ちょいと閑話休題(笑)
先日、図書館で休憩の合間に何気なく手にとった本が、なかなか面白かった。
プロフィールを見ると、1939年(昭和14年)12月17日新宿区出身の落語家さんらしいです。(無知ですいません)
40代でバイクにハマった著者が、落語家仲間で「転倒蟲」(てんとうむし)というツーリングチームを作って
北海道を落語をしながら回る珍道中を中心に、諸々バイクにまつわるエピソードを綴った本です。
やっぱり噺家さんだけあって、テンポよくああだこうだと興味の尽きない話が満載でした。
(どうも、この本は著者が話すのを録音して文に起こしたものらしいですが…w)
そんな中に、北海道の未舗装路を走ったくだりがあるんですが、ちょっといい話だったんで、
以下に抜粋しますね。
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何キロありましたかね。霧立峠から苫前までの間延々と、砂利道。それが細かー
い砂利なんですよ。だからちょっと変なブレーキをかけると、ズッズといって、ズ
デンと転ぶわけだ。
転ばないようにするにはどうしたらいいかってことを考え考え、あの道を降りた
んで、みんなだいぶ腕が上がったんじゃないかな。アスファルトの上をいくら走っ
たってね、オートバイはうまくならない。
ハンドルに力を入れず、おっ放すぐらいに自由にさしてやって、ステップの上
にフワッと体重を乗せて、駆動力だけかけてやる。つまり、前へ進もう進もうとす
るエンジンの力を車輪に加えてやれば、オートバイって自分で倒れない。倒れたく
はない動物--今うっかり動物っつちゃったけど、あれ乗ってると動物みたいなも
んなんです。ウマみたいなもんで。そういう感じなんですよ。
それを、倒れそうになったときに、あ、いけねえって、右行こうとしたり左へ行
こうとしたり、ハンドルで操作すると必ずコケるんです。ステンといくんです。
それを、いけねえって思ったとき、ハンドルから手を放して、とにかく前へ進も
うっていう力だけ加えてやる。そうすると立派にオートバイは立ち上がって、転ば
ないんです。
だから、オートバイは危ないっていうけど、危なくしてんのは人間であって、オ
ートバイそのものは何にも危ない乗り物ではないんですよ。
オートバイを自由にしてやる。右行け、左行けって、乗ってる人間が無理やりね
じ伏せないで、砂利にゴトンとぶつかると、オートバイは、いやだなと思ったら右
行くんです。だから、右に行かしてやればいいんで、右行っちゃダメよ、左だよっ
て、ハンドル左に切るとステンといくんです。オートバイってのは、ねじ伏せよう
とすると人間に刃向う。
だから、オートバイをうまくあやなしながら、君の好きなように行っていいんだよ
って言いながら、ステップに乗った体重で右や左に後押しをしてやるっていうよう
なことを、だんだん砂利道を走っている間に覚えるわけです。
そういうことをやりながら、ああ人間も同じだなっていうことを思いました。
つまり子供が、育とう、前へ進もう、成長しようとする力を押さえているのはいつ
も大人だと。ハンドル持って、右行っちゃいけない、左行っちゃいけねえってやる
から、子供はコケたり反発したりするんじゃないかと。
いいんだよ、好きなようにやっててと駆動力さえかけてやれば、子供ってのはの
びのびと強く成長するんだなってことを、そこで改めて教えられたりしました。
だから、オートバイに乗ることによって、人間てこういうものだってことを、ど
のくらい身を持って体験したかわからない。オートバイに乗って、おれはずいぶん
成長したってのは、そういうこともあるんです。
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いや~、ここまで考えてバイクに乗っていなかったな…(^^ゞ
でもなるほどと思わず膝をうつことがたくさんあります。
この著者が当時どれほどの腕前だったのかはわかりませんが、
こういった感じで「バイク乗りなら誰のこころにも響く」、そんな言葉がたくさんつづられた本でした。
たまにはこういうのも良いもんです。
砂浜や砂丘なんかも超リア加重で走るんだよね~。
フロントに加重が乗るとザックリと前転!
あばら折った奴いたなあ~(笑
あのケニーロバーツ氏も「バイクの乗り方はダートで覚えろ」と言ってますから、
やっぱり上手くなるんでしょうね。
余裕があれば、100kg台の軽いオフ車で練習したいもんですが…(T_T)