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ほのぼの数学がんばろう~

小学校算数,中学数学,高校数学あたりをゆるゆる~っと楽しみます(´ー`*)

2012年京大入試理系数学第3問その1

2012-06-13 21:11:05 | 大学入試問題
どもども。


今回は今年の京大入試理系数学の第3問をやります
問題はこちら
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/kyoto/zenki/sugaku_ri/mon3.html

第2問と同様に,誘導とかは無いので自分でアプローチ方法を探らなければなりません。
一番シンプルな発想は, x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y=k とおいて,
kをパラメータだと思って色々動かします。2次曲線 x^2+xy+y^2=6 と交点を持つような
kの範囲を求めるという方法ですね
しかしまぁ,それは恐ろしく複雑骨折級に骨が折れる作業なのですよ。
骨だけでなく心も折れます
とても試験場でやれる作業ではありません。
ていうか時間があってもやる気が起きません

さて, x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y も x^2+xy+y^2 も
わかりやすーくx,yの対称式になっていますね~
ということは基本対称式 x+y,xy の多項式で表現できます
そこで,X=x+y,Y=xy とおいて新変数X,Yを主役にして考えてみることにしましょう。
もしかしたら考えやすくなるかも,という期待を込めて

X=x+y,Y=xy という変換はよく使いますが,その際に必ずセットで付いてくるのは
(X,Y)の存在範囲を確かめることですね。
x,yが全実数を動いたとしてもX,Yは全実数を動くわけでは無いんですね~。



1変数Xの3次関数の考察になってしまったので,随分スッキリしましたね
あとはいつものように微分して増減表なりグラフなりを描いて値域を求めておしまいで御座います。



文字の置き換えによって劇的に簡単に解けてしまいましたね~。
では,元の変数のままでやったらどうなるんでしょうか。
最初に挙げたように素朴に x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y=k とおくパターンです。
位置を比較するもう一方の曲線 x^2+xy+y^2=6 は斜めに傾いた楕円です。
3次曲線 x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y=k の概形を考えるだけでもしんどいのに
そのあと傾いた楕円と接する条件を考えるのは,もうペンをぶん投げたくなりますね

参考までに,グラフを描いた図を挙げておきます

・k<-8-6√2のとき

赤いのが x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y=k
青いのが楕円 x^2+xy+y^2=6 です。
赤い方は何やら3つのパートからなるみたいですね,やはり考察はめんどくさそうです!

・k=-8-6√2のとき

赤と青が接するkの最小値です。赤はだんだん中心に向かって迫ってくるようです。

・-8-6√2<k<0のとき



上はk=-8,下はk=-0.4のときです。
このときは赤と青は複数の交点を持っていますね。

・k=0のとき

赤が退化して直線3本になっちゃいました~
そういえば x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y=(x-1)(y-1)(x-y)
と因数分解できるんですよ

・0<k<3のとき



上がk=0.2,下がk=0.4の場合です。
上の方,なんだか真ん中に何かあります
k=0の時の真ん中部分が分離して小さな島のように残っちゃうんですね。
この島はkが大きくなるにつれ小さくなってやがて消滅します。
外側の3つの部分も向きが変わりました。
kが大きくなるにつれてどんどん遠くに向かっていくようです。

・k=3のとき

これが赤と青が接するkの最大値です。

・k>3のとき

赤と青は交点を持たず赤はどんどん中心から遠ざかっていきます。

素朴な手法でこの問題を解くには今挙げたこの変化の様子を
せっせと調べなければいけないわけです。イヤですね~~

せめて楕円の長軸と短軸がx軸とy軸と一致していれば少しは
考察しやすくなるかもなんですが~

というわけで次回は少しメンドクサイ解法でこの問題にトライしてみます。

2012年京大入試理系数学第2問

2012-06-12 00:13:00 | 大学入試問題
どもども。

今回は今年の京大入試理系数学の第2問をやります
問題はこちら
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/kyoto/zenki/sugaku_ri/mon2.html

正四面体の切断面が正三角形ならその面は底面に平行だということを確かめる問題です。
誘導などは用意されていないので自分でアプローチの仕方を探ることになります。

さてさて,△ABCも△PQRも正三角形でAP,BQ,CQが1点Oで交わるのだから,
この2つの三角形は相似の位置にあるじゃないかだから対応辺同士が平行なのは当然だ

と思ったそこのアナタその推論は本当に当たり前ですか?

後半ではそんな話にも触れてみます


とりあえず,正四面体OABCは1辺の長さを1として,
またOP=p,OQ=q,OR=rとおいておきましょう。

まずはこういう問題を解くのに便利なベクトル様を用いた解法を挙げてみます。幾何的考察はほぼせずに計算だけで終わってしまうのが魅力です




後半の(イ)は (r-q)(p-q-r)=0 と同様に得られる (p-r)(q-r-p)=0 に代入してもOKです
この手の式は対称性から,1個求めておけばあとはサイクリックに文字を置き換えるだけで
他の式が得られます。

ベクトルの代わりに余弦定理を用いても同様の解答に仕上がります



(ア)(イ)の場合分けを考察するのに幾何的アプローチを用いるのもアリです。
(ア)のときは既にQR//BCが得られています。こうなるともはや△OPQと△OPRが
正三角形になることを述べるのは容易いはず。
(イ)のときはp>q>rを仮定して構いません。そのときにPQ=QR=RPとはなり得ないことをいえばOK。



最初から幾何的考察でアタックするのもいいですね~
p>q>rと仮定して矛盾を導きましょう。
PQ=kとします。線分OQ上の点SでPS=kとなる点は多くても2個しかありません。
そのうちの1個はQです。もう一方をS'とすると,PR=k,q>rなので
OR=OS'でないといけません。そうすると上の解答の(イ)みたいな話になってきますよ



次は幾何的アプローチ第2弾で,正四面体の展開図を利用した解法です
こうなるともはや立体ではなく平面上の図形に関する問題になってしまうので
立体問題が苦手な人には向いてるかもですね~



さて,後半は冒頭に挙げた相似の位置絡みの話をしてみます。
そもそも相似の位置とはなんであったか。

2つの図形XとYがあり,Xの点とYの点の間に1対1の対応が与えられているとする。
対応する2点を結ぶ直線がすべて1点Oで交わり,Oから対応点までの距離の比が常に一定であるとき,
XとYは相似の位置にあるといい,
Oを相似の中心といいます

…ということでした
相似の位置に並べることができる,という条件で相似を定義することも多いです。

△ABCと△A'B'C'が相似の位置にあるという状況も以下の図の例のように様々あります。


今回の問題は立体版ではありますが一番最初の例のパターンにあたります。
というわけでこのパターンに着目してみます。
半直線OA,OBが作る角領域の中に△ABCと△A'B'C'がある場合です。

(1)直線AA',BB',CC'が1点Oで交わる
(2)OA:OA'=OB:OB'=OC:OC'

が与えられていれば問題なく△ABCと△A'B'C'は相似の位置にあります

しかし,今回の問題のように

(1)直線AA',BB',CC'が1点Oで交わる
(2)△ABC∽△A'B'C'


が与えられている場合は,果たして△ABCと△A'B'C'は相似の位置にあると言い切れるのでしょうか



△ABCと△A'B'C'はCA=CB,C'A'=C'B'の二等辺三角形とします。
それが上図のような配置になっているとき,見事にACとA'C'及びBCとB'C'は平行になっていません。反例です。
しかしまぁ,向きが逆になってるので点の対応関係も逆になってるとすれば,
つまりA'とB'を逆にすれば対応辺の平行関係は成り立ってますね。



それとは別に,向きも同じとして,
対応する辺同士が平行にならない場合があると仮定して考察してみましょう。



直線BAとB'A'の交点をP(∠BAA'+∠B'A'A>180°と仮定して一般性は失われません。
<180°なら図を上下ひっくり返せばいいので),BCとB'C'の交点をQ,
CAとC'A'の交点をRとおきます。
実はデザルグの定理より3点P,Q,Rは同一直線上にあるのですが,まぁそれはまた別のお話

では,△ABCと△A'B'C'の相似比を1:kとし,メネラウスの定理を使って考察してみます



かくて,

(a)4点O,A,B,Cは同一円周上にある。
(b)4点O,A',B',C'は同一円周上にある。


という必要条件が得られました。
逆にこの条件が満たされているとき,円周角の定理より
∠COB=∠CAB=∠C'A'B',∠AOC=∠ABC=∠A'B'C'
が従うので,2角相等で△ABC∽△A'B'C'となります。

従って△ABCと△A'B'C'は相似の位置にあるとは限らず,
(a)(b)の条件が満たされている状況になっていることがある,
ということが分かりました
もちろん,そのような状況はいくらでも存在します。

ちなみに上の考察において,メネラウスの定理をもっと駆使すると
△PAA'∽△QCC',△RAA'∽△QBB'もいうことができます。
下図で同じ色の印がついた角は等しくなってます



例えば△ABCと△A'B'C'が正三角形である場合を想定しましょう。
∠AOB=60°+60°=120°でない場合は
(a)(b)の条件が満たされないので,このような位置関係になるのは
△ABCと△A'B'C'が相似の位置に限るということが分かりますね
もしかしたら,(面倒なので考察してないですが),
立体版でも似たような話が成り立って,今回の問題なんかも実は瞬時に片付けられるのかもしれないですね。

  

2012年京大入試理系数学第1問その2

2012-06-10 15:34:35 | 大学入試問題
どもども。

前回は今年の京大入試理系数学の第1問(1)をやりました
今回は(2)をやります~
前回のはこちら
http://blog.goo.ne.jp/mathnegi/e/693410a66aeb0973afde362cae1ae322
問題はこちら
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/kyoto/zenki/sugaku_ri/mon1.html

(1)では (1+a^n)^(1/n) という形の式が登場しましたが n=2 とした形の式を
含んだ関数の定積分を求める問題です。
一見すると(1)と関連があるのかな?という第一印象は持つものの,
積分範囲が1から√3なので,実は関連は薄いのかしら?
定積分を求めるだけ,の出題ですからきっと面倒な計算が待ち構えているのでしょう~
という不安を胸に,問題に挑むことになりますが,
部分積分と置換積分を駆使すれば何とか解くことができます
ただ,部分積分と置換積分,どちらを先に行うかによって若干難易度は変わってしまうかもしれません
とりあえず 1+x^2 がある時点で多くの人は tanθ の匂いを嗅ぎ取るでしょう。
おまけに積分範囲が1から√3なので,もうこれは tanθ フラグが立ったも同然です

まずは,すぐにでも x=tanθ と置換したい誘惑を振り切って
先に部分積分をしてみた解答を挙げてみます。



部分積分したことによってお馴染みの 1/(x^2+1) の積分が出てきました。
後は心置きなく置換積分して答えを出してフィニッシュです



続いては先に置換積分を行うパターンです



おやおや,分母に (sinθ)^2 などという面倒臭そうなものが出てきましたよ!
log(cosθ)は微分するとlogが消えて三角関数になるので
なんとか微分して 1/(sinθ)^2 になる関数を見つけて部分積分に持ち込みたいです
もしかして 1/(sinθ)^2 の不定積分を求めるためにまた置換やら何やらを
駆使しなきゃならんというのでしょうか!?
でも,ちょっと待たれよ。 1/(cosθ)^2 の不定積分なら知っています。
(tanθ)'=1/(cosθ)^2 でしたね。
そもそもsinθとcosθはπ/2だけ位相がズレてる違いしかないんですから
なんだか意外と簡単に求められそうですよ!?
{1/tanθ}'={tan(π/2-θ)}'=-1/{cos(π/2-θ)}^2=-1/(sinθ)^2
を利用すれば簡単に求められるんですね~
1/(cosθ)^2 はよく出てくるから見慣れてても 1/(sinθ)^2 は見慣れてないので
意外と戸惑うかもしれません



こうしてみると,先に部分積分をやってしまった方がやはり簡単だったかもですね。

答えの値にπとかが含まれてるんで,どのような解法で挑んでも大体どこかしらで
tanθが出てくるんじゃないかと思います。
例えばx^2の2乗が鬱陶しいので x^2=t とおいて1次式にしてしまおう,という
発想で計算してみましょう。
結果的に√tとか出てきて結局面倒なことになってる気がしますが



最後の部分分数分解は特にする必要はありませんが,
しない状態で t=(tanθ)^2 とおいたら先に挙げた2つの解法と同じ計算になるだけなので
敢えてやってみました



今度は (tanθ)^2 の不定積分が必要になりました。
これも (tanθ)'=1/(cosθ)^2 を利用するとサクッと求められます。



まぁ,そんなわけで定積分の計算も1回解いて終わりにしないで
別の手順で求めてみよう~みたいなことやってみると意外と面白かったり
新たな発見があったり,要領のいい計算のコツが見い出せたり,
いい計算練習になったりしますんで,是非是非やってみてくださいまし

2012年京大入試理系数学第1問その1

2012-06-09 13:24:49 | 大学入試問題
どもども。

今回からは今年の京大の入試問題(理系数学)を取り扱っていきます

誘導のない問題が幾つかあります。それゆえ手をつけにくいかもしれません。
幅広い発想力が試されそうです。
特に第6問はなかなか面白い問題だと思いました

今回は第1問(1)をやっていきます。
問題はこちら
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/kyoto/zenki/sugaku_ri/mon1.html

数IIIの微積分の問題です
分数ベキとか含んでるので扱いが面倒そうです。
eの定義式に関係してくるパターンかと思ったらそうでもないようです。
aが1より大きいか小さいか,あるいは1か,で場合分けが必要です。
0<a<1 のときは 0<a^n<1
1<a のときは a^n>1
が成り立つので,この不等式を使って (1+a^n)^(1/n) の評価式が簡単に得られます。
あとはハサミウチでやっつけてしまいましょう



指数の 1/n が鬱陶しい,なんとかならないか!
という人は対数をとって考えるのもいいかもしれません。
b_n=log(1+a^n)^(1/n)={log(1+a^n)}/n
とおいてb_nの極限を考察してみましょう。それを経由して答えを求めます。



この解法に関しては1つ注意を挙げておきます。
指数の極限を求めて最後はeの肩にそれを乗せて答えを求めていますが
これは関数 f(x)=e^x が連続関数だから正しいのだということを
気に留めておくと良いと思います。
無条件では lim f(a_n) と f(lim a_n) は等しくありません



後半のa>1の場合ですが,x>0で連続な関数 f(x)={log(1+a^x)}/x の
x→∞の極限に置き換えれば∞/∞型の不定形になっているのでロピタルの定理なんかも使えます。
試験場ではロピタルの定理を使うのは躊躇われますが,ここは試験場ではないので
気にせず使っちゃいます。



ちなみに実数上で定義された関数f(x)に対して数列{f(n)}が考えられますが,
lim_{n→∞} f(n)=β であったとしても,lim_{x→∞} f(x)=β であるとは限りません。


さて,最後にもう1つ解法を挙げて終わりたいと思います。
…といっても,これは既に上の解法で答えの値を知っているから作れる解法ではあるんですが

数列{x_n}が極限αを持つことを証明する手段の1つに
lim_{n→∞}(x_n-α)=0 を証明するというものがあります。
コイツをやってみようと思います。
極限の値が1とaであるということが何らかの直感でピンときた場合
以下で挙げる手法が使えます。

それを説明するためにまず次の因数分解をみてみましょう。
x^n-1=(x-1){x^(n-1)+x^(n-2)+…+x+1}
これは等比数列の和の公式を式変形すれば直ちに得られますね。
n=2 のときの x^2-1=(x-1)(x+1) の式はあまりにもお馴染み過ぎるわけですが
ルートがらみの式の極限を求める時にしばしば分母か分子を有理化するとうまくいく,
ということがありますね
そのときによく使うのが x^2-1=(x-1)(x+1) の式だったわけです。
今回の問題は 1/n という分数ベキが出てきますが,
よくよく考えるとこれはn乗根なんですよね。
n乗根がらみの式を有理化して考えるという発想を使ってみましょう



この式を利用してみます。



有理化したときになんか上手くいきそーな値を探そう~
という観点から模索すれば直感的に1とaという値を見つけ出せるかもしれないですね。

ではでは次回は(2)をやっていきます

2012年東大入試理系数学第6問

2012-05-30 15:52:31 | 大学入試問題
どもども。

しばらく今年の東大入試理系数学を解いてきましたが,いよいよラストです。
今回は第6問をやります

問題はこちら
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/tokyo/zenki/sugaku_ri/mon6.html

第5問に続いて行列がらみの出題です。
見た瞬間に「うわッ」と気が滅入るような
何がなんだかよく分からない,とにかく計算の面倒臭そうなf(x)が目に入ります。
腕力勝負といった感じでしょうか。
しかしまぁ,計算がしんどいという点を除けば,
決して難しい問題ではないですコレ。
いかに要領よく解くかが試される感じかな?
でもどんな工夫してもそれなりに計算量はあるような気はしますが~

まずは(1)です。f(x)の最大値を求めよ!
ということでf(x)を分かりやすい形に直してやるところから始めましょう。

最初に U(t)AU(-t)-B を計算します。
なんなんだ!このオマケのBは!余計な項をつけるなんて!
…なーんて,思うわけですが,実は計算結果をスッキリさせてくれる手助けを
してくれる項でした
厄介なので U(t)AU(-t) だけ計算してBは放置しておこう!という方針を取ると損します

U(t)AU(-t)-B は変数xを含んでいないのでいわば定数のようなもの。
これをとりあえずWなどとおいて,その成分もp,q,r,sなどとでもおいておきます。

次は U(x)(1 0)U(-x) を計算します。
      (0 -1)
これはさっきの U(t)AU(-t) に近い形をしてるのですぐ計算できます。
tをxに置き換えて,a=1,b=-1としてやればいいんですね。

ここまでくると大分f(x)もシンプルな形になりました。
あとは最大値を求めるだけです。
どうやら三角関数の合成が使えそうです。




上の解法では合成の際に未知の角θが出てきましたが,
実際にそれを求めてもよいです。そんな解法がこちら。



次はちょっと特殊なことをやってみます
関数f(x)は行列のトレース(対角成分の和)を用いて定義されているので
折角なので行列のトレースの性質を使って考えてみます。

2つの(2×2)-行列M_1,M_2が与えられたとき,Tr(M_1M_2)=Tr(M_2M_1)が成り立ちます。



また,Tr(M_1+M_2)=Tr(M_1)+Tr(M_2)も成り立つこともすぐ確かめられるでしょう。

ついでにU(x)という行列は角度xの回転行列であることにも注目です。
つまり U(x)U(y)=U(x+y) が成り立ちます。
そんなあたりの話を駆使して計算してみた場合の解法です



後半の項は今の最後の計算でaとbを逆にして角度をt-xからxに置き換えれば
計算結果が得られます。



次は(2)をみてみましょう。
(1)でも骨の折れる計算をしたのにまた厄介そうな計算が待っていました。
骨だけでなく心も折れそうです

まずは挫けずに 2Tr{U(t)CU(-t)D} と Tr{U(t)AU(-t)+B}-m(t) を計算します。
それによって証明すべき不等式をもう少し明瞭化してみます。
(cost)^2=|cost|^2 に注意です。両辺が|cost|で割れます。



さて後半です。指数のcとか1-cというのがなんだか煩わしいです。
すごい複雑な評価とかしなきゃいけないのかしら?と思いきや
b^c≦a^c と b^(1-c)≦a^(1-c) を使ってaの累乗を評価しちゃうだけで
キレイにうまくいっちゃうのでした。



それとは別に,相加平均と相乗平均の関係を用いてもうまくいきます。



|cost|=XとおいてXの2次関数または1次関数を考えてもOKです。
両辺を|cost|で割る前の不等式を2次関数を使って証明したのがコレ。



最後に,証明すべき不等式を
m(t)≧Tr{U(t)AU(-t)-B}-2Tr{U(t)CU(-t)D-B}
と変形してみた場合の解答を挙げてみます。
(1)で U(t)AU(-t)-B は既に計算してあります。
しかもよく見ると Tr{U(t)AU(-t)-B}=0 なんですね
結局,m(t)≧-2Tr{U(t)CU(-t)D-B}
を証明することに帰着します。