山梨県大月市が制定した秀麗富嶽12景巡りを今年のお盆休みもしました。
12景の中には、駅から駅へ歩く事の出来る交通の便の良い山も有るのですが、交通の便が悪くて行き来に苦労する山も有ります。
そう言った山は長期連休でないと、疲れが仕事に響いて・・・と言う事で。
今回は1番山頂の2座、雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)と姥子山(うばこやま)を行くコース。
大月駅からは、タクシーで大峠に。
初めてのタクシーを利用しての山と言うのも、この山域の便が悪い事を物語っています。
大峠までは40分弱で7,000円程。
登山地図に記載されている料金よりほんの少し安かったなぁ。
途中鹿の群れに出会い、運転手さんが車を止め、3人で見ていました。
大峠は1500m以上の標高。
神奈川だと丹沢山の山頂位。
其処に車で来られるのだから、凄いなぁ・・・と。
相模原では朝と言えども少し蒸し蒸ししていたのに、大月の駅を降りたら少しひんやり。
そして大峠は・・・「寒い」。
長袖を出しての朝食になりました。
でも、夏でも爽やかな空気。
何とも心地よい時間でした。
油断すると風邪をひきそうだけれど、こんな環境だったら、真夏でもぐっすり眠る事が出来るだろうなぁ。
大月の駅周辺ではどんよりした曇りでした。
予報は、「昼頃に晴れ間が」と言う物でしたが、大峠に向けて標高を上げていくと雲の間に青空が広がっていきました。
そして、大峠では何とか富士山も見える状態に。
道路からガードレールを越えた場所に有る大峠の看板。
此処から富士山が見えます。
大峠の看板近くの花。
ノリウツギ(糊空木)かな?
準備を整えて、出発!
右の階段が登山道の入口です。
林道は、写真の奥のゲートで一般車立ち入り禁止となっています。
この林道は、冬季は車の立ち入り禁止となります。
左手の石板には「麗水 御硯水」と刻まれている水場。
空いたペットボトル1本に此処の水を入れて持ち帰り、翌日コーヒーを入れて飲みました。
湧き水でお茶やコーヒーを飲むと「スッキリした味わい」で、普段飲んでいる物の味には水道のカルキ等の味が加わっている事、本来はこう言う味なんだと言う事が分かりますね。
唯、大峠から登ると、大峠から直ぐの場所に有るこの水場では、ペットボトルや水筒は未だ満タンで、水を汲む事が出来ないんだよなぁ。
かと言って、此処の水を頼みに、ペットボトルや水筒を空の状態にして行ったのに、水が出ていない季節だとしたら、その日1日困る事になるし・・・。
この山で特徴的だったのは、所々の谷筋で見られる巨岩群とその岩を覆う苔、苔の中に伸びている風になびく細い葉の草。
巨岩と苔の緑、なびく草の葉の光景がひと際綺麗で、その場所だけ違う世界の様でした。
マルバダケブキが満開。
山の多くの場所で見られました。
沢を渡る木橋。
古く見え、「大丈夫かな?」と心配になりましたが、問題は有りませんでした。
で、此処で見られたのが橋の左右で咲き乱れる花々。
タマガワホトトギス。
黄色い花のホトトギスは、ユキさんも私も初めて見ました。
キノコも結構生えていました。
ホウキタケの仲間かな?
大きな岩に横、縦に線が入っていて石垣に見えます。
積み上げた石垣の様に見え、「まさか、こんな山の中に巨大な石垣?」とまじまじと見て確認してしまいました。
岩を観察している私を置いて、ユキさんは先に進みました。
ユキさんが大きな声を挙げたので、
「何事かと?この石書きみたいな岩の向こうに何か有るのか?」
岩の向こうで森の木々が切れ、その向こうに広がっていたのは・・・
広い広い草原。
調べた際には、この草原の存在を知る事が出来なかったので、驚きました。
「湯ノ沢峠や大蔵高丸の様な草原の花畑は、他では見られないのだろう」
と話していただけに、2人して大喜び。
辺りはマルバダケブキの花が満開でした。
コウリンカを発見。
去年の大蔵高丸以来の出会い。
「他には、どのような花と再会できるかな?」
「新たな発見は有るかな?」
ノコギリソウ。
葉の縁が細かい歯の様になっています。
これが名の由来。
アザミ
アザミは種類が多くて、判別が難しいんだよなぁ。
草原の向こう側が尾根で、其処が雁ヶ腹摺山の山頂でした。
草原からだとピークには見えないので、
「此処が山頂なの?」
と言う感じ。
残念ながら雲で富士山は見えず。
旧500円札の裏側の富士山が見える眺望の撮影地になった場所なので、こう言った看板が有りました。
晴れれば、この光景が見えるのか・・・。
見比べたかったなぁ。
大月市が制定した『秀麗富嶽12景』の1つの山です。
でも、去年2回言った大蔵高丸、ハマイバと、滝子山同様、此処でも富士山は見えず・・・。
富士山を諦めて山頂を後にし、草原の中の道を行きます。
此処もマルバダケブキの花が満開。
シモツケソウかな?
オダマキを発見。
白いのは初めて。
傷んだ花には見えないけれど、開花してから時間が経ち、色が抜けたのかなぁ?
白いオダマキって有ったっけ?
図鑑で調べてみると、山オダマキ(山苧環)の花の色は、「紫褐色または淡黄色」と書かれていた。
同じ山オダマキでもそれだけ色の差が有るんだね。
これは「淡い黄色」の方と言う事か。
淡い黄色の山オダマキは初めてだなぁ。
これも初めての出会い! 感謝感謝!!
霧の中、鹿の母子に出会いました。
登山道の先を左手から見に手にゆっくりと草を食べながら横断しています。
ゆっくり移動をしながらの食事でした。
母鹿は、顔を上げて我々を見た後、「この距離なら、この出で立ちの人間は大丈夫」と言う感じで食事を続けていました。
然し、子鹿にとっては、母鹿が「大丈夫」と思っている距離でも怖い様子。
ユキさんが足を止めずに進んだ為、道を横断する機会を失って母鹿と離れてしまい、困惑していました。
後方は急斜面の為、現在の場所で道を横切るしかないのです。
このままだと「母鹿と反対側に逃げる事になる」と思い、ユキさんに声を掛けてを止め、後方に下がるように言いました。
ユキさんが下がり、子鹿と距離を開けると、子鹿は道を小走りで横切り、母鹿の方へ行きました。
母鹿に近寄ってからは、我々の様子を観察。
「もう大丈夫」と思って食事をし始めましたが、私が口笛を吹くと再び顔を上げ、「何だろう?」と私を見ていました。
口笛で一曲と、口笛を吹きながらゆっくり歩いていた間中、子鹿は私の事を見ていました。
「人間って、こんな鳴き声も出すんだ!」
と、不思議に思ったのかな?
また会いたいね。
今度は口笛で鳥の鳴き真似でも披露しようか。
それとも腹太鼓でも披露しようか?
鹿の心境が感じ取れる時間で、とても楽しい出遭いでした。
霧の中の下り道。
隣の山も道がこの先どうなるのかも分かりません。
満開のマルバダケブキの群落。
黄色いキノコ。
霧の中、岩と苔とその上でなびく細い葉の草。
とても幻想的でした。
もっとゆっくりしたいところですが、そう言った時間が取れない行程なのが残念。
白樺平。
平らではないけれど、木がまばらな緩斜面で、開けた場所です。
晴天だとどんな眺めなのかな?
青空と白樺の幹の白、差し込む陽の光、白樺の葉の緑。
休憩には気持ち良さそうな場所です。
林道へ降りる手前、階段のわきには花々が。
ソバナかなぁ?
綺麗だなぁ。
林道の反対側、やや左手に姥子山へ向かう道の入口が有ります。
此処ではホタルブクロの花も。
姥子山迄の道は、つるつる滑る土の道の部分が多かったです。
最後の方は岩を登り狭い山頂に出ます。
狭い山頂は、数人が休憩を取っていたら満員と言う状況。
此処も春麗富嶽12景の1つで、雁ヶ腹摺山とセットで、1番山頂となっています。
団体さんとかち合うと、山頂と登山道の狭さは厳しいですね。
山頂からの眺望は・・・。
雲と霧で、隣の山がぼんやりと言う程度。
晴れていれば、富士山は、この方角なのかな?
ヨツバヒヨドリかな?
ホトトギスの花。
食べかけのキノコ。
結構大きく齧られていますね。
虫では無くて動物かな?
森の中の道。
この日1日、森の中はスーッとした香りが漂っていました。
少し前のテレビで、
「この時期の森の何とかいう木は、殺菌成分の有る物質を放出し、其れが森の中を漂って森の中はスーッとした香りに包まれる」
と言う事を言っていたが、これがその香りなのかな?
下山中、クヌギやコナラなどの樹林帯になったら、この香りはしなくなった。
写真の松や檜、杉ではなく、何の木なのだろう。
この木々は彼方此方に生えていたが、この木の樹林帯でこの爽やかな香りが漂っていた。
フィトンチットと言うやつか?
心地よいなぁ。
深呼吸して体いっぱいに吸い込んで体内から綺麗にしたい気分だ。
でも、その分、普段吸っている汚れた物をこの森に放出しなければならない。
木々が枯れたりして・・・。
カエルさん。
小指の長さ程の小さい子。
隠れているつもりで、ジッとしていました。
金山峠に到着。
植林の中の緩やかな尾根の鞍部でした。
眺望は無し、ベンチも無し(朽ちた物が1つ)。
此処で昼食にしましたが、他の場所の方が良かったなぁ。
林道に到着。
草が茂っています。
林業、治山用の車もあまり入ってこない様子。
センニンソウ。
香りが強く、住宅地近くの雑木林にも生えているつる性植物なので、目にする機会は多いと思います。
ちょっと香りが強すぎて…と言う方もおられるかと思いますが、良い香りの花です。
百間千場。
看板には「百間千場(現地)」と有る。
「現在の地点」と言う事かな?
林道の設置や治山工事等で、元々の場所と変わったのだろうか?
ただの林道のカーブの部分と言うだけで、広く開けた場所ではない。
タマゴタケを発見。
未だ出たての若いキノコですね。
こちらは卵を割ったばかりの生まれる途中のタマゴタケ。
棘棘した白いキノコ。
シロオニタケかな。
川と崩れそうな木橋。
この浅利川を渡れば登山道は終わり。
対岸の林道の左手に金山鉱泉の山口館が有ります。
林道を下る途中、クワガタに出会いました。
コクワガタかな?
会社帰りに毎年クワガタやカブト虫に出会いましたが、ここ数年そう言った出会いは無し。
久々だなぁ。
金山橋跡。
右手の施設の横に金山橋跡は有ります。
写真のフェンスの向こうで、昔はつり橋が有ったそうです。
現在もほとんど壊れた残骸が見られます。
此処を渡ると金山金山の方へ行く事が出来たと言う記述や、観光向けに公開していたと言う事をネットで見ましたが、相当昔の様子。
金山跡はともかく、壊れた橋や古い橋が補修され、多くの道がしっかりと残っている方が、山歩きをする上ではエスケープルートに使えるなど、助かるのだけれど…。
遅能戸バス停に到着。
次のバス迄30分以上あったので、何時もなら
「歩ける所迄、周囲の光景を見ながら歩こう」
と言った具合になるのですが、ユキさんが疲れていて
「此処で待とう」
となりました。
ミニペン太達の出番がなかったので、大月の駅前に有る看板で記念撮影。
信玄餅で有名な桔梗屋さんに寄り、土産を購入して帰路に就きました。
夕飯は八王子駅ビル内のおそば屋さん。
美味しかったですね。
期待していなかったので、ちょっと驚きました。
春麗富嶽12景は、駅近くで行きやすい山も有れば、非常に交通の便の悪い山も有ります。
「そう言った山は大型連休の際に」
と言う事で、去年のお盆休みや今年のお盆休みに足を運んだのですが、何れも曇りで富士山は見えず。
なかなか手強いですね。
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