蛍のひとりごと

徒然に、心に浮かんでくる地唄のお話を、気ままに綴ってみるのも楽しそう、、、

音曲と講談(1)

2021年12月02日 | その他のよもやま
こんにちは、今週から毎週木曜日に御目にかかります、私そうですね、
爪・撥漂泊人(つめばちさまよいびと)とでも申しておきましょうか。

日本の話芸に講談がありますが、私の好きなものでして一寸ここで一席。

国乱れて英雄現はれ、智者現はれて泰平に治まる、古へより智仁勇三徳と申しまするが、、、
と張り扇を叩いて始まるものです。
どんな凄い物語かと思ったら、何とこれは琴、三味線が登場する恋愛講談の冒頭の一節なんです。
題名は「朝顔日記」。

宮城八十次郎という武士が舟をしたてて宇治の蛍狩りに出かけたところ、屋形船より琴の調べがコロリンシャン。
奏でるのは深雪という娘で、なんと十八段浪返しという腕前。
どんなものかは想像するしかありませんが、琴は須磨琴という一弦琴でありました。
八十次郎の手に屋形船から女の被りものが落ちてくる、それを潮に八十次郎がその船に招かれます。
こういうところは上手くできていますナ。

ここで芸達者な宮城は三味線を弾くわけです。
〆露のひぬ間の朝顔を 照らす日影のつれなさに あはれ一村雨の~
朝顔のために一雨欲しいということでしょうか。
曲は催馬楽というものでした。

こちらも素人離れの音で、感服した深雪嬢は扇にその文句を書いて欲しいと所望します。
深雪の扇には朝顔が描かれてありました。
朝顔日記の発端となります。

イケ面宮城八十次郎に深雪はゾッコン一目惚れ、家出までして追いかけることになりますが、続きはまた来週。

(文:篠原昌人)
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