藤原歌劇団が2019年から開催しているBOF(ベルカント・オペラ・フェスティバル)に付随したカルメン・サントーロ女史のマスタークラス2022の生徒(若手歌手達)によるドニゼッティのオペラ試演会が稲城iプラザ・ホールで開催された。なんと太っ腹にも無料である。14人の歌手達が登場して佳作「パリのジャンニ」を簡易な舞台に乗せた。皆衣装はつけているものの装置は極めて簡素。出演者の歌や演技にはまだまだこなれない所はあるものの、全員の熱演によって楽しい舞台になった。歌手達の中では主役のジャンニを前半と後半で交代に歌ったテノールの原優一と荏原孝弥はそれぞれ個性豊かな歌を聞かせ、ジャンニの側近オリビエロ役の依光ひなのは深い歌声と演技力で存在感を発揮し、後半でプリンチペッサを歌った米田七海は安定した美しい歌唱を聴かせたのが特筆される。こんな珍しい作品を舞台化してくれたことだけでも感謝であるが、一幕は何ともロッシーニ然としているのに、二幕になるとロマンティックな表現が増してドニゼッティらしくなる「時代の間」がとても興味深かった。
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