蛍のひとりごと

徒然に、心に浮かんでくる地唄のお話を、気ままに綴ってみるのも楽しそう、、、

『ハ』の高い三絃

2006年07月05日 | 楽器のおはなし
先だって嬉しい御縁がございまして、紫檀棹の古いお稽古三味線が一丁、私共のところに参りました。


三絃棹の材料には、花梨か紫檀か紅木を使いますが、お舞台用にはもっぱら紅木棹を使用いたします。
紫檀棹は、あくまでもお稽古三味線という割りには硬くて加工が大変なので、最近はあまり作られないとか伺っております。そのせいでしょうか、殆ど見かけなくなってしまいました。

子供の時分のお稽古初めに、最初に誂えて頂いたお稽古三味線が紫檀棹でございましたが、そしてそれは今でも上永谷のお教室で大切に使っておりますけれども、それ以来、紫檀棹とは絶えて御縁がございません。かくして、私にとりましては、二丁目の紫檀三味線ということになります。



さて・・・
その嬉しい紫檀三味線なのでございますが、残念ながら、ちょっと『ハ』が高くて弾きにくいつくりでございました。1ミリとは違わない寸法といえども、『ハ』が高いのは、パンパンしたような音がしてどうにも気に添いません。



『ハ』の高いお三絃を弾きこなすには、三つの手立てがございます。

   1、ほんの少し高いという程度でしたら、幾分、撥を浅く持って弾けば、まずまずよろしいでしょう。

   2、低い駒をあつらえるという方法もございます。

   3、それでも難しい場合は、お三味線屋さんにお願いして、『ハ』を低く直して頂くことになります。




いろいろ考えましたけれども、今回の場合は思い切って、棹直しに出すことにいたしました。
碑文谷の『琴光堂さん』にお願いしましたら、お陰様でとても良い調子に出来上がって参りまして、お稽古場で一日中、気持ちよく響いてくれました。

すっかり調子付いた私・・・
近頃、お知り合いになりました豪徳寺の『亀屋さん』がちょうどお見えになられたものですから、他の御用のおついでに、もとからあった何とも弾きにくい並紅木をそおっと差し出してみましたら、さすがですね。それこそあっという間に丁寧なお仕事を仕上げて届けて下さいました。
いつの間にかすっかり出番をなくしていた可哀相なお三絃をよくしてくださって、ほんとに有難いこと・・・ましてお仕事のお速さには全く脱帽でございます。




ところで・・・
平素より何かと大変お世話になっております『鶴屋さん』に数年前、拵えていただいた『のべ棹』のお三味線は、万事に亘ってお加減がよろしくて、それにはやはり九州の駒がピッタリ合います。それに九州撥をあてましたら、これ以上はないほど弾きやすく、お師匠様のお陰でお道具の運に恵まれる私はなんて幸せ者と感謝しております。


そういうふうに慣れ親しんだお道具であっても、
「リハーサルも済ませて、これで万全と調整してあっても、何かの加減で音に張りが無いと思ったら、たとえお舞台で幕が開いてからでも、弾きながらサッと撥を深く持ち替え、逆にパンパンするようなときにはツルリと浅く持ちかえる位の臨機応変さがなければいけません。」と、目白のお師匠様に教えられます。
師匠よし、楽器よし・・・あとは私の精進あるのみ・・・最後は必ず、ここに行き着く結論でございますネ






今日のようなお休みの日に限って、お陽様が覗いておりますけれども、ここのところのお稽古日は雨降りばかり。
お足元のお悪い中、お休みもなさらずお稽古にお通い下さる皆様、ありがとうございます。調整をすませて、すっかりお加減のよくなったお稽古三味線の弾き心地を、せめてご堪能いただければ幸いでございます。


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2 コメント

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津軽三味線に興味あり! (ふじたん)
2011-02-12 16:12:26
http://ameblo.jp/fujitan-0705/参考になります。ありがとうございました。
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ふじたん様 ()
2011-03-25 11:40:21
コメントありがとうございます
ふじたん様の素晴らしいブログを拝見して、感激しております。私のほうこそ、たくさん読ませていただきます。
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