7月12日、被爆75周年原水禁茨城・平和集会が開催されました。
その中で、私は「水戸市原子力災害広域避難計画骨子の問題点」について報告しました。実効性ある避難計画とは何かが問われていますが、逃げることに限って言えば「全ての市民が安全に避難できる計画」ということになるのでしょうが、実際は様々なハードルがあり実現不可能です。
以下、当日の報告の要点を掲載いたします。
水戸市原子力災害広域避難計画骨子の問題点
2020年7月12日 水戸市議 飯田正美
1 計画策定の趣旨と位置付け
本計画・骨子は、水戸市地域防災計画(原子力災害対策計画編)の一部として位置付けられ、計画の骨子の段階から公表(2016年7月)し、その実効性を高めつつ骨子から計画へと改定する予定。その際,住民説明会などを通じて市民に原子力災害時の防護措置や避難方法などを説明する。
⇒実効性ある広域避難計画の策定とは何か
2 市当局の課題設定
○ 県外避難先の場所
・地区別避難先の設定 ・避難ルートの設定 等
○ 安定ヨウ素剤の配布方法(手順と場所)
○ 避難退域時検査(スクリーニング)の方法(手順と場所)
○ 移動手段の確保
・要配慮者(水戸市は病院と福祉施設が多い)の移動手段、福祉車両や燃料の確保
○ 複合災害への備え 地震・津波
・道路や橋の寸断
○ 避難先における支援体制
・受入れ要請、避難所開設のタイミングと運営、避難者駐車場確保、避難物資の運送方法、マンパワー支援
・行政機能の設置場所の確保
・避難者が帰還するタイミングや手法 等
○ 避難状況を確認する方法
⇒これだけで良いのか。 避難先での安全な生活環境は。帰還するための補償と準備などは考慮なし。
3 水戸市議会における議論 何をもって実効性ある広域避難計画ということになるのか。(2018年6月議会) ◎市長(高橋靖君) 飯田議員のほうからも話がありましたとおり,超えなければならないさまざまなハードルがございます。私たちは,まずそれを一つ一つクリアしていきたいというふうに思っています。どういう形態が完成形なのかということ,何をもってしてということについて,今,正直申し上げて明確なお答えは持っていません。 ⇒国などにおいて明確な基準がない。 最終的には、市民(民意)との力関係となるのではないか。 |
4 感染症流行下での原子力災害対策、避難計画等の見直し
水戸市では広域避難計画はできていないが、屋内退避にせよ、避難移動、避難所生活の全てが密になる。
⇒感染症対策を逆手に取り、計画策定を遅らせることが求められる。
5 実効性ある広域避難計画はできない、このことを前提に
・「スヒィア基準」避難所一人当たりの居住スペース3.5㎡、現行2㎡の見直しを迫る。
・被ばくと汚染を前提とした避難計画は認められない強い意志を持つ
・避難計画づくりや避難計画に税金を使うのはおかしい、という世論づくり。費用は事業者が負担すべき
・原子力規制委員会は,避難計画の実効性の評価は権限外。避難計画を再稼働の条件にしないという態度
⇒いずれ、骨子から計画へと改定される予定。その際,住民説明会などで実効性の担保を迫ることが必要