Kamu Number Theoryと相似象

英文サイト. Kamu Number Theory では言及しない相似象のことなどはこちらで。

(その3)-2 万物のエントロピー増大 故に万物には始元が存在する

2020-04-13 15:44:45 | 量子コンピューター
量子コンピューターという思想(その3)万物は回転する─ペンローズの宇宙大航海時代の羅針盤─

(その3)- 2.万物のエントロピー増大、故に万物には始元が存在する

◇ホーキングの始元定理
さて、始元の問題なのだが、これにはホーキングの業績を忘れてはならないと思う。

宇宙には「始まりがある」という定理を相対性理論で証明したのはホーキングだ、従って「ホーキングの始元定理」として評価しなければならない。

ホーキングが始元定理を証明するときに根拠としたものが、ペンローズの「特異点定理」、これがやはりというか、凄い。どこが凄いか、特異点は日常から遠いものではなく、「現実世界では必ず特異点が出現する」というのがペンローズが証明したことだからなのだ。

◇ペンローズの特異点定理
つまり量子論の謎の⑨を思い出して欲しい、量子の数々の謎は日常世界に作用する原理であり、相対論においても同じように現実世界に直接の影響力を持っているというのだ。

(量子論の謎、 (9)量子力学は日常生活の物理を含む → 量子の数々の謎をそのまま日常生活に持ち込めるのか?)

では、特異点とは一体何であろうか、ペンローズの理論ではそれは単なる「無限・発散・収縮・手に負えないもの」ではない。

ペンローズの「特異点定理」をKamu Number Theoryでは二つの宇宙状態として考えて居る。一つは「始元=特異点 → Tama」、もう一つは「飽和崩壊循環遷移=特異点 → Yata」と考えるのである。

そして、この二つの状態は
《始元 → 遷移 → 現実世界 → 飽和崩壊 → 始元遷移サイクル》
という物性遷移のサイクルを指し示すと考える。

このように、ペンローズの特異点は現実世界において、宇宙から地上のあらゆる存在までを含めて成立する定理だと考える。

このことは熱力学の第二法則が、まず始元に於いて成立し、現実生活に於いても、そして宇宙が飽和崩壊する時まで第二法則の支配が続くということに基づいている。

熱力学の第二法則と相対論による特異点定理は、人間の現実に適用すれば人生の始めに始元点があり、終局に飽和崩壊の循環始元点が存在するということになるのかも知れない。

◇ペンローズの始元解析
哲学におけるオントロジーの基本命題を相対性理論が図らずも証明したことになると言わざるを得ない。

オントロジーについては、今回の(その3)4 生命のロバストネスと情報熱力学、を参照してください。

どうしてこんなことが物理学を使って出来たのか、その秘密が熱力学の第二法則をペンローズらしい徹底さで追求したところにある。 

ペンローズによる始元の解析は二つの道を辿ってゆくように見える。

一つには特異点においては時間と空間は分離していないと考えたこと。つまり虚数世界の時空互換重合ツイスターというものをイメージしたルート。

そもそも、私たちの常識では時間は時計、空間は物差し、と全く別のものと見なす、2つの異なるものが分離しているのは当たり前なのだ。

◇感覚ではなく直観
従って、ツイスターを具象として想像する力は人間の感覚の世界では働かない。潜象というものも同じように感覚的に想像することは出来ない。

しかし、時空は1つの球状の内部で陰陽図の渦巻きのように互換重合して居る様子を直感するしかないのだ。

さてもう一つのルートは、ペンローズは特異点においては「エントロピー → 情報量」と「回転角度 → 共形幾何」だけが物差しになると考えたことだ。

エントロピーに関してはすでに「(その2)2.時空互換重合量子とペレルマンのエントロピー」で、エントロピーを互換重合時空容積量・Relativity-Capacitive-Quantityの代わりに使っていたことを見た。

数学的、物理的な理由から、宇宙の始まりと終わりでは、重さゼロの粒子しか存在しない、そこでは長さや時間が意味をもたなくなり、物理的に重要なのは「角度」だけになる、とペンローズは理論から導いた。

◇時間軸のない始元
始元における質量のない粒子について、最も奇妙なことは、それらには時間のようなものがないということ、であるとペンローズは記している。

こうして、質量も時間も無い唯一の粒子である光子には始元を担う十分な資格が見出されることとなる。

つまり「最初に光が在った」というフレーズがそのまま特異点定理の一部になるのだ。

万物は「始元=光子」から遷移生成されてゆき、ついには飽和から再び光子に帰って行く共形周期宇宙論がペンローズによって主張される。

この結論はKamu Number Theoryにおいてもほぼ同じだ、現象界の始元は光である。

ただし違うのは、現象界の始元である光は潜象界Tamaにおける、ながい遷移プロセスの結果として発生するものであって、いきなり「光」が現れるわけではない。

◇光の3種集積位相
光は遷移過程に従って3種の物性として現れる、まず始元の前駆光から始まって、つぎの遷移過程で電磁波として、ここから遷移して光量子が現れるものと見ている。

潜象界は始元量と名付けたTamaが生成する長々とした遷移過程、ここでは量子重力領域の前駆的な遷移を経由しなければ光は発生しないのである。

この潜象界の遷移過程があればこそ、現象界独特のユニタリー時間発展、そしてそこから展開される標準模型を説明できると考える。

だが、この「現象界始元=前駆光子」を創成するKamuとAmaの随伴共役による遷移過程である潜象界は、ペンローズの視界からは閉ざされているのだ。

同じ始元ではあるが、現象界の光及びビッグバンが生み出す始元には重力の問題が入り込めない、ところが潜象界の長い遷移過程を経て生み出される始元には重力が含まれる、という違いがある。

このことが、次回で述べるペンローズの迷いを生み出すこととなる。

         †

次回は(その3) - 3 ペンローズの迷いとマイナスエントロピー

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─万物は回転する・ペンローズと宇宙大航海時代の羅針盤─

3-1、万物は回転する・互換重合時空ツイスター
3-2、万物のエントロピー、故に始元が存在する
3-3、ペンローズの迷いとマイナスエントロピー
3-4、生命のロバストネスと量子情報熱力学
         †
3-5、宇宙羅針盤・テータ関数・共形幾何・保型形式
3-6、ペンローズの微小管非チューリングマシン
3-7、ペンローズの非計算物理とKamu Number Theory
3-8、準直感と準粒子型量子コンピューター
         †
Kamu Number Theory
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