goo blog サービス終了のお知らせ 

ほのぼの数学がんばろう~

小学校算数,中学数学,高校数学あたりをゆるゆる~っと楽しみます(´ー`*)

2012年東北大入試理系数学第5問その1

2012-07-19 13:07:28 | 大学入試問題
どもども。


今回は今年の東北大入試理系数学の第5問をやっていきます~
問題はこちら





まぁ早い話が上の図において,(1)yをxの式で表せ (2)yが最大のときのxは?
という問題です

図形的な問題なので様々な解法があるでしょう。
後半は微分です
今年の東大入試第1問に似た雰囲気があります
yをxの式で表すよう指示しておきながら,xの関数と思って微分するより
角度を変数として微分するほうが簡単といういやらしさがあります~

それではやっていきましょう~

△PBQで正弦定理を使うパターン

まずは一番手っ取り早そうな解法からいきます~
△PBQは2辺の長さがx,yになってるので,なんか正弦定理とか使うとうまくいきそうですね
円の中心をO,∠PBQ=θ(0<θ<π/2)とおいておきます。
ABは円の直径なので∠APBは直角です。△APBに着目するとx=cosθであることが分かります
0<θ<π/2 なので sinθ>0 ですから,sinθ=√(1-x^2)です。
これでxとθを結ぶ関係が得られましたね





答えの式がなかなか複雑です
どこまで計算して“答え”とするかは悩みどころですが,
(2)を見れば分かるようにyが最大のときのxを求めるのがこの問題の趣旨のようなので
(1)に関しては答えの形に関してはあまり気にしなくてもよさそうです
ただ,yをどのような形で表示するかによって(2)の計算の面倒さなどには影響は与えそうです。


△PBQで余弦定理を使うパターン

正弦定理を使う解法があるなら余弦定理を使う解法だってあるだろう~
ってことで今度は余弦定理を使ってみます
ただし,どの三角形のどの部分に余弦定理を使うかによって計算量は大きく変わります。
ここでは△PBQで2通りの式を使って解いてみたいと思います



先ほどとは違う形のyの表示が出てきましたが,
最初の解法で求めたyの式の分母を有理化をしたらこの形が出てきます。
しかしまぁ,最初にこの有理化を施した式を求めてしまった場合,
正解なのかどうか不安で堪らないでしょうね
しかもこれを微分して増減を調べなきゃいけないわけですから
(1)でうっかり計算を間違えてると取り返しのつかないことになりそうです


平行線と線分の比の関係を用いるパターン

次は三角比など用いずに中学数学程度の図形の知識で解いてみましょう~



図のように垂線QHを引くと,∠QPH=π/6であるおかげでQHやPHなどの長さが
すぐに分かります。更にQH//PBなのでAH:AP=QH:PBの関係式を用いて立式できます




∠Pを円周角とする弧を引くパターン



問題文中で円周のことをCと定義していたので上の図で頂点をCとおくのは
ホントはまずかったですね

Pがどの位置にあっても上図の点Cの位置はいつも一緒です。
まずはz,PCの値を求めて,y=PC-zを計算すればOKです





△OPBが二等辺三角形であることを利用するパターン

OB=OP=1/2(円の半径)ですので,△OPBはOB=OPの二等辺三角形です
Pが円周上にあるという条件を,この二等辺三角形の条件に置き換えて問題を解くことができます~
さて,∠Bがπ/4より大きいか小さいか等しいかで図がちょっと変わりますので注意しましょう。
特に等しい場合なんかはうっかり忘れやすいので注意です
自分はうっかり忘れてしまいました



(ウ)OB=QBのとき
△OBPは正三角形で,y=PQ=OP=1/2,x=1/2なので
上式はこのときも正しい

ていうのをしっかり添えてやってください


座標を用いるパターン

最後に円の中心を原点として座標を入れてXY平面上で考えてみます



まずはPの座標を求めます。直線BPと円の交点の1つが(1/2,0)であることを使うと
多少因数分解が楽になります
Pの座標を求めたら直線PQの式を求めます。傾きはtan∠PQBで与えられます~
∠PQBが直角になるθ=π/6の場合は後で別個に考えましょう



P,Qの座標が分かったのでPQの長さが計算できます



mとxの関係式を求めてyをxの式で表せばOKです~
m<0であることには注意です~



最後にθ=π/6の場合に触れて終了です~



しかしまぁ,結構な計算量でした


面積を利用するパターン

△PAB=△PQA+△PQBの関係式から
1/2・x・√(1-x^2)=1/2・√(1-x^2)・y・sin(π/6)+1/2・y・x・sin(π/3)
と立式することもできます
これはなかなか簡単でいいですね



次回は(2)をやっていきます

2012年東北大入試理系数学第4問

2012-07-15 15:55:21 | 大学入試問題
どもども。

本日は今年の東北大入試理系数学の第4問をやっていきます~
問題はこちら


絶対値のついた関数の積分
入試問題ではよくあるパターンですね~
よくあるパターンであるがゆえに,対策はバッチリだといいですが~

何はともあれ,絶対値をはずす作業から始めなきゃです

cos(x)=cos(-x)なので,cosのほうはそもそも何も問題ではありませんね
面倒なのはsinのほうです。



積分を計算してf(x)をもっと明瞭な形で表しましょう
あとは微分して増減表・グラフを描いて値域を調べればOKですよ~
まずは0≦x≦π/2の場合からです



対数を使った積分を利用すれば簡単ですね




これで必要なデータは揃いました。
次はπ/2≦x≦πの場合です~



これを基に増減表を描きます
あとは最大値と最小値を拾い出せばおしまいデスネ




さて,対数微分を利用して積分計算しましたが,置換積分を使う手もあります
f(sin(x))cosx または f(cos(x))sinx 型の関数はそれぞれ
t=sin(x)t=cos(x) の置換で大体うまくいくのですが,
今回もそれでいけます(角の設定が若干変則的ですが)



そんなこんなで求めたf(x)ですが,logの中に三角関数という形をしています。
f(x)をそのまま微分するのではなく,logの中身の関数を微分して考察する手もあります







計算自体はほんのちょっとだけ楽になったかな?て程度で大きくは変わらないですね
強いて言うなら,微分しなくても解析できる点は特徴的でしょうか



後半のほうは,微分なしだと意外と大変ですが,π/2≦x≦πの範囲では
sin(x),cos(x)は共に単調減少なのでG(x)は単調減少な関数の積になっていることが分かります





ところで,元々f(x)は定積分で与えられていましたね
次はこの積分の被積分関数に着目してみましょう



f(x)はy=g(t)のグラフとt軸と直線 t=-x と t=π/2-x で囲まれた領域の面積です






符号付き面積なので,どう考えても最小になるのは,-x=-πすなわちx=πのときですよね
最大になるのもなんとなく予想はつきます。
xがx+△xに変動したとき,f(x)の値はどれだけ変動するでしょうか



この図でいうと,S_1の分だけ増えて,S_2の分だけ減ります
xが0に近い値のときは増える量のほうが大きくて減る量が小さいので
f(x)の値は増加しますが,増える量と減る量が一致するときを境にf(x)は
増加から減少へと転じます
では一体それはいつか。
y=g(t)のグラフがy軸対称なのでとても分かりやすいです
S_1の部分の領域とS_2の部分の領域がちょうど線対称になっているx=π/4のときですね



ただし,最小値の方はともかく,最大値の方の議論は微妙にアバウトですので
答案としてではなくあくまで参考までに,といったところでしょうか

もう1つ余談的なものをば
この問題では最初に定積分を計算してあと,出てきた関数を微分して増減を調べています。
積分して微分するんだから,出てくる導関数は元の積分の被積分関数に似たようなものになってますね
偏微分を使ってf(x)の導関数を求める話を最後に紹介します

偏微分とは変数が複数ある関数を,ある特定の文字について微分する概念で
残りの変数は定数と思ってしまいます。
d/dxの代わりに∂/∂xを使います~



2変数関数F(x,y)にA(x),B(x)を代入した合成関数の微分,d/dx{F(A(x),B(x))}を考えます。



A,Bで偏微分した後の式には最後A,BをそれぞれA(x),B(x)に直してxの関数で表します

さて,今回の問題に適用してみます~



ここで,A(x)=B(x)=xとおきます



この下準備のもとで



が得られますh(x,x)についても同様です~





そんなこんなでf(x)の導関数が得られました
後半も同様です~
前半の計算も利用できます~



なんだかんだで面倒な導出過程ではありますが,
対数や対数微分,三角関数の微分,分数関数の微分なんかは出てこずに
元の被積分関数をちゃっちゃといじってるだけであるという点は注目しておきたいところであります


2012年東北大入試理系数学第3問その2

2012-07-12 16:18:50 | 大学入試問題
どもども。


今回は前回の続きで,今年の東北大入試理系数学第3問をやっていきます

問題はこちら


前回:http://blog.goo.ne.jp/mathnegi/e/c13fe45fc9902b87c3a81f77616d743f

(2)からやっていきますよ~
1~3の数字が書かれた3枚のカードが袋A,Bにそれぞれ入っていて
この2つの袋から1枚ずつカードを取り出すわけですね
そんで,取り出したのが同じ数字のカードだったらそれを除いて,違う数字だったらまた袋に戻す,と。

n回目の操作で初めて同じ数字のカードを引く確率がp_nです。
n回目の操作で全てのカードを引き出し終える確率がq_nです。
これらを求めなさい,という問題です


まずはp_nについて考えていきましょう~

n回目で初めて同じ数字のカードを引く,ということは
n-1回目までの操作ではずーーっと異なる数字のカードを引いていた,ということになります

1回の操作で2つの袋から異なる数字のカードを引き出す確率は,
Aの袋から引いた数字に対してBが残り2つの数字のカードのどちらかを引く
事象を考えて2/3になります
あるいはA,Bから引いた数字a,bの組が(a,b)が全部で3×3=9通り,
そのうち(1,2),(1,3),(2,1),(2,3),(3,1),(3,2)の6通りがあるので2/3としてもOK

同様に1回の操作で(初めて)同じ数字のカードを引き当てる確率は1/3です。

確率2/3で違う数字のカードを引く操作をn-1回繰り返した後,n回目で確率1/3で同じ数字のカードを引くことを考えてp_nを求めます。



今度は順列を使ってp_nを求めてみます。

k回目の操作でA,Bから引いたカードの数字をa_k,b_kとおいて
(a_1,a_2,…,a_n,b_1,b_2,…,b_n)の組を考えます
その総数は3^k×3^k通りです。

そのうちa_k≠b_k (1≦k≦n-1)を満たすものは,(a_k,b_k)をセットで考えて
各kにつき6通りあり,また(a_n,b_n)は3通りなので,
全部で6^(n-1)×3通りあります




次は,確率漸化式を使ってみます
1回目の操作で同じ数字を引くか引かないかで状況を分けたとき,
もし同じ数字のカードを引いたなら,そこで終了
もし違う数字のカードを引いたなら,2回目の操作を基点としてn回目に初めて同じ数字のカードを引く確率はp_{n-1}です。
これによって漸化式が立てられます




次はq_nについて考えます
p_nと同じ解法順に解いてみます。まずは純粋に確率計算。

そもそもとして,1回目,2回目の操作を終えた時点では全てのカードを引き終えることはできません




n≧3の場合について考えましょう。
k回目の操作で初めて同じカードを引くと仮定しましょう。すると,k回目までの確率はp_kで与えられますね

その後,k+1回目からn-2回目までは残り2枚ずつ入った袋からそれぞれ別の数字のカードを引き続けます。
n-1回目で2度目の数字一致が起きて,そうすると自動的にn回目で最後の数字一致が起き,終了です

これによって「k回目の操作で初めて同じカードを引く」かつ「n回の操作で終了」の確率が求められます。



kが1からn-2の場合まで全て考えて確率を足し合わせれば答えが得られます





次は場合の数を求めるパターンです
さっきと同様に(a_1,a_2,…,a_n,b_1,b_2,…,b_n)の組を考えますが,
その総数は安易に3^k×3^k通りとしてはいけません

k回目の操作で初めて同じ数字のカードを引くとすると,k+1回目以降はn-1回目まで,
A,Bから出すカードは各2通りになります。

そこで,「k回目の操作で初めて同じ数字のカードを引く」かつ「n回の操作で終了」の確率を求める方針でいきます








最後は漸化式を使ってみましょう
発想はp_nのときと同じ。1回目の操作で同じ数字のカードを引くか引かないかで分別します。


2012年東北大入試理系数学第3問その1

2012-07-09 16:24:19 | 大学入試問題
どもども。

今回は今年の東北大入試理系数学の第3問をやっていきます~

問題はこちら


なんだか長くて読むのがかったるい確率の問題です

(1)は,1~4の数字が書かれたカードが入った袋AとBからカードを1枚ずつ取り出して
同じ数字のカードを引いた回数をXとしなさい,X=1,2,3,4となる確率は?
と聞いています。

自分の頭の中では袋A,BではなくてAさんBさんになっていたようです
だから記述の仕方が微妙に変ッ
この際なので,AさんBさんということで話を進めましょう~

ではまずは,ごくごく単純に,Aが引いたカードの数字を順にa_k (1≦k≦4),
Bが引いたカードの数字を順にb_k (1≦k≦4)とおくことにします



(a_1,a_2,a_3,a_4)の組は4!=24通りありますが,
そのうちの1つに固定して考えてみます
(b_1,b_2,b_3,b_4)の組を考えたときに,a_k=b_kとなっているkの個数がXですね

N=4くらいですと,何も考えず樹形図を描いて考えるのも悪くないです
X=1のときは,(b_1,b_2,b_3,b_4)=(a_1,a_3,a_4,a_2)のような,
1個のkだけa_k=b_kが成り立っているような組を見つけ出せばOKです
どのような(a_1,a_2,a_3,a_4)の組に対しても同じ樹形図が得られます。
なので最後に24倍すればいいですな



数え漏れを防ぐためには,始めに24通りすべての(b_1,b_2,b_3,b_4)の可能性を樹形図に描き出して,
その中からX=1となるものに印をつけていく,というのも有効です。
そこで描いた樹形図をX=2,3,4の場合を考えるときにも利用できますから便利です



この6通りなんかは数え漏れしやすそうです



よくよく考えればそりゃそうね~って感じですがX=3となることはありえません




それにしても,X=1,2,4で,確率を求める式の最初の1/24と最後の×24というのが気になりますね。
相殺されてなくなる運命の項ですが,
もしかして何か無駄なことをやっているんでしょうか
後でその点について考えてみましょう

樹形図を使わずに今の方針で解いてみたいと思います
基本的に樹形図を使って解くというのは,手間がかかってめんどくさい!
という気持ちがありますし,Nが大きかったらますます大変です。

どのkについてa_k=b_kが成り立つか
そのときのa_k(=b_k)の数字は何か
そのときの残りのカードの並び方の可能性は幾つあるか

の観点に基づいて計算します
(a_1,a_2,a_3,a_4,b_1,b_2,b_3,b_4)の組は全体で4!4!通り。
各X=kに対して条件を満たす(a_1,a_2,a_3,a_4,b_1,b_2,b_3,b_4)の組の個数を求めましょう






さて,次はさっきのなんとなく無駄っぽい24の相殺について考えてみます

最初の解答で,確率の計算式に出てきた×24,これは何を示すものだったでしょうか。
はじめに(a_1,a_2,a_3,a_4)の組を固定して考察したので,
24個全体分をカウントするために24倍したのでしたね

この考え方は(a_1,a_2,a_3,a_4)と(b_1,b_2,b_3,b_4),両方が変動するという見方をしています
見方を変えて,(b_1,b_2,b_3,b_4)だけが動くという考え方をしてみます

Aさんの持ってる1~4の数字が書かれたカード。
各カードにBさんの持ってるカードのどれか1枚をランダムに対応させる。
こういう状況を考えてみましょう

対応の決め方は色々考えられます。
Bの袋からランダムにカードを1枚ずつ引いて,取り出した順にAの1~4のカードに対応させる。
例えばそういうやり方もあるでしょう

今回の,2つの袋から1枚ずつカード引いてペアを作る,という操作もまた
ランダムにAの1~4のカードとBの1~4のカードを1枚ずつ対応させる操作になっています

従って,Aさんの持つkの数字の書かれたカードに対応するBのカードの数字をx_kとおくと,
x_k=kとなるようなkの個数がXになるわけです

(x_1,x_2,x_3,x_4)の組は全部で4!通りです。



(a_1,a_2,a_3,a_4)にあたる部分が変動しないので計算式が簡単になりました




ここで,X=0の場合について一言添えておきます
X=0とはすなわち,どのkに対してもx_k≠kとなっているということです。

Wikipedia等からの抜粋ですが,
整数 1, 2, 3, …, n を要素とする順列において,i 番目 (i ≦ n) が i でない順列を完全順列といい,
その総数をモンモール数 (Montmort number) という。
これはフランスの数学者モンモールにちなんで名づけられた。1708年モンモールによりn = 13 の場合の問題として提唱された。
一般のnの場合はオイラーによって解決された。

完全順列を求めるような問題をモンモールの問題などと呼んだりします

興味のある方は調べてみてはどうでしょう



あ,(1)はXの期待値も求めなきゃいけないんですね。
では最後にそれを求めてフィニッシュです




2012年東北大入試理系数学第2問その2

2012-06-30 17:49:39 | 大学入試問題
どもども。


昨日に引き続き今年の東北大入試理系数学大2問をやっていきます~
問題はこちら

前回:http://blog.goo.ne.jp/mathnegi/e/6b217d75454b3beb68540b11584adf5d

前回は(2)までやりましたんで,今回は(3)をやります~

(2)で求めた行列Bに対して,B^3=E(E:単位行列)となるようなmを求める問題です~

主な解答方針は大きく次の二分されるんじゃないでしょうか~
ひたすら行列計算する
回転行列の性質を利用する
前回も述べましたが,Bは実は回転行列になっているんですね~



それではまずは,最もシンプルな解法,
すなわちB^3を素直に求めるパターンをやってみましょう。



B^3は↑こんなのになります
この計算をするだけで結構大変です
しかもそのあとも更に大変です~~ッ



6次式の因数分解なんてウンザリですよね
①はとりあえず因数定理使って因数m-1を括りだすことは何とか出来るでしょう。
(m-1)^2を括りだすことで残りは4次式です。
その4次式は m^4+8m^3+18m^2+8m+1 です。
複2次式でもないので,この4次式の因数分解は難しそうですね~
注目するとすれば係数の対称性でしょうか
つまり係数の組が(1,8,18,8,1)となっていて,18を中心として左右対称です。
m^4+8m^3+18m^2+8m+1=m^2{(m^2+1/m^2)+8(m+1/m)+18}=m^2{(m+1/m)^2+8(m+1/m)+16}
おやおや,m+1/m=Xとおけばm^2(X+4)^2の形に変形できるではありませんか
そういうわけで因数分解が出来るちゅうわけですわ
あとは①の解を求めればいいです。

同じように②の解も求めて共通のものが答えです。
あるいは,①の解を②の左辺に代入して「=0」になるものが答え,としてもOKです。
ただし後者は計算がめんどくさくなるので②も解いちゃうのがいいでしょう

②のほうは因数m-1とm+1を括りだすとこまでは問題ないでしょう。
残った4次式は m^4-14m^2+1 です。複2次式ですのでm^2=Mとおいて
2次方程式M^2-14M+1=0を解いてしまいましょう
すると,M=7±4√3が出てきます~
ということは(M-7+4√3)(M-7-√3)と因数分解できますが,
m^2=M=7±4√3=(2±√3)^2
に注意すると
(M-7+4√3)(M-7-√3)=(m-2+√3)(m+2-√3)(m-2-√3)(m+2+√3)=(m^2-4m+1)(m^2+4m+1)
という因数分解が出来上がります

あとは共通解を列挙しておしまいですね♪
なんだかんだで面倒な計算と地味に頭を悩ます因数分解に苦しめられるので
あまりオススメできる解法ではないですね


同じB^3を求めるにしても,もう少し工夫して計算を楽に出来ないもんでしょうか
行列計算を手助けしてくれる強力なツールといえば
ケーリー・ハミルトンの定理


少しは扱いやすい??



最初の解法よりはだいぶ易しくなりました


もうちょい工夫してみましょ~
今の解法の後半なんですが,B=kEの形に変形できます。
B^3=k^3E=Eより,k^3=1を得ます






次はB^3=Eを(B-E)(B^2+B+E)=0と変形して解く解法を考えてみます
ただし大きな注意が必要です
(B-E)(B^2+B+E)=0であることから,B-E=0またはB^2+B+E=0とするのは誤りです
行列の積については「X=0またはY=0」という条件を満たしていないのにXY=0となることがあります例えば
(1 0)(0 0)=0ですね
(0 0)(0 1)
XY=0ならば「X=0またはY=0またはdet(X)=det(Y)=0」
が正しいです
ただ,同値ではないです
det(X)=det(Y)=0だからといってXY=0とは限りません
そんなことに注意して問題を解いてみます~



②はケーリー・ハミルトンを使うと割と簡単です~




det(B-E)=det(B^2+B+E)=0を両方満たすことは出来ないようですね。
これで答えはm=1,-2±√3が得られました

②の計算をケーリー・ハミルトンを使わないでやってみます。
複素数を交えた別のやり方でいってみましょ









結構めんどいですね。
④とかで出てくる2次方程式は直接解くと更に面倒ですよ
試しに④を解いてみます~







ここまでは,B^3を直接求める方針でやっていましたが,
次は回転行列の性質を使って解いてみましょう

m=tan(θ/2)とおいてみます。よくやるおき方ですね。
このとき,cosθ=(1-m^2)/(1+m^2),sinθ=2m/(1+m^2)と書けます。
もはやこの式自体を公式のように覚えてしまってる人も多いでしょう
今回は角度を微妙にズラして, θ=φ+π/2 とおきます。
すると行列Bは原点中心,回転角度φの1次変換を表す行列になってることが分かります

B^3は回転角3φの1次変換を表す行列になるので,それがEと等しいということは
3φ=2π×k(k:整数)の形をしているということになります




はじめからいつもと違うおき方をして
cosθ=2m/(1+m^2),sinθ=(m^2-1)/(1+m^2)
とおいちゃうと,もうちょっと簡単になります



なお,cosθ=2m/(1+m^2),sinθ=(m^2-1)/(1+m^2) とおいた後,
3倍角の公式でcos3θ,sin3θを計算してcos3θ=1,sin3θ=0を解く,
という方針を立ててしまうと,一番最初のめんどくさい計算と変わらなくなってしまいます



ただ,直接的にガチンコでB^3を計算するよりは楽に計算できますね



(3)に関してはどのような解法を選択するかによって受験生の運命を左右しかねない,
そんな印象を持つ問題でした