ネコときどき彼 *No cats No life*

ネコと私とベルギー人の彼の楽しい毎日

ワクチンの意味を考えよう

2013-07-23 | 日記


富士山からの美しい眺望です
ある方からお借りしました

この空とおなじ、そら と言う名の男の子がいました
今から7年ほど前のことです

当時の私は 自分自身で保護をするかたわら、東京で保護ネコをする のらねこ墨田 に、フードや医療費のお手伝いをしていました
魚市場で名高い 築地界隈に現れるミックスの保護をされている団体です

ボランティアさんが自宅に連れ帰る他、空き家を活用してのシェルターもありました
スタッフが交代で訪ね、お世話をするしくみです
そこにいるのは、たとえばエイズや白血病のキャリアであったり、隔離を要するウィルス性疾患の子たち

その中に、そら はいました

生後半年になるまで、そら は、二回も里親さんから返されました
二回とも、もう面倒みきれない と言う理由です

栄養失調の状態で、ふらふらと彷徨っていた そら
ワクチンを射つ前に、感染症にかかっていました
外を彷徨う ちびねこなら、当たり前のことです
2人の里親さんたちにも、きちんと経緯や病状、治療の必要性など くどいくらいに説明してのトライアルでした

かわいそうに
もう心配ないからね


とおっしゃった お一人目

こんな可愛い子を返すなんて信じられない

と、憤慨しておられた お二人目

しかし、そら は、二回とも一週間経たずに返されました

飼えるかどうかを決めるためにトライアルがあります
それは事実です

でも、飼えなかったら返せばいい というような 軽い気持ちで トライアルされるのは、正直言って迷惑です
特に、そら のように既往症のある子にとって、短期間に飼い主が変わることが どんなにストレスになるか

のらねこ墨田のボランティアのひとり、N さんから、そら を頼みたいというお話をいただいた時には、そら の病状はかなり悪化していました

残り少ない時間だとはわかっていた

でも、あとわずかな命なら、シェルターのケージではなく、ちゃんと家族のある飼い猫として過ごさせてやりたい
できる限りの治療と、愛情をかけてやりたい

N さんと私は心底 そう思い、東京まで車で迎えに行く日にちを決めました

しかし

私が そら に会うことは叶いませんでした

どんどん食欲が落ち、それと同時に衰弱が進んでしまい、とてもじゃないけど、移動ができる状態ではなくなってしまったからです

何でもいいから 口から食べてほしい
せめて、ひとくち、ひとなめしてもらいたい
祈る思いで 高栄養の缶詰や サプリを送った翌日

そら は、その名をもらった大空に還ってしまいました

そら の病気は、難病と言われる エイズでも 白血病でも、もちろん FIPでもパルボウイルスでもありません

そら は、カリシウイルス にやられたのです

カリシウイルスは、ネコのウィルスとしては、ごく一般的で、三種混合ワクチンにも含まれています
つまり、ワクチンさえ射っていれば、予防できる、あるいは 罹患したとしても、軽い症状で済むのです


下記に、詳しく説明してみますので、どうかお読みになってください

カリシウイルス (FCV )は、ネコのかかる代表的な呼吸器感染症の1つであり、初期には高熱やくしゃみ、鼻水やよだれを垂らす、食欲退などの症状を起こすものです。

症状が長引くと舌や口に潰瘍が出来たり、口内炎ができたりします。
実際に、私が保護した赤ちゃんネコの口内に、小さな水疱を見つけたことがありました

また、潰瘍や口内炎の二次感染として肺炎を起こし、最悪の場合死に至ります
そら のように骨髄炎を併発したり、関節炎になって、歩けなくなった子猫もいました

ウイルスの感染力は強く、感染したネコと直接触れ合ったことによる感染、感染したネコのくしゃみ等による空気感染、感染したネコと人間との接触を介してなど、感染経路は特定できません

が、実験データによると、乾燥した環境下にウイルスを置いた場合、3~4週間もの間、ウイルスが生存していることが確認されました

みなさま、ご存知のように、子ネコの場合、生後3~9週間程度までは母ネコから受け継いだ免疫によって守られています
しかし、それ以降、生後10週間以降の子ネコは 受け継いだ免疫がなくなってしまうため、FCVに感染しやすくなってしまうわけですね

( ただし3歳を過ぎる頃になると、発症しても軽微な症状のみか、感染しても発症しないことが多い )

のらねこだった そら の母猫は、自身も栄養失調なまま 成長し、妊娠し、出産しました
おっぱいが 十分に出る母親ではありませんでした
そら は、母猫のおなかにいた時から 栄養不良なまま育ち、生まれたのです

いつも空腹で、衰弱しているのを やっと保護された時には、カリシウイルスにやられていました
当然、ワクチンなど射てません

しかし、しっかり栄養を摂り、愛情をかけて過ごすことができれば、いくらでも回復できたはず
少なくとも、あんな惨いことにはならなかった

そら は、カリシウイルスから骨髄炎を併発し、舌の奥側から壊死していました
N さんから、獣医さんと相談し、昏睡状態になっていた そら を、安楽死させた…と言う知らせが来た時、私は本当に本当に悔しかった

そら を迎えた里親さんが、きちんと治療さえしてくださっていれば、救えた命です
ひとりならまだしも、ふたりもの人間、いや、そら の病気を知って 治療すると約束した里親さんが、ほうりなげた命です

あれから何年経っても、そら のことを忘れたことはありません
いつか、そら に会えたら、思いきり抱きしめて、思いきり甘やかしてあげたい
救えなかった命の数だけ、私の後悔があります
その後悔をバネに、一頭でも多く救いたい
そのために、涙はしばらく しまっておくことにします



そら
必ず帰ってきて
私はいつまでも 待っています


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3 コメント

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Unknown (シャイロママ)
2013-07-23 21:12:31
いつまでも、そらちゃんのこと思っててくれる人がいて、幸せだね
いつの日か、必ずマリベルさんの所にあらわれてね
ワクチンは、やっぱり体調が良ければ絶対打たないといけませんね!
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ワクチンは (まりべる)
2013-07-23 21:41:47
作られている薬品会社によって、副作用が変わります。
営業妨害になるので、ここでは名前は出しませんが、ワクチン接種後に、アレルギーによるショック症状や 発熱などが出にくいものがあります。

ワクチンの種類は、扱う獣医によりますね。
どれも同じではありません。

また、三種混合、七種混合など、予防できるウイルスの種類も 変わりますよ。
海外から輸入した親猫がいる キャッテリーでは、クラミジアを予防するため、七種を射つ場合があります。

生後一年未満の子猫には、かなり負担があるというのが、私の考えです。
まだ赤ちゃんに、七種ものウイルスを射つわけですから。
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そらちゃん (ぷすこ)
2013-07-24 10:23:24
人間がかかわっても、救ってもらえなくて、つらい思いさせてごめんね。そらちゃんが、次の猫生では元気に生まれてきて、幸せになることを祈っています。まりべるさんの険しい保護道は続くけど、ファイト!!
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