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日常の活動報告

所有者不明土地問題

2017-09-18 11:38:58 | 政治活動

 水戸市議会2017年9月定例会で代表質問した内容をもとに、土地問題についてまとめてみましたので投稿します。

 

経済的損失招く所有者不明土地問題

 東日本大震災直後、所有者不明土地の存在により復興事業がなかなか進まないことが問題となりましたが、最近も度々所有者不明の土地問題が報じられています。

 今年6月、所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也元総務相)が、相続未登記などで所有者が分からなくなっている可能性がある土地の総面積が、九州より広い約410万ヘクタールに達するとの推計結果を発表しました。こうした土地の増加は、森林の荒廃や土地取引の停滞、公共工事の妨げにもなり大きな問題となっています。

 研究会は、名義人の死亡後も相続登記されなかったり、住所が変わって名義人と連絡がつかなくなったりしている土地を「所有者不明土地」と定義。国土交通省の地籍調査や人口動態などを加味して推計したところ、所有者不明土地の総面積は、九州の面積を上回るそうです。土地の筆数でみた場合、約2割が所有者不明です。 

これだけの土地が所有者不明とみられる背景には、人口減少で土地の資産価値が下がっていることがあります。資産価値がなくても管理コストや登録免許税、固定資産税などの負担がかかるため、法定相続人が誰も相続登記せず、長年にわたって放置される現実があります。日本の登記制度は権利を主張したい人が任意で行うもので義務化されていません。何十年も放置されると子や孫の代になって相続人がどんどん増えていき、事実上、相続も売却もできない物件となってしまいます。

 私は9月議会で次の3点について質問しました。

(1)所有者不明土地の現状と課題について伺う。

【市長答弁】

所有者不明土地は、公共事業、地籍調査、空き家対策、民間の土地売買停滞など社会的・経済的に影響を及ぼしており、全国的にも深刻な問題として早急に対策が必要であると認識している。

(2)固定資産税の賦課、徴収に与える影響について問う。

【市長答弁】

納税義務者が死亡した場合、遺産分割協議や相続登記が完了する前であっても、相続人から納税義務者となる相続代表者の届出をお願いするとともに、一定期間に届出がない場合は、市で相続人代表者を指定する等地方税法の規定に基づき賦課徴収を行っている。

(3)所有者不明土地への対応、対策は。

【市長答弁】

相続登記については、法務局において積極的な促進を行っており、5月からは「法定相続情報証明制度」を導入し、手続きの簡素化が図られた。市でも新制度のパンフレットを窓口で配布するとともに、死亡届提出時には土地に係る手続きを含めた一覧表を市民課で配布し周知に努めている。

地図混乱地域の解消に向けて

……地籍調査のスピードアップを図ろう……

 私は土地については相続未登記問題とともに、地図混乱地域の解消が急務であると考えています。そのためには、地籍調査をスピードアップすることです。

 皆さんも「人には戸籍、土地には地積」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、地籍は土地の戸籍とも言われ、地積を見れば一筆ごとの所有者、地番、広さ、地目、境界が分かることになっています。

 土地を売買したことのある方なら、一度は法務局に行ったことがあるでしょう。日本では土地に関する記録を法務局で管理しているからです。例えば、自分の買おうとしている土地がどこにあって、どんな形をしていて、どんな人と境界を接しているのかという状況を知るには、法務局にある「公図」(旧土地台帳附属地図)や「地図」(不動産登記法による)を見なければなりません。この「公図」や「地図」に、隣地との境界が記されています。しかし、問題は、「公図」です。文字からするといかにも公の権威があるという印象ですが、明治の初めにつくられたものが今もそのまま使われているなど信頼性がありません。

コラム:六本木ヒルズの場合

オフィスビル「森タワー」や集合住宅などで構成される六本木ヒルズは、20世紀最後の巨大プロジェクトと呼ばれ、2003年4月に開業しました。事業を進めるうえで、地権者との売買交渉をするにも境界が確定していなくては話になりませんが、公図などが全く現状と合わず再開発事業地400筆(約11ha)の境界を確定するまでに4年の歳月を費やしたそうです。仮にこの地域で事前に地籍調査が実施されていれば、再開発に当たって、計画の立案や境界調査がスムーズに進み、期間が短縮できたことと思います。

 

 国は1951年に国土調査法を制定し、土地の面積、地目、所有者との境界を明確にする地籍調査を開始しました。以来60年以上経過しましたが、その進捗率は全国で52%(水戸市の進捗率は76%、但し未実施地区は都市部が大半)にとどまっています。調査自体が難しいことや住民の誤解、市町村の財政難・職員不足などによるものです。都市部と山村部(林地)が遅れていますが、特に、都市部において早急な調査の実施が必要であると考えます。

 地籍調査の促進については、今後市議会で取り上げていく予定です。

 

 



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