そもそもの初演は1944年、ナチス占領下のパリ。
実存主義哲学のジャン・ポール・サルトルが描いた戯曲
そう聞くと
なんだか、とんでもなく難解なのではないか、
シュール過ぎて、理解するのに頭を3回ひねらないといけないのではないか
と思ってしまう。
しかし、出演が大竹しのぶ、多部未華子、段田安則ときては、
そんなに堅苦しく、むずかしいはずはない。
戦時下のパリ初演は大反響を呼んだそうだ。
演劇的に成功したということは
エンターテイメント性がすぐれていたということだろう。
~と、なんのかんの言ってますが
要はおもしろかった。
3人の男女が出口がないわけではないけれど、開かない
窓も鏡もない
部屋の明かりはつきっぱなし
眠ることもできない部屋に閉じ込められる。
よく聞くと、3人はすでに死んでいて、
やってきたこの部屋は「地獄」ということらしい。
なるほど、一人になってほっとすることも
眠りについて、しばしの間、現実を忘れることもできない。
鏡がないから、自分のことは相手の目を通してしか確認できない。
理解し共感しあうこともない他人の視線が、つねにまとわりつく。
昼夜で1日という区切りもなく、終わりなく連綿とつづく時間。
地獄と言われればそうかもしれない。
では、3人の男女はなぜ地獄にくることになったのか。
いったい何をしたのだ?
重~い芝居じゃない。ときどき笑ったし。
芸達者な演劇人の3人が繰り広げる負の人間模様といったところ。