前回からの続き
メガンテの後

メガンテによって上空高くに打ち上げられたアバンは、死んではいなかった。
以前、魔王ハドラー討伐の旅に出る際、フローラからもらった
「カールのまもり」というアイテムが身代わりとなったからであった。
しかし、メガンテによるダメージは大きく、アバンはしばらく気を失ったまま
デルムリン島近くの洋上に浮いていた。
一方、魔王ハドラーもメガンテによるダメージは受けたものの、
命を落とすまでには至らなかった。
しかし、潜在能力を発揮したダイによって撃退されていた。

やがて気がついたアバンは、デルムリン島の浜辺でダイとポップが
旅立つ様子を目撃する。
このときアバンは、ダイの潜在能力が自分の力を大きく上回っていることを悟る。
今、アバンが名乗り出て、ダイとポップの冒険に同行することは簡単だった。
しかし、そうすることで二人の成長の足をひっぱることは目に見えている。
アバンは、自分自身を鍛え直し、自分にしかできない新能力を
身につけなければダイたちと共に戦う資格は無い、と結論を出した。
破邪の洞窟
アバンにしかできない新能力。
それは、自身の最も得意とする「破邪呪文」を極めることで
糸口が見えるはずである。
そう考えたアバンは、祖国カールに存在する「破邪の洞窟」に入る。

古文書によれば、この洞窟は人間の神が邪悪なる力に対抗する魔法の
すべてをおさめた場所とされている。
地下何階層まで存在するか?
どれほど強力な呪文が眠っているのか?
その全貌はいまだに不明である。
わかっているのは、各階につき一つの呪文の契約ができる
ということだけである。
アバンはこの洞窟に入り、強力な破邪呪文を求めたのだった。
しかし、地下50階以降はさしたる呪文もなくなり、
迷路の複雑さだけが増していった。
用意した食料や回復道具も尽きかけ、
恐ろしい魔物や罠の数々がアバンの行く手を阻んだ。
破邪の洞窟挑戦から3ヵ月ほどの月日が流れた頃、
アバンが探索した階層は、すでに地下150階にまで及んでいた。
そして、アバンはついに「破邪の秘法」と呼ばれる技術を発見するのである。

ちょうどその頃、アバンのいる地下150階よりも上層の
地下25階で大きな破邪の力が働いた。
これは、大魔王バーンとの決戦用にパプニカ王女・レオナが
大破邪呪文・ミナカトールを習得したことによるものだった。
アバンは、これにより最終決戦が近いことを知った。
再会
地上に戻ったアバンは、すぐさま現在の情勢を掴んだ。
どうやら、大魔王バーンの空飛ぶ居城・バーンパレスに、
勇者ダイを始めとする「アバンの使徒」が乗り込んだという。
レオナが習得したミナカトールは、バーンパレスの魔力を停止させ
侵入可能とするためのものだったようだ。
アバンもすぐさま、バーンパレスへと向かった。
バーンパレスでは、アバンの三番目の弟子・ポップの命が
まさに尽きようとしていた。
灼熱の檻に閉じ込められ、絶体絶命の状況であった。
駆けつけたアバンは破邪の秘法を使用して、ポップを救出する。

灼熱が晴れ、アバンの姿を目の当たりにするポップ。
その顔は驚愕そのものであった。
さらに、ポップのそばには意外な人物の姿があった。
魔王ハドラー。
かつて世界を恐怖に陥れ、アバンに自己犠牲呪文までをも使わせた
ハドラーが、アバンの弟子であるポップをかばうようにして
一緒にいたのである。
これにはアバンも驚いた。

どうやらハドラーはアバンの使徒たちとの闘いのなかで、
自らの生き方を変えるまでになっていたようだ。
ハドラーはアバンの使徒たちを褒め、散っていった。
そして、弟子たちとの再会のとき。

ダイ、ポップ、マァム。
みんな見違えるように立派に成長を遂げていた。

そして、一番弟子のヒュンケル。
卒業時にアバンと別れてからは、魔王軍に拾われ
不死騎団長として世界を蹂躙していたヒュンケルだったが、
ダイたちとの闘いを経て、真のアバンの使徒として目覚めていたのだった。
皆、師・アバンとの再会の喜びを分かちあった。
破邪の秘法

アバンが手に入れた「破邪の秘法」。
それは、呪文の破邪力を増幅させる秘術だった。
これにより、かつてダイたちが全力で攻撃して穴を開けるのがやっとだった
バーンパレスの門があっさりと開いたのだった。
アバンには強力な戦闘能力はなくとも、こうした技術、知識は
パーティの非常に大きな力となった。
とりわけ、アバンの使徒たちの強力な心の支えとして
その存在感を大きく発揮することになる。
大魔王バーン

やがて、パーティは大魔王バーンのもとへと辿り着く。
魔王を倒せるのは、勇者の一太刀のみ。
しかし、その「勇者」は今はアバンではない。
ダイである。
すでに勇者として十分な成長を遂げていたダイは、
大魔王とも互角の勝負を繰り広げた。

そして、そのダイの支えとなるパートナーには、
かつては臆病や怠惰な性格が勝っていたポップが務めている。
ポップはアバン不在の間、マトリフに師事していたようで、
アバンはポップに、まるでマトリフが傍らにいるような安心感を感じていた。
自らの誇りである弟子たちが、大魔王を必ず倒すであろうと、
アバンは確信していた。

そして、弟子たちはアバンの期待に見事に応えて
大魔王を撃破したのであった。
それから

バーンパレスが墜落した現場で、アバンはフローラと再会する。
アバンが死んだものだと思っていたフローラは、その再会に喜ぶどころか
気が動転して失神してしまうのだった。
ともあれ、大魔王が倒れたことにより、アバンの放浪癖も少しは落ち着く
だろうから、フローラもこの先は安心なのではないだろうか。
大魔王との決戦のあと、勇者ダイは行方不明となっていた。
ダイの行方は、ポップとマァムが追っている。
ヒュンケルはバーンパレスでの闘いで再起不能といわれるほどの
傷を負ったが、再び己を鍛えるために旅に出た。
世界は大魔王に蹂躙された傷から、すこしずつ復興をはじめていた。
そして、アバンは。

カール女王・フローラの傍らで、玉座におさまっていた。
きっと旅立とうにも、フローラが逃してくれないに違いない。
しかし、もうアバンは勇者として旅に出る必要も、
自分の志を継ぐものを必死で育てる必要はないのである。
彼の志は、すでに何人もの人間に受け継がれ、やがてそこから
さらに次の世代へと受け継がれていくはずなのだから。
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メガンテによって上空高くに打ち上げられたアバンは、死んではいなかった。
以前、魔王ハドラー討伐の旅に出る際、フローラからもらった
「カールのまもり」というアイテムが身代わりとなったからであった。
しかし、メガンテによるダメージは大きく、アバンはしばらく気を失ったまま
デルムリン島近くの洋上に浮いていた。
一方、魔王ハドラーもメガンテによるダメージは受けたものの、
命を落とすまでには至らなかった。
しかし、潜在能力を発揮したダイによって撃退されていた。

やがて気がついたアバンは、デルムリン島の浜辺でダイとポップが
旅立つ様子を目撃する。
このときアバンは、ダイの潜在能力が自分の力を大きく上回っていることを悟る。
今、アバンが名乗り出て、ダイとポップの冒険に同行することは簡単だった。
しかし、そうすることで二人の成長の足をひっぱることは目に見えている。
アバンは、自分自身を鍛え直し、自分にしかできない新能力を
身につけなければダイたちと共に戦う資格は無い、と結論を出した。

アバンにしかできない新能力。
それは、自身の最も得意とする「破邪呪文」を極めることで
糸口が見えるはずである。
そう考えたアバンは、祖国カールに存在する「破邪の洞窟」に入る。

古文書によれば、この洞窟は人間の神が邪悪なる力に対抗する魔法の
すべてをおさめた場所とされている。
地下何階層まで存在するか?
どれほど強力な呪文が眠っているのか?
その全貌はいまだに不明である。
わかっているのは、各階につき一つの呪文の契約ができる
ということだけである。
アバンはこの洞窟に入り、強力な破邪呪文を求めたのだった。
しかし、地下50階以降はさしたる呪文もなくなり、
迷路の複雑さだけが増していった。
用意した食料や回復道具も尽きかけ、
恐ろしい魔物や罠の数々がアバンの行く手を阻んだ。
破邪の洞窟挑戦から3ヵ月ほどの月日が流れた頃、
アバンが探索した階層は、すでに地下150階にまで及んでいた。
そして、アバンはついに「破邪の秘法」と呼ばれる技術を発見するのである。

ちょうどその頃、アバンのいる地下150階よりも上層の
地下25階で大きな破邪の力が働いた。
これは、大魔王バーンとの決戦用にパプニカ王女・レオナが
大破邪呪文・ミナカトールを習得したことによるものだった。
アバンは、これにより最終決戦が近いことを知った。

地上に戻ったアバンは、すぐさま現在の情勢を掴んだ。
どうやら、大魔王バーンの空飛ぶ居城・バーンパレスに、
勇者ダイを始めとする「アバンの使徒」が乗り込んだという。
レオナが習得したミナカトールは、バーンパレスの魔力を停止させ
侵入可能とするためのものだったようだ。
アバンもすぐさま、バーンパレスへと向かった。
バーンパレスでは、アバンの三番目の弟子・ポップの命が
まさに尽きようとしていた。
灼熱の檻に閉じ込められ、絶体絶命の状況であった。
駆けつけたアバンは破邪の秘法を使用して、ポップを救出する。

灼熱が晴れ、アバンの姿を目の当たりにするポップ。
その顔は驚愕そのものであった。
さらに、ポップのそばには意外な人物の姿があった。
魔王ハドラー。
かつて世界を恐怖に陥れ、アバンに自己犠牲呪文までをも使わせた
ハドラーが、アバンの弟子であるポップをかばうようにして
一緒にいたのである。
これにはアバンも驚いた。

どうやらハドラーはアバンの使徒たちとの闘いのなかで、
自らの生き方を変えるまでになっていたようだ。
ハドラーはアバンの使徒たちを褒め、散っていった。
そして、弟子たちとの再会のとき。

ダイ、ポップ、マァム。
みんな見違えるように立派に成長を遂げていた。

そして、一番弟子のヒュンケル。
卒業時にアバンと別れてからは、魔王軍に拾われ
不死騎団長として世界を蹂躙していたヒュンケルだったが、
ダイたちとの闘いを経て、真のアバンの使徒として目覚めていたのだった。
皆、師・アバンとの再会の喜びを分かちあった。


アバンが手に入れた「破邪の秘法」。
それは、呪文の破邪力を増幅させる秘術だった。
これにより、かつてダイたちが全力で攻撃して穴を開けるのがやっとだった
バーンパレスの門があっさりと開いたのだった。
アバンには強力な戦闘能力はなくとも、こうした技術、知識は
パーティの非常に大きな力となった。
とりわけ、アバンの使徒たちの強力な心の支えとして
その存在感を大きく発揮することになる。


やがて、パーティは大魔王バーンのもとへと辿り着く。
魔王を倒せるのは、勇者の一太刀のみ。
しかし、その「勇者」は今はアバンではない。
ダイである。
すでに勇者として十分な成長を遂げていたダイは、
大魔王とも互角の勝負を繰り広げた。

そして、そのダイの支えとなるパートナーには、
かつては臆病や怠惰な性格が勝っていたポップが務めている。
ポップはアバン不在の間、マトリフに師事していたようで、
アバンはポップに、まるでマトリフが傍らにいるような安心感を感じていた。
自らの誇りである弟子たちが、大魔王を必ず倒すであろうと、
アバンは確信していた。

そして、弟子たちはアバンの期待に見事に応えて
大魔王を撃破したのであった。


バーンパレスが墜落した現場で、アバンはフローラと再会する。
アバンが死んだものだと思っていたフローラは、その再会に喜ぶどころか
気が動転して失神してしまうのだった。
ともあれ、大魔王が倒れたことにより、アバンの放浪癖も少しは落ち着く
だろうから、フローラもこの先は安心なのではないだろうか。
大魔王との決戦のあと、勇者ダイは行方不明となっていた。
ダイの行方は、ポップとマァムが追っている。
ヒュンケルはバーンパレスでの闘いで再起不能といわれるほどの
傷を負ったが、再び己を鍛えるために旅に出た。
世界は大魔王に蹂躙された傷から、すこしずつ復興をはじめていた。
そして、アバンは。

カール女王・フローラの傍らで、玉座におさまっていた。
きっと旅立とうにも、フローラが逃してくれないに違いない。
しかし、もうアバンは勇者として旅に出る必要も、
自分の志を継ぐものを必死で育てる必要はないのである。
彼の志は、すでに何人もの人間に受け継がれ、やがてそこから
さらに次の世代へと受け継がれていくはずなのだから。
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