秋の零余子(ムカゴ)

2014-10-10 21:41:18 | 日記

 

 

  こんにちは

  少しずつ木の葉の色が変わってゆき、秋らしくなってきましたね。

 

  先日、ボランティアでご一緒している友人たちが銀杏や山菜を採りに行く話し合い

  をしていました。

  買えば済むものを電車に乗ってまでよく出かけるものねと感心しながら、いち抜け

  たで傍観していますと、そのなかのA子さんが、

  「ほんとうはわたし、ムカゴ採りに行きたいのよね」「何?ムカゴって」「ムカゴ知らな

  いの?」「わたしも知らない」。ムカゴは意外に無名。

  ということからムカゴの話が始まって。

  A子さんは、昔一度だけ郷里でムカゴの炊き込みご飯を頂いたことがあり、優しい

  あの味が忘れられない。でも、どこに行けばなっているのかさっぱり分からない。

  情報が無い。

  「銀杏とかワラビとかと違って、有名じゃないから・・」

  なるほど・・

 

  「ムカゴ、うちになってるけど」

  と言ったのはわたし。 ええッ・・?といっせいに驚きの顔・・

  こういう時って、快感というか嬉しいというか。 

  「藪の中とか山の中にしかないのよ」

  (何、それじゃわたしがよっぽどお庭を藪にしているみたいじゃない)

   

  結局、A子さんがわたしの家にムカゴを採りに来ることになりました。

  おお、ムカゴ、まぼろしの山菜よ!!

 

       

 

  こうなったからにはブログにも載せなくては、としっかり写真に納めました。

  ブログに載せるからには少しはムカゴのことを調べておかなくっちゃ。

  もちろん茶色の丸い球がムカゴです。直径5mmから1cmくらい。

 

       

  

  ムカゴは漢字では「零余子」と書くそうです。いい字ですけど、読めませんね。

  難読語辞典に載っているそうです。

  ヤマノイモ科で、ツル性植物。

  ヤマノイモ(ヤマイモではなく)が子孫を効率的に増やし残す目的でツルの途中、

  葉の付け根にたくさん作る一種の「肉芽」。

  地上に落ちると根を出して成長し、繁殖してゆく。

  でも現実はほとんどが土の上で腐っています。生存率は低いようです。

 

       

 

  繋がっているブラックペッパーみたいな黒い粒々は、ムカゴの白い「オスの花」が

  枯れて変色したもの。(ああ、そうだったの・・) 

  裏口の山吹にツルを巻きつけていつの間にか自生していたので、気をつけて見た

  こともなく、わたしは夏に咲くというその白い花さえ知らないのです。

  「メスの花」もあるそうです。ネットで写真を見ますと、いつも迷惑だと思って引きち

  ぎっていた枯草がメスの花でした。なんということを・・   

 

       

               

       

 

  美味しいというほどのものではないと思うのですけど、好きな人は好きです。

  味は里芋にちょっと似ていて、少し粘りけのある素朴な味わいがあります。

  炊き込みご飯や塩茹でしたり蒸したり炒めたり。

  いつから自生していたのか、10年ほど前に気づいた時はもう嬉しくて、決してオー

  バーでなく、夢かと思いました。

  ムカゴがわたしの傍に来たことが。

 

  まだ小さかった頃、同居していた曾祖母と一緒にお庭のムカゴを採ったときのこと

  がまぼろしのように思い出されます。

 

  籠を抱えてツルから採っている老女と、足元に落ちたムカゴを拾っている小さな女

  の子の姿を大人のわたしが眺めているのでした。

  ちょっと揺するとムカゴはぱらぱらと落ちてきます。

  曾祖母の役に立った嬉しさは格別でした。

 

  裏口で発見した後は、ツルが絡みついて多少山吹が汚く見えても、大事なムカゴだ

  けは傷つけず自由に育つがままにしてきました。

  今では他の木にまでツルを伸ばしています。

 

       

       

       

 

  それにしても、あんなにたくさん採って曾祖母はムカゴをどうしていたのか。

  家族もあまり好みではないようでした。

  食卓に上った記憶もなく、それから先のことは消えているのでした。

 

  台風が来て落ちてしまう前にA子さんに早めに来てもらって、一緒にムカゴ採り。

  「それはさ、きっとおばあさんはひ孫のあなたと一緒に採ることが楽しかったんじゃ

  ない?」

  (ああ・・そうかも・・!) 長い間気がつかなかった。

  人には話してみるものですね。

 

  黙々と採り続けていた、陽だまりの中の老女と女の子の姿がまたフラッシュバック

  しました。

  

 

           
                                        Yahoo画像より

 

  ムカゴは秋の季語。

  室生犀星に、

        雨傘にこぼるる垣のむかごかな     

  という秀句があります。雨傘の上に何かぱらぱらと落ちてきたので見上げたら、

  なんとむかごだったという驚きを詠った句なのでしょう。

 

  野山だけではなくあちこちの住宅地に自生しているはずなのですけど、きっと皆さ

  んご存知ないので抜いてしまっているのでしょう。 

 

 

                             

                     

 

  

 

 









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