宗教勢力と政治勢力とは一定の距離を保つべきだと思う。
しかしお互いが利用し合うことを考えて融合すると極めて危うい状況が作り出されるということは歴史の事実だ。
宗教を信じるのは「心の救済」を求めるからであろう。
それは当然平和で平穏な生活とともにある。
ところがロシア正教会のキリル総主教は、プーチンのウクライナ侵攻を支持し、「神よ、政権の下で一致団結することを助けたまえ」と言った説教をしている。何ともおそれいった話だ。
もともとソ連の時代に宗教(ロシア正教会)は弾圧されていた。
プーチンに信仰心があればウクライナ侵略のような殺戮を行うことはあり得ないが、ロシア正教会を政治にうまく利用しようと考えたのだろう。
今のキリル総主教はプーチンと同郷でKGB党員だったという。
だからうがった見方をすればプーチンからロシア正教会に送り込まれた、あるいは抜擢されたともいえる。
翻って日本の状況を眺めると、憲法20条で定めている「政教分離原則」が形骸化しつつある。
一つは「神道政治連盟」
「神道精神を国政の基礎に」というスローガンを掲げて何やら戦前の国家神道的なモノを目指しているようだ。
安倍政権時よりは少し大人しくなっているようだが、このまま大人しくなるとも思えない。
もう一つは「創価学会」
創価学会「政治部長」と称される佐藤浩副会長が暴走中だという。
(雑誌選択の5月号)
自民党関係者は、「公党同士で話すならともかく、創価学会幹部が後援会名簿の提出や支持企業の紹介を要求するのは健全ではない」
しかし自民党にも弱みがあって、昨年の衆院選で当選した261人中150人前後は創価学会票抜きでは当選がおぼつかなかったらしい。
創価学会の教学に「王仏冥合」(おうぶつみょうごう)という考え方があるが、これはどうかと思う。
創価学会は宗教本来の使命に邁進すべきで、単なる選挙マシーンになることを決して信者は望んでいまい。
宗教というのは理性よりも感情に訴えることで信者をまとめていく。
それだけに政治と宗教が一体化すると、とんでもない方向に走り出すこともあり得る。
憲法20条はどちらかというと「信教の自由」を保障することに力点を置いているが、宗教団体が特権を得て権力を行使することも禁じている。この点を重々考えておくべきだ。