食糧自給率が低下して過去最低だった、という報道が流れているがあまり気にする必要はない。
これはカロリーベースの自給率を表したもので、次のような算式で出している。(平成30年度)
1人1日当たり国産供給熱量(912㎉)/1人1日当たり供給熱量(2443㎉)=37%
ここで注意すべきは分母の供給カロリーは、我々が実際に摂取しているカロリーではないということだ。
廃棄されている約700カロリーが加算されている。
また牛や豚の飼料はほぼ輸入されているので、国産の牛や豚でも分子から除外される。
要するに自給率をなるべく低く見せようとしてこのような算式で計算している。
農業問題を論じる時に、生産者(それにつながる利益団体)の立場に立つのか、それとも消費者の立場に立つのかで結論が変わってくる。
このように自給率を低く見せようとしているのは、日本の農業は弱いからなるべく国内保護政策を強化しなければならないということを言いたいのだ。
結局生産者を弱者の立場において、農水省(予算獲得利権)と農協などの関連団体が甘い汁を吸っている構図だろう。
生産額ベースの総合食料自給率はそんなに心配する必要はない。(平成30年度)
食糧の国内生産額(約10,6兆円)/食料の国内消費仕向額(16,2兆円)=66%
この数字はこの10数年ほとんど変わっていない。
この数字の意味するところは、
日本の農業は独自の国内市場ニーズに合った野菜や果物、畜産品を開発、生産して、安い輸入品が入ってきても健闘しているということだろう。
しかし私が主張したいのは、農業を生産性の観点ばかりで論じるのはもう止めようということだ。
農業はいろいろな産業の中で一番、自然と向き合うことによって成り立つ産業だ。
今その自然が壊されようとしている。
循環のサイクルが成り立つような農業の在り方にもっと目を配るべきではなかろうか。