今年になって始めてのブログ更新です。
めでたいです。
東北大震災については、心を痛めるばかり…。
さて、『秘密の花園』を大人になって久しぶりに読み返してみて、違和感を覚えました。
その話です。
このラストシーンはなんだ!
なぜ、コリンがラストでこうも目立つのか。メアリー・レノックスはなぜ、ラストでは名前すら出てこないのか?
コリンとは『秘密の花園』の実際上の持ち主の息子です。
領主の跡取り息子。
メアリーに『秘密の花園』の秘密を教えられ、花園にいざなわれ、花園の中ですごすうちに病気を克服し、自分の足で立てるようになった男の子です。
その話は感動的だし、父親のクレイヴン氏が屋敷に戻ってきて、花園の入り口で息子のコリンと対面する場面は、とてもドラマチックです。
でも、この物語は「メアリー・レノックスは~」で始まったのだし、ずっと、メアリーの心の成長を追ってきたのです。メアリーに共感し、「よし、そうだ」と力が入った場面もいっぱいあったし。
主人公はメアリーだと、ずっと思わされてきたんです。
ところがラストのラストの言葉は「コリン坊ちゃま!」
スポットライトはコリンにあたり、メアリーのことは少しも触れられない。
ちょっと待ってよ。話が違わない?
そりゃ、自分で立てるようになった話は、『アルプスの少女ハイジ』のクララと同じく、一番のクライマックスではあるけれど、それでも、読者の共感はメアリーにあるの。
なんで、コリン坊ちゃまなん?
まったく腑に落ちないというか、こだわりが残ってしまうというか。
こういう終わり方は作為的なのか? と著者に疑問をぶつけたくなるのでした。
ストーリーテラーのフランシス・ホジソン・バーネットの作品であり、力量ある作者の後期の作品だから、「いつのまにか、ズレちゃったのよ」ということではないと思います。
じゃあ、なぜ、こういうラストなんかい?
そこがいつまでも難解だと考えつづけるサラなのでした。
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