ポピュリズムを三省堂の辞書で引くと、
「政治的指導者が民衆の利己的欲望に迎合することで支持を得、権力を維持しようとする政治的態度。大衆迎合主義とも」
政治は現実の生活に立脚する大衆を相手にするわけだから、きれいごとでは済まない。だからこのような政治の在り方も有りであろう。
しかし政治の側から発信される情報が、フェイクニュースと呼ばれる「報道の形をしたデマ」であるならば大きな問題だ。
このような形の情報拡散は、大部分の人がインターネットを利用する時代になって、極めて大きな威力を発揮するようになって来た。
このような形の「情報戦争」を仕掛けたのが、2016年の米大統領選でのトランプであろう。
トランプがツイッターなどで、あることないことフェイクニュースを流して大衆(主に白人たち)の怒りの導火線に火をつけて回ったのだ。
このような傾向はアメリカだけでなくヨーロッパではすでに顕在化しており、この日本でもすでに上陸済みだろう。
既に安倍政権下で森友、加計問題にみられる如く公文書の隠蔽、改ざんという形で、消極的なフェークニュースの事象が発生している。
今回の参院選で注目すべき点は、「令和現象」であり「N国党現象」であろうか。
日本の場合、特徴的な点は極めて「同調圧力」の強い点だ。
典型的に表れるのが働き方によくみられる。
上司が帰らなければ部下も帰らない(自分の仕事が終わっていてもだ)、仕事の出来不出来は関係なく遅くまで働いていた人間が評価される、政治や宗教の話はなるべく職場でしない等々だ。
そのような同調圧力の強い中で、「空気を読まない」をスローガンにインパクトの強い自己主張を始めたのがこの二つの政党だ。
今後この二つの政党の帰趨はどうなるか、まだこれからの話ではある。
しかし「N国党」のほうに胡散臭さを感じてしまう。単なる「扇動政治」に堕す危険性が高い。
これからの社会は、インターネットを利用して正しい情報も偽りの情報も当たり前に流れる社会になったという認識がいる。
その上で自分自身の確固たる考え方を身に着ける必要がある。そのためにはスマホだけが情報源というのはまずアウトだ。
日本人がもっと訓練しなければならないのは、ディベード(ある話題について、肯定側と否定側の二組に分かれて討論すること)の能力であろうか。
戦前、「大本営発表」などというフェイクニュースに踊らされたのは、「空気を読む」という同調圧力に皆が従ったために起きた。
このような「空気」をつぶす方法はただ一つ「事実を事実として言うこと」だ。