
まだ暗いうちに目が覚めた。
ゲルには窓がない。開いているのはストーブの煙突が出る屋根の真ん中だけ。
そこから見える空もやはり真っ暗。時計を使わない草原のゲル生活、正確な時間はわからないが、夜明けまでまだ遠いようだ。
急に意識がはっきりしてくると、とっくにストーブの消えてしまったゲルの中は、シンと冷たい空気に包まれ、毛布に包まれた体の芯がブルッと震えた。トイレに立つ。
といっても、ここはモンゴルの平原。
トイレはゲルの外、キャンプの一番外れにある。
外はかなり冷え込んでいるようだ。
毛布を剥いで、代わりにフリースを着込む。
さらに上からダウンのコート。ベッドの上においたダウンコートを着込む。
ギーッ。
冷たいストーブを越え、木のドアを開ける。
堅く閉ざされた扉を開けてみる。
次の瞬間、外の冷たく透き通った空気が顔をなで、身が引きしまる。
外の空気は、思ったより一段と寒い。
九月下旬、昼間は温かい秋の日差しだが、日が沈むとぐーんと気温は下がり、摂氏マイナスになる。おそらくマイナス2、3度だろう。
西に傾いた月明かりがやわらかく草原を照らしている。
扉を大きく開いて、気を引き締め、一歩ゲルの外に踏み出す。
左手遠く、東の空、山の向こうがポッとうっすらと紅く照りだしたところだった。東雲色のあかい帯。
日の出まではまだ掛かりそうだが、これを逃すと、明日起きられる保障はないのだ・・カメラを持って出直し、日の出を待つことにした。
デジカメ内臓の時間をみると、6時25分。
東の空がまだ明るみ始めて間もない。
西の空には傾きかけた月が明るく照らしているが、空は暗く、漆黒の草原がつづいていた。
遠くに牛の鳴く声が聞こえてきた。
自分でストーブに火を熾し、熱いコーヒーを片手に待つことにしよう。
.................................................
自然保護区ホスタイ国立公園 キャンピングゲルにて
ゲルには窓がない。開いているのはストーブの煙突が出る屋根の真ん中だけ。
そこから見える空もやはり真っ暗。時計を使わない草原のゲル生活、正確な時間はわからないが、夜明けまでまだ遠いようだ。
急に意識がはっきりしてくると、とっくにストーブの消えてしまったゲルの中は、シンと冷たい空気に包まれ、毛布に包まれた体の芯がブルッと震えた。トイレに立つ。
といっても、ここはモンゴルの平原。
トイレはゲルの外、キャンプの一番外れにある。
外はかなり冷え込んでいるようだ。
毛布を剥いで、代わりにフリースを着込む。
さらに上からダウンのコート。ベッドの上においたダウンコートを着込む。
ギーッ。
冷たいストーブを越え、木のドアを開ける。
堅く閉ざされた扉を開けてみる。
次の瞬間、外の冷たく透き通った空気が顔をなで、身が引きしまる。
外の空気は、思ったより一段と寒い。
九月下旬、昼間は温かい秋の日差しだが、日が沈むとぐーんと気温は下がり、摂氏マイナスになる。おそらくマイナス2、3度だろう。
西に傾いた月明かりがやわらかく草原を照らしている。
扉を大きく開いて、気を引き締め、一歩ゲルの外に踏み出す。
左手遠く、東の空、山の向こうがポッとうっすらと紅く照りだしたところだった。東雲色のあかい帯。
日の出まではまだ掛かりそうだが、これを逃すと、明日起きられる保障はないのだ・・カメラを持って出直し、日の出を待つことにした。
デジカメ内臓の時間をみると、6時25分。
東の空がまだ明るみ始めて間もない。
西の空には傾きかけた月が明るく照らしているが、空は暗く、漆黒の草原がつづいていた。
遠くに牛の鳴く声が聞こえてきた。
自分でストーブに火を熾し、熱いコーヒーを片手に待つことにしよう。
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自然保護区ホスタイ国立公園 キャンピングゲルにて