ほのぼの数学がんばろう~

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2012年東北大入試(後期)理系数学第1問その1

2012-07-31 13:22:22 | 大学入試問題
どもども。


前回までで今年の東北大の理系数学をやり終えたわけですが,
次はそのまんま後期の理系数学に突入したいと思います

後期の問題だからといって前期と比べて一段と難しくなってるわけではなく
比較的標準的な難度の問題もありますので,臆することなく取り組んでいきましょう

今回は第1問で,2変数の指数関数に関する値域の問題です

問題はこちら



(1)と(2)は独立しているので,同じような単問が2つあるような感じです。
今回は(1)をやっていきます


2^x=X,3^y=Yと変数変換して円と直線の問題にする考え方

さて,パッと問題を見てまず何をしたくなるか。
そのインスピレーションは大事ですね
ここではズバリ,2^x=X,3^y=Yと変数変換をしてしまいたくなることが期待されます~

そのような変数変換をすると,やり慣れた円と直線に関する領域の問題になってしまうので,だいぶ恐さは軽減されるはず
2^x>0,3^y>0より,X>0,Y>0であることに注意です
しかし,そのことにさえ気を付ければもはや指数関数のことは忘れていいです。
元が指数関数だってことが影響を及ぼすのはX>0,Y>0の部分だけなんですねー



(X,Y)の存在領域Dはトンネルの入り口みたいな形をしているようですね
これと直線X+Y=kが共有点を持つようなkの範囲を求めればいいわけです~

この直線のy切片がkなので,円(X-2)^2+(Y-1)^2=4と上の方で接するときのkが上限であることは分かりやすいです

下限は下の方で円と接するときのkか,あるいは直線X+Y=kが円とx軸の交点(2-√3,0)を通るときのkか,
どちらか大きいほうになります
恐らくは,後者の方が大きいんだろうという予感はプンプンしますので,そういう気持ちで両方求めてみましょう



k_1,k_2の求め方は他にもいくつかあるでしょう
Y=-X+kを円の方程式に代入して(判別式)=0 とするのもありますし
接線の傾きが-1になるようなkを求めるという手もあります。
接点を初等幾何的に簡単に求められるので,その点を通る傾き-1の直線を求めるというのもありますね。

k_3は(2-√3,0)を通る傾き-1の直線を求めるのが手っ取り早いかと~



k_1<k_3であることが分かったので,k_3<k≦k_2のときにちょうど直線X+Y=kはy切片がk_3<k≦k_2の範囲にあるので
領域Dと共有点を持つことが分かります。コレが求める答えになります
なお,(2-√3,0)は領域Dに含まれていないのでk=k_3は答えに含んではいけません~




多分これが一番標準的な解法でしょう。
次は,毎度の如くそれ以外のアプローチを試してみたいと思います


2^x=X,3^y=Yと変数変換して一方の変数の値を固定して考える


上の解法と領域Dを求めるところまでは一緒です。
直線X+Y=kと円の位置関係を考えるのではなくて,領域D上の点(X,Y)に対して
2変数関数 k(X,Y)=X+Y の取り得る値の範囲を考えます
直線Y=sと領域Dが交点を持つのは0<s≦3の場合です。
2変数だと厄介なので一旦YをY=s(0<s≦3)に固定して,直線Y=sと領域Dの共通部分である線分上のX限定でk(X,s)=X+sの取り得る値の範囲を求めたいと思います



まずはs≠1すなわち,0<s<1,1<s≦3の場合を考えましょう。
kの取り得る値の範囲を求めるのは容易です
そして,sが動いた場合にこのkの範囲は変動するので,それをすべてのsの分を合併することで
固定したsに捉われないkの取り得る値の範囲が求められます





2-√3<f(s)≦5がkの下限の動き得る範囲になります~
上限についても同様に考えます。
そしてkの取り得る値の範囲を求めてみましょう



あとはs=1の場合のkの範囲を付け足せば答えになります




無理関数(実は楕円)が出てきたため,最初の解法よりも面倒でしたね
この程度の手間といえども,試験場では大幅に時間が取られてしまいます。


3^yを消去する考え方


2^x+3^y=kとおくと,3^y=k-2^xとなるので,これを
条件式に代入することで,xとkに関する条件式が得られます。
この条件式を(xを固定して)kに関する2次不等式だと思って解いて,あとは上の解法と同様xを動かしてkの範囲を求める
というパターンでやってみます



指数関数が邪魔なので 2^x=t とでもおいておきましょう。t>0に注意です~
しかし,注意すべきはそれだけじゃありません
①式より,k>tという制約があります。
2次不等式の解の下限 1+t-√(4t-t^2) とtの大小関係によってkの範囲が

t<1+t-√(4t-t^2) のときは 1+t-√(4t-t^2) ≦k≦1+t+√(4t-t^2)

t≧1+t-√(4t-t^2) のときは t<k≦1+t+√(4t-t^2)


になってしまうことを見落としてはいけません。
加えて,ルートの中身の4t-t^2が「≧0」となる条件も必要です。
それではまずt<1+t-√(4t-t^2) の場合を考察しましょう







これで下限の範囲が得られました。続いては上限です




あとは③④を合併して



次に,t≧1+t-√(4t-t^2) のときを考えます
やることはさっきと同じです~



あとは⑤と⑥を合併すれば答えになります






次回もこの(1)を考えてみます~
変数変換しないで純粋にx,yの関数として与えられた条件不等式の表す領域を求めて考えることを試してみたいと思います。
円と直線の話に帰着されずに,よくわかんない形の領域が出てくるので複雑になります


2012年東北大入試理系数学第6問

2012-07-24 20:01:58 | 大学入試問題
どもども。

今回は今年の東北大入試理系数学の第6問をやっていきますよ~

問題はこちら


漸化式が与えられた数列{a_n}が極限を持つことを示してその極限値を求める問題です~

設問は4つあって多いように見えますが,(2)なんかはほとんどサービス問題で,
また(1)(3)は同時にやってしまうことも可能です。
決して入り組んだ問題ではありません,むしろパターン問題に近いです

1.もし極限値が存在するなら,それはαでなければならない。そんなαを求める。

2.|a_n-α|≦r|a_{n-1}-α| を満たすr(0<r<1)を探す

3.0≦|a_n-α|≦r^(n-1)|a_1-α| においてハサミウチの原理


というステップを踏むことで,lim_{n→∞}a_n=α をいうことができます


とりあえず,(1)よりも先に(2)をやってしまって確実に部分点をおさえるというのがいいんじゃないでしょうか



おやおや,なんだかめんどくさそうな値なんですね,αって


では具体的に(1)(3)を考えてみたいと思います~


f(x)=(3x+4)/(2x+3)の単調増加性から(1)(3)を同時に示すパターン

漸化式に出てくるルートの中身をa_nを変数xに書き換えて,f(x)とおいてみました
ルートがついた状態の関数を考察してもいいですが,中身だけで考えたほうが楽デスネ

y=f(x)の増減を調べて(1)(3)の証明に利用しようと思います~
(1),(3)ともに数学的帰納法を用いて証明するというのが無難な作戦でしょう
それならば,手間を省かせるためにこの2つを同時に証明したいと思います。
もちろん別々にしてもOKです



反比例のグラフを平行移動しただけなので,わざわざ微分などする必要はないです
このグラフから,x>0においてf(x)が単調増加な関数であることが分かります~

さて,(1)(3)を数学的帰納法で示すということはつまり,どういうことでしょう

n=1のとき a_1<α
n≧2のとき 1<a_n<α


を示すってことですね





a_{n+1}=√(1+g(a_n))の形にして(1)を示すパターン

(1)はa_n>1を示す問題です。ということは
a_{n+1}=√(1+g(a_n))の形に直したとき,g(a_n)>0になってることを確認することで証明する方法が考えられますね





α^2と(a_n)^2の大小を比較して(3)を示すパターン

(1)によってa_n>0であることは分かりましたので,a_n<αを証明するためには
(a_n)^2<α^2を示せば十分であることがわかります






数列{a_n}が単調増加列であることを利用して(1)(3)を示すパターン

今回の問題の数列{a_n}は実は単調増加列になっています。そのことが何か利用できそうです
y=√f(x)のグラフと直線y=xのx>0における交点は(α,α)になっています。

1≦x<αのとき,x<√f(x)となっていることに注意すると,
x=a_n(n≧1)のとき a_n<√f(a_n)=a_{n+1} となっています
従って,1=a_1<a_2<a_3<…<a_nが得られます~


また1≦x<αのときは, √f(x)<√f(α)=α が成り立つので
a_n<αも得られてしまいます




今回に限らず,漸化式 a_{n+1}=f(a_n) の形で与えられた数列の考察に
y=f(x)のグラフを用いるという発想はしばしば有効です


グラフを用いずに,計算で単調増加性を示すパターンも考えてみます



それを利用して(3)をやってみます~






ハサミウチで(4)をやっつける

最後に(4)をやっつけましょう
冒頭で述べたように,やることはパターン化されているので,rを見つけさえすればあとは楽勝です

rの見つけ方は幾つかやり方があるでしょうね

(3)までで使った計算結果なんかを利用するといいですよ
f(α)-f(a_{n})型の式は大体式を整理するとα-a_nが出てくるので(因数定理みたいなもん),約分に役立ちます



rの取り方も上の解答のように1/50にこだわる必要もなく,1/25とか1/5なんかでも構いません

別の取りかたを考えてみます





もういっちょ







上に有界な単調増加列が極限を持つことを利用するパターン

これはちょっと参考までにって感じですが~~

上にあった図とか見ても分かるように,数列{a_n}は単調に増加しながらαに近づいていくという動き方をします。

一般に数列{a_n}が上に有界であるとは,nに依存しない定数M>0が何か存在して,
任意のnに対してa_n<Mが成り立っていることを言います

今回の場合はM=αにすることが可能ですね。M=100とかM=10000とかでもいいですね
とりあえず取りうる値に天井があるって言うことです~

さて,上に有界な数列{a_n}がもしも単調増加列だったとしたら…
{a_n}は振動することもなくひたすら値が大きくなり続けるわけで,それでいて取り得る値に天井があるということは
すなわち数列{a_n}は極限を持つという結論に至ります

このことは実数論における公理みたいなもんで,幾つか同値な命題があります
大学数学で最初に学ぶような話になってます
長くなってきたので深入りはしないことにして,今回の問題の数列がまさに上に有界な単調増加列なので,
rなんて定数を用いずともズバッと極限の存在性は言えてしまう訳であります


2012年東北大入試理系数学第5問その2

2012-07-20 15:56:43 | 大学入試問題
どもども。


前回の続きで,今年の東北大入試理系数学大5問をやっていきます~

問題はこちら


前回:http://blog.goo.ne.jp/mathnegi/e/f1a1552b0f62a5288353193aa02a403e



前回は(1)をやったので今回は(2)です~
この図においてyが最大になるときのxを求める問題です
要は微分して増減を調べるのですが,
どの形で表現したyを採用するかによって楽に解けるかどうかが左右されてしまいます
そんなわけで(1)でどのような解法を採用したかが既に勝負の分かれ目になってしまうことも考えられます

といっても,一番オーソドックスな解法で出てくる形の式を採用すれば特に困難はありません
ただし,変数はxではなく前回使ったθ(=∠PBQ)を使うのがよいです
(1)ではyをxの式で表すよう指示したくせに,実はxの関数で計算すると結構大変なんです

前回挙げた解法たちをから色々なyの表示式を得ることが出来ます



今回はそれぞれの形からスタートして微分していくことにします~

先ほど述べたようにxを変数とするよりもθを変数としたほうが基本的には楽です

そんなわけで(A)より先に(B)からやってみたいと思います

(B)の形から考察するパターン


そんなわけで早速yを微分してみます~


分子は割とシンプルな形をしていますね~
これならy'=0を満たすθを探すのは容易そうです



ルートの中に3乗根が入ってるという,なかなか凄まじい値が出てきました
もっと分かりやすそうな値が出てきそうな問題なんですが,面白いですね

しかしながら,このような凄まじい値が答えであるために,方針選びで失敗すると
この答えを導くのに非常に苦難を強いられることになってしまうのです


ところで,今回のyは正の値を取るわけですので,yの増減ではなく
1/yの増減を調べて最小値を取るときのxを調べるという方針が存在します
今回の問題ではyよりも1/yの方が簡単になります~
そっちをちょっとやってみましょう~



逆数を取るみたいな,ちょっとした工夫で問題が簡単になるのはよくあることです~
こうした工夫を見つけられるようでありたいものです~

(A)の形から考察するパターン


(1)で求めた一番オーソドックスなyの形だと思います。
しかしながら分数かつ無理関数なので,微分の計算は大変です。
落ち着いてやらないと大抵こういうのはケアレスミスが出ます



分子をムリヤリX^3-Y^3の形に見立てて因数分解しています。
もしそういうやり方ではなく,{(1-x^2)√(1-x^2)}^2=(√3x^3)^2
を考えて無理方程式ではない形にするというやり方もあります
通常はそのやり方で問題ないのですが,今回は答えが凄い値なので
整理した高次方程式の解を自力で探して因数定理という作戦が
なかなかうまくいきません
普通はx=1とか2とか√2とか分かりやすい値を代入してうまくいくので
それが上手くいかないことで,「あれ!?計算ミスしたかなあ」と思って
ムダに見直しに時間を割いてしまったり… なーんてことにもなりかねないですね
経験上,この手の問題は角度を変数にする方が大体上手くいきます



(C)の形から考察するパターン


今度は(A)の形の分母を有理化したパターンです~
こんなの計算ミスすること必至ですね



y'=0の解を求める際,決して√を無くして10次方程式に帰着させようとしないことです。
解を求めるのが非常に困難になります
でもそれをしなかったとしても,この形から答えまで到達するのはかなり苦慮しそうです。
我々は既に別の解法で,どのような分子の値が出てきて欲しいか知っているので
どうにかこうにかそれに近付けていくことにします。ただ,何も知らない状態からではかなり詰んでます




(D)の形から考察するパターン


三角関数の合成と2倍角の公式を用いてyを見やすくした形です。
しかしながら,微分を計算するにあたっては,sinとcosの中身に統一性がないために,
逆に不便になってしまいます





(E)の形から考察するパターン


これも(D)と同様です~




(F)の形から考察するパターン


こちらも計算ミスには注意しましょう~




2012年東北大入試理系数学第5問その1

2012-07-19 13:07:28 | 大学入試問題
どもども。


今回は今年の東北大入試理系数学の第5問をやっていきます~
問題はこちら





まぁ早い話が上の図において,(1)yをxの式で表せ (2)yが最大のときのxは?
という問題です

図形的な問題なので様々な解法があるでしょう。
後半は微分です
今年の東大入試第1問に似た雰囲気があります
yをxの式で表すよう指示しておきながら,xの関数と思って微分するより
角度を変数として微分するほうが簡単といういやらしさがあります~

それではやっていきましょう~

△PBQで正弦定理を使うパターン

まずは一番手っ取り早そうな解法からいきます~
△PBQは2辺の長さがx,yになってるので,なんか正弦定理とか使うとうまくいきそうですね
円の中心をO,∠PBQ=θ(0<θ<π/2)とおいておきます。
ABは円の直径なので∠APBは直角です。△APBに着目するとx=cosθであることが分かります
0<θ<π/2 なので sinθ>0 ですから,sinθ=√(1-x^2)です。
これでxとθを結ぶ関係が得られましたね





答えの式がなかなか複雑です
どこまで計算して“答え”とするかは悩みどころですが,
(2)を見れば分かるようにyが最大のときのxを求めるのがこの問題の趣旨のようなので
(1)に関しては答えの形に関してはあまり気にしなくてもよさそうです
ただ,yをどのような形で表示するかによって(2)の計算の面倒さなどには影響は与えそうです。


△PBQで余弦定理を使うパターン

正弦定理を使う解法があるなら余弦定理を使う解法だってあるだろう~
ってことで今度は余弦定理を使ってみます
ただし,どの三角形のどの部分に余弦定理を使うかによって計算量は大きく変わります。
ここでは△PBQで2通りの式を使って解いてみたいと思います



先ほどとは違う形のyの表示が出てきましたが,
最初の解法で求めたyの式の分母を有理化をしたらこの形が出てきます。
しかしまぁ,最初にこの有理化を施した式を求めてしまった場合,
正解なのかどうか不安で堪らないでしょうね
しかもこれを微分して増減を調べなきゃいけないわけですから
(1)でうっかり計算を間違えてると取り返しのつかないことになりそうです


平行線と線分の比の関係を用いるパターン

次は三角比など用いずに中学数学程度の図形の知識で解いてみましょう~



図のように垂線QHを引くと,∠QPH=π/6であるおかげでQHやPHなどの長さが
すぐに分かります。更にQH//PBなのでAH:AP=QH:PBの関係式を用いて立式できます




∠Pを円周角とする弧を引くパターン



問題文中で円周のことをCと定義していたので上の図で頂点をCとおくのは
ホントはまずかったですね

Pがどの位置にあっても上図の点Cの位置はいつも一緒です。
まずはz,PCの値を求めて,y=PC-zを計算すればOKです





△OPBが二等辺三角形であることを利用するパターン

OB=OP=1/2(円の半径)ですので,△OPBはOB=OPの二等辺三角形です
Pが円周上にあるという条件を,この二等辺三角形の条件に置き換えて問題を解くことができます~
さて,∠Bがπ/4より大きいか小さいか等しいかで図がちょっと変わりますので注意しましょう。
特に等しい場合なんかはうっかり忘れやすいので注意です
自分はうっかり忘れてしまいました



(ウ)OB=QBのとき
△OBPは正三角形で,y=PQ=OP=1/2,x=1/2なので
上式はこのときも正しい

ていうのをしっかり添えてやってください


座標を用いるパターン

最後に円の中心を原点として座標を入れてXY平面上で考えてみます



まずはPの座標を求めます。直線BPと円の交点の1つが(1/2,0)であることを使うと
多少因数分解が楽になります
Pの座標を求めたら直線PQの式を求めます。傾きはtan∠PQBで与えられます~
∠PQBが直角になるθ=π/6の場合は後で別個に考えましょう



P,Qの座標が分かったのでPQの長さが計算できます



mとxの関係式を求めてyをxの式で表せばOKです~
m<0であることには注意です~



最後にθ=π/6の場合に触れて終了です~



しかしまぁ,結構な計算量でした


面積を利用するパターン

△PAB=△PQA+△PQBの関係式から
1/2・x・√(1-x^2)=1/2・√(1-x^2)・y・sin(π/6)+1/2・y・x・sin(π/3)
と立式することもできます
これはなかなか簡単でいいですね



次回は(2)をやっていきます

2012年東北大入試理系数学第4問

2012-07-15 15:55:21 | 大学入試問題
どもども。

本日は今年の東北大入試理系数学の第4問をやっていきます~
問題はこちら


絶対値のついた関数の積分
入試問題ではよくあるパターンですね~
よくあるパターンであるがゆえに,対策はバッチリだといいですが~

何はともあれ,絶対値をはずす作業から始めなきゃです

cos(x)=cos(-x)なので,cosのほうはそもそも何も問題ではありませんね
面倒なのはsinのほうです。



積分を計算してf(x)をもっと明瞭な形で表しましょう
あとは微分して増減表・グラフを描いて値域を調べればOKですよ~
まずは0≦x≦π/2の場合からです



対数を使った積分を利用すれば簡単ですね




これで必要なデータは揃いました。
次はπ/2≦x≦πの場合です~



これを基に増減表を描きます
あとは最大値と最小値を拾い出せばおしまいデスネ




さて,対数微分を利用して積分計算しましたが,置換積分を使う手もあります
f(sin(x))cosx または f(cos(x))sinx 型の関数はそれぞれ
t=sin(x)t=cos(x) の置換で大体うまくいくのですが,
今回もそれでいけます(角の設定が若干変則的ですが)



そんなこんなで求めたf(x)ですが,logの中に三角関数という形をしています。
f(x)をそのまま微分するのではなく,logの中身の関数を微分して考察する手もあります







計算自体はほんのちょっとだけ楽になったかな?て程度で大きくは変わらないですね
強いて言うなら,微分しなくても解析できる点は特徴的でしょうか



後半のほうは,微分なしだと意外と大変ですが,π/2≦x≦πの範囲では
sin(x),cos(x)は共に単調減少なのでG(x)は単調減少な関数の積になっていることが分かります





ところで,元々f(x)は定積分で与えられていましたね
次はこの積分の被積分関数に着目してみましょう



f(x)はy=g(t)のグラフとt軸と直線 t=-x と t=π/2-x で囲まれた領域の面積です






符号付き面積なので,どう考えても最小になるのは,-x=-πすなわちx=πのときですよね
最大になるのもなんとなく予想はつきます。
xがx+△xに変動したとき,f(x)の値はどれだけ変動するでしょうか



この図でいうと,S_1の分だけ増えて,S_2の分だけ減ります
xが0に近い値のときは増える量のほうが大きくて減る量が小さいので
f(x)の値は増加しますが,増える量と減る量が一致するときを境にf(x)は
増加から減少へと転じます
では一体それはいつか。
y=g(t)のグラフがy軸対称なのでとても分かりやすいです
S_1の部分の領域とS_2の部分の領域がちょうど線対称になっているx=π/4のときですね



ただし,最小値の方はともかく,最大値の方の議論は微妙にアバウトですので
答案としてではなくあくまで参考までに,といったところでしょうか

もう1つ余談的なものをば
この問題では最初に定積分を計算してあと,出てきた関数を微分して増減を調べています。
積分して微分するんだから,出てくる導関数は元の積分の被積分関数に似たようなものになってますね
偏微分を使ってf(x)の導関数を求める話を最後に紹介します

偏微分とは変数が複数ある関数を,ある特定の文字について微分する概念で
残りの変数は定数と思ってしまいます。
d/dxの代わりに∂/∂xを使います~



2変数関数F(x,y)にA(x),B(x)を代入した合成関数の微分,d/dx{F(A(x),B(x))}を考えます。



A,Bで偏微分した後の式には最後A,BをそれぞれA(x),B(x)に直してxの関数で表します

さて,今回の問題に適用してみます~



ここで,A(x)=B(x)=xとおきます



この下準備のもとで



が得られますh(x,x)についても同様です~





そんなこんなでf(x)の導関数が得られました
後半も同様です~
前半の計算も利用できます~



なんだかんだで面倒な導出過程ではありますが,
対数や対数微分,三角関数の微分,分数関数の微分なんかは出てこずに
元の被積分関数をちゃっちゃといじってるだけであるという点は注目しておきたいところであります