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サラ☆の物語な毎日とハル文庫

ファンタージエンに!

冷たい十一月の灰色の朝。
通りに面した一軒の古本屋のドアを、ずぶ濡れになった一人の男の子が、騒々しい音をたてて開けました。
男の子はクラスの仲間に追いかけられ、思わず目についた古本屋のドアを開けて、逃げこもうとしたのでした。
けれど、本だらけの店内の、なんだか威圧されるような光景を見て立ちすくみました。

「店の中でだろうと外からだろうと、本を見てくれるのはいいですがね、ともかくドアを閉めてくださいよ。風が入るじゃないですか」
店の主人にいわれるままに男の子はドアを閉めました。
そして、名前ぐらいは名乗るのが礼儀だといわれ、「ぼく、バスチアンといいます。バスチアン・バルタザール・ブックス」と答えます。
「Bが三つとは、えらく珍妙な名前だな…」

さて、店の主人にあれこれ質問され答えていると、電話がかかってきました。
店の主人は奥に引っ込んで受話器を取りました。「もしもし…」

その間に男の子の目は、店の主人が手にしていて、いまは皮のイスの上に置いてある一冊の本に吸い寄せられました。
強烈な磁石に引き寄せられるように、男の子は本を手に取ります。
その本のタイトルは『はてしない物語』。
男の子にとって、これこそ夢にまで見たもの。本きちがいになってからずっと望んでいたものでした。けっして終わりにならない物語。本のなかの本!

男の子は本を手に持ったまま、そっと古本屋をでました。
本ドロボウです。
どうしようもなく、ほしくなってしまったのです。
男の子は走り出しました。
走って、走って、けっきょく学校の屋根裏部屋に隠れ、本を読み始めます。
そして、本の中に見つけたのはファンタージエンの世界…。

(と、ここまではミヒャエル・エンデの『はてしない物語』の導入部。そのダイジェストです。参考にし、一部引用したのは岩波書店の本<上田真而子、佐藤真理子訳>です。)

さて、ファンタージエンは、『はてしない物語』の中の国ですが、「想像上の世界」とスライドして考えることができます。(くわしい説明は省きます。)
だからファンタージエン=「ファンタジーの世界だ」とくくりたいです。(ブログの便宜上です。)
ファンタジーというと、いろんな定義があるらしいけれど、わたしは「人間以外の生き物(あるいはモノ)が、人間と同じようにしゃべったり行動したりする、現実を越えた世界」ととらえようと思います。

ええいっ、では、唐突ではあるけれど、ファンタージエンに、いざっ!!
(って、唐突すぎますか?)
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