ・何を見るべきか?
  ・なぜ、それを見るべきか?
  
  目で見ていても、
  専門職として「看ていない」
  その現象の理解が出来ていない。

2、因果関係を読み解き、根本から「事」に対処できない。
  ・サービスが「事後処理」になってしまう。
  ・利用者の状態把握が不足している。
  ・基礎的知識を習得できていない。

3、安易に心の問題とするな。
  ・具体的な訴えを「寂しさ」と、
   簡単に片付けないで、基本的な観察を怠らないことが大切。


知識を「点」とせず「線」となり「面」と広げて、考える力をつけていかねばならない。
考えながら、サービスを提供していく姿勢を習慣づける。

*「○」「×」方式の活用
直してほしい(×)だけを伝えても伝わらない事が多い。

・「わかる」から「できる」とは限らない。
・「できる」から「うまくいく」とも限らない。
その途上のフォローアップが必要である。

頭で「わかる」だけでなく、身体で「わかる」ようでなければ「できる」にならない。


やってみて、言って聞かせて、させてみて、
誉めてやらねば、人はうごかじ
          (山本五十六)


介護は、携わるスタッフによって同じ言葉を言っていても受け取り方が変わる。
まさに、サービス業。
スタッフ同士でも、サービス業。
言う方も言われる方も、そのときの機嫌によっても変わる。
人に苦言を言う時のタイミングは難しい。

私でさえ、職場のコジュウトやシュウトメみたいと、言われたいとは思わない。(笑い)

最近は、
「あなたは、どうしたいの?」と、聞くようにしている。

ずっとあとになって、
「そういえば、こんなこと言ってたオバサンがいたなあ」
そう思い出してくれることを望んでいるが・・・、

自分のスタンスは、
「自分がされたくないケアは利用者に絶対しない」。

今、現場で育てているスタッフたちが行うケアは、
やがて私たちがケアされる立場になったときに返って来るのだから。

おこがましくて人のお手本になど、なろうとも思わないが、
良くも悪くも見本にはなれる。

人の振り見て、我が振りなおせ!




ケア(介護)するのは、仕事なんだけど?

2009-11-18 20:01:13 | Weblog
その人にあわせたケアをする。
統一したケアをする。
その人らしい生活ができるようお手伝いする。

どれも、よく言われる言葉。
ときどき疑問を感じる。

その人に合わせる?
タイムスケジュールで一日を回すというのは、その人のしたいことをしたい時間なの?

統一したケア?
人間、毎日気分も機嫌も変わるし、
やることを統一したって、スタッフの性格も話し方もイントネーションさえ違う。
言葉だけじゃない。
移動介助など、体格、背の高さ、力のあるなし、男女差、など。
同じことが出来て統一できるのは、機械だけだろう。

その人らしく?
いったい何を持って、その人らしいといえるのだろう。
たかが、20年30年生きてきただけの子が、
高齢者の「その人」のことなど理解できないだろう。

35歳のリーダーが、23歳の1年生の考えてることが分からん!といって「宇宙人」だと首をかしげているくらいだ。(笑い)
私の答え「何も考えていないんじゃないの。」
きっと、本人は何も困っていなくて、まわりがどうしようかと悩ませるタイプなんだよ。
本人に気づかせてあげるしかないだろう。

そんな世代なのに、ご入居者が生きてきた人生の「その人らしくを理解する」なんて、おこがましい、いや厚かましいとさえ思う。


こんなことがあった。
排尿チューブを一時的につけている方がいる。
何とか気をつければ歩けるので、大のほうはトイレで排泄している。
尿を溜めている袋(ウロバックという)は、数時間経つと、重くなる。
排尿されているのだから当たり前のこと。
そのまま移動するより、軽くして移動していただく方が親切だとおもうでしょう?

介護を仕事にしているのだから気づいて当たり前。
ところが、意外と気づきがないスタッフがいる。

本人に注意したが、
「重いままぶら下げて移動するより軽くした方が楽でしょう?」
その答え、
「だって、嫌われてるからそんなことまで考えなかった。怒鳴られて血圧でも上がったら困る。」
何をかいわんや!注意する気もなくなる。


明け方、オムツはずしをして失禁する人があるという。
オムツを外すのは、気持悪い、排泄したい、意思の現われだが、スタッフにとれば困り物なのだ。
全更衣する手間がかかる。
「テープ止めオムツの上に紙パンツを履かせていいでしょうか?」
朝の忙しい時間帯なのは分かるので、ダメ!ともいえず。
「パットなしで、テープ止め1枚の上に紙パンツならいいよ」
「エ?パットなしですか。」
「自分で試してごらん、どんなにごろごろして蒸れて気持悪くなるか。」

聞いてくれただけましだ。


「Dさん、夜、寝汗をかくのでズボン下をどうしますか?」
「寝るときはズボン下は脱がせるようにって言ってあったでしょ!」
ここまで来ると、腹が立ってくる。


ケアの目標や理念を振り回すより、
自分が、自分のするようにされたら「気分がよいか」を想像できればすむことではないのか。


物心ついてからは、寄りかかることも、誰かの胸で泣いたこともないけれど、
お仕事場では、抱きしめもするし、手も握る。

来年から人事制度が変わるので、
先が見えなくなっているが、ケアすることは若さとは別物だと会社は理解できていないだろう。