そう聞いて、「ムーミンね」とわかった人は、まさしくムーミン通かも。
トフスランとビフスランは、『たのしいムーミン一家』の後半に登場する、ねずみと間違えられるほど小さい夫婦の二人連れです。
わたしは、少なくともこの一冊の中では、このふたりが好き。
「八月のはじめの、ある朝早くでした。
トフスランとビフスランの夫婦が、山越えをしてやってきて、いつかスニフが魔物のぼうしを見つけた場所で、立ち止まりました。
トフスランは赤い帽子をかぶり、ビフスランは大きなスーツケースをもっていました」
じつは、このスーツケースは、二人がおそろしく悪いやつのモランのところから、勝手にもってきたものだったのです。
おお、それじゃ泥棒じゃん。
普通だと、そういう話になると思うけど、ムーミンの中ではちょっと違います。
トフスランとビフスランは、人のものをほしがるくせがあるようで、ムーミンママのハンドバッグもこっそり隠し持っていたりします。
おお、それいけないことじゃん。
でも、話の風向きはどうも違っていて…
この二人は、「思いやり」がある。
人がしょげているのを見ると、自分たちのできる範囲で慰めようとする。
ママがハンドバッグをなくして嘆いているのを見ると、気の毒になって返します。
すると、とがめられるどころか、探し物を見つけたヒーローになっちゃって、いきなりパーティの主賓です。
魔物がルビーをなくして悲しんでいるのを見ると、ちゃんと、すっごく頭のいい方法で、魔物を素敵な気分にさせてあげるのです。
もともと魔物が悲しんでいるのは、自分の赤いルビーが無くなったからであって、それを持っているのは、じつはトフスランとビフスランなんだけど、それは、別に問題にされない。
そういうイージーなところが、とても面白いと思うし、人のものをすぐ自分のものにしたがるのに(そういう子供っていますねぇ)、二人が示すぶっきらぼうな「思いやり」がすごく素敵で、わたしはこの二人のファンになってしまいました。
心に残るのです。
なんだかわかったようでわからない説明だけど、ちゃんとわかりたい人は本を読んでください。
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