東響と音楽監督ジョナサン・ノットによるコンサート形式オペラ・シリーズ、モーツアルトのダ・ポンテ三部作の次はリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」だ。今回はとにかくサロメ役のアスミク・グレゴリアンの名唱に尽きた。その美しく妖艶な存在感とシャープな歌唱は、ジョナサン・ノットの描く音楽にピタリとハマった。その意味で、まさに理想的なサロメだったのではないか。それに対するトマス・トマソンのヨカナーンの朗々たる歌唱も実に説得力があり、この二人の存在とノットの指揮が当日の出来を決定的にしたといって良いだろう。ヘロディアス役のターニャ・アリアネス・バウムガルトナーとヘロデ役のミカエル・ヴァイニウスもベテランらしい確実な歌唱だった。そんな適材適所の外国勢に混じって、代役の岸浪愛学も立派にナラポートを歌い、そして演じた。このシリーズではもうおなじみになったサー・トマス・アレンの舞台アレンジも的確で、とりわけ井戸の中のヨカナーンの歌唱をサントリー・ホールのオルガン脇で歌わせたことは音響的に実に効果的だった。ノットの獅子奮迅の振りに120%呼応しつつ、青白い炎のように熱してゆくコンマス水谷晃率いる東響の演奏は、全く「見事」という以外に形容し難いものだった。当日のプログラムには早々と次回は「エレクトラ」との予告が。これも実に楽しみである。
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