１週間前の４月２7日に、東京ドームでのポール・マッカートニーのコンサートに行ってきた。
５万人近く、ぎっしり入った観客。
開演時間を過ぎて、ポールが出てくるのを今か今かと待つこと３０分…。
まさか、今回もトラブルが？…とかすかな不安が頭をかすめたとき、コンサートは始まった。
ポールは何本ものギター、グランドピアノ、シンセサイザーと次々に楽器を替え、マルチプレイヤーぶりをみせる。
細身のスレンダーな体躯。
７２歳！
エネルギッシュなステージは、年齢などまったく関係ない。
そこにポールがいて、ロックンロールを熱く歌ってくれるだけで、１００パーセント嬉しくて満足なのだ。
すばらしい存在感。
それを目の前で確認できるなんて、信じられないくらいラッキーだと思う。
２時間半で３７曲の歌を聴いて、こちらの存在まで浄化され、パワーがアップした気分。
去年秋の国立競技場での公演が中止になったときのガッカリ感があるだけに、貴重な、何ものにも替えがたい時間になった。
去年の突然の体調不良。ウィルス性胃腸炎で公演中止といわれていたけれど、じつは腸ねん転で、都内の病院で内視鏡手術を受けたという話だ。
その後に控えていた韓国公演とアメリカ公演を中止し、そのままチャーター機でイギリスに戻ってしまった。
ポールは、思えば過去にもいろいろあった。
１９８０年にウィングスとして来日したときには、成田空港で大麻不法所持の容疑で逮捕され、９日間も留置所にぶち込まれていた。
手錠をされて警察に連行される姿がイギリスの新聞にも掲載されたそうだ。
なんでも、この間に留置場の看守にサインを頼まれ、何枚も書いたのだとか。
当時でもそうだったとは思うけれど、いまとなってはものすごいお宝物だよね、と思う。
今回のコンサートでは、「リンダへ」「ナンシーへ」「ジョンへ」、そして「ジョージへ」と、曲が演奏された。
とくにジョージに捧げられた「サムシング」はよかった。
過去にあったけれど、いまはいない人たち。この世界に別れを告げて、行ってしまった人たち。
その時間の狭間を埋めるように、メロディは切々と歌い上げられる。（と思えて、心に沁みた。）
今回の日本公演ではステージを何本もこなし、そのあとには世界ツアーが展開される。
驚くのはその体力。
これだけのパワーを維持するには、日ごろから相当鍛えていなければならないだろうと思う。
サッカーの本田圭佑ではないけれど、素晴らしいパフォーマンスをするためには、それなりの準備が必要だ。
去年の秋、公演が流れたときに「もう、これでポールの歌をじかに聴く機会はなくなったか…」と秋風が身に沁みたものだけど、こうして見事に復活し、約束どおり戻ってきてくれた。
ポール・マッカートニーに、心からの感謝とリスペクトを捧げたい。
★「アウト・ゼアー・ジャパン・ツアー２０１５」東京ドーム４／２７ セットリスト
1. マジカル・ミステリー・ツアー
2. セイヴ・アス（ソロ / 最新アルバム『NEW』より）
3. キャント・バイ・ミー・ラヴ（ビートルズ）
4. あの娘におせっかい（ウイングス）
5. レット・ミー・ロール・イット（ウイングス）
6. ペイパーバック・ライター（ビートルズ）
7. マイ・ヴァレンタイン（ソロ）
8. 1985年（ウイングス）
9. ロング・アンド・ワインディング・ロード（ビートルズ）
10. 恋することのもどかしさ（ソロ）
11. 夢の人（ビートルズ）
12. 恋を抱きしめよう（ビートルズ）
13. アナザー・デイ（ソロ）
14. ホープ・フォー・ザ・フューチャー（ソロ / 最新曲）
15. アンド・アイ・ラヴ・ハー（ビートルズ）
16. ブラックバード（ビートルズ）
17. ヒア・トゥデイ（ソロ）
18. NEW（ソロ / 最新アルバム『NEW』より）
19. クイーニー・アイ（ソロ / 最新アルバム『NEW』より）
20. レディ・マドンナ（ビートルズ）
21. オール・トゥゲザー・ナウ（ビートルズ）
22. ラヴリー・リタ（ビートルズ）
23. エリナー・リグビー（ビートルズ）
24. ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト（ビートルズ）
25. サムシング（ビートルズ）
26. オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ（ビートルズ）
27. バンド・オン・ザ・ラン（ウイングス）
28. バック・イン・ザ・U.S.S.R.（ビートルズ）
29. レット・イット・ビー（ビートルズ）
30. 007死ぬのは奴らだ（ウイングス）
31. ヘイ・ジュード（ビートルズ）
32. デイ・トリッパー（ビートルズ）
33. ハイ・ハイ・ハイ（ウイングス）
34.アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア（ビートルズ）
35. イエスタデイ（ビートルズ）
36. ヘルター・スケルター（ビートルズ）
37. ゴールデン・スランバー～キャリー・ザット・ウェイト～ジ・エンド（ビートルズ）
