「明晰夢」では、1)夢で経験する知覚(記憶情報から構成される感覚情報)と、2)起きているときの正常な注意力、自己認識、内省、意図、動機、記憶(一言で言えば、前頭前野の動き)が合体する。
つまり、2)起きているときの正常な注意力、自己認識、内省、意図、動機、記憶を伴ったまま、夢を見ることである。
別の言い方をすれば、夢を見ているのに、夢の情景なのに、起きているときと同じ意識が作動している。
明晰夢では、幻覚があるまま、自己意識も働く。
故に、夢を完全に制御できる仮想現実が現れる。つまり、夢の中で、自意識が起きあがり、そこで展開される場面に参加する。
ある意味、架空の内容の映画(仮想現実)に自分自らが参加するような感じである。
明晰夢では、ノルアドレナリンとセロトニンがわずかながら増え、前頭前野の動きが活発になっている。
それに対して、トップダウンの「空想」は、身体的な感覚に根を下ろしているが、外界の知覚や夢に比べると、内容がしっかりしていないのは、ボトムアップ情報が少ないからである。